Webブラウザは互換性の“危機”を回避できるのか
Web標準対応に向けた新たな取り組みを検証する「WebブラウザもWeb標準もツールも改良されたのに、どうしていまだにWebページの表示が崩れるのか」──そうした疑問を持つ読者はきっと少なくないはずだ。その問題を解決すべく、ここにきて、マイクロソフトを含むWebブラウザ・ベンダー各社が、Web標準のサポートに向けて新たな取り組みを見せ始めた。本稿では、Webブラウザが抱える互換性を巡る問題と、それを解決するための動きを紹介する。
Web標準は なぜ守られなかったのか
ここ数年、主要Webブラウザ・ベンダーのほとんどが、World Wide Web Consortium(W3C)が勧告するWeb標準をサポートすることに意欲を燃やし始めている。そしてその意欲は、今も減退することがない。
最新の標準イニシアチブの仕様は以前よりもさらに厳しくなった。Webオーサリング・ツールが生成するコードは、これまで以上にWeb標準に準拠するようになっている。しかも、現在普及している主要Webブラウザ用の3つのレンダリング・エンジンのうち2つはオープンソースである。
マイクロソフトの最新WebブラウザであるInternet Explorer(IE)8でさえ、Web標準に厳密に準拠するモードを初めてデフォルト設定にした。つまり、マイクロソフトはWebブラウザの旧バージョンに実装された非標準メソッドとの下位互換を維持することよりも、W3C標準に準拠することのほうを優先させることにしたわけだ。
1990年代に起きたWebブラウザ戦争を知っている人も、今ではすでに戦いは終結したと考えているかもしれない。確かに標準にかかわる問題さえなければ、そう言えよう。だが、実際には、ユーザーはいまだにWebページを開く際、多くの問題に直面しているのだ。
Webブラウザ・ベンダーのオペラ・ソフトウェアが最近明らかにしたリポートによると、Webページを参照する際、W3C準拠のマークアップ仕様と異なる部分が平均47カ所も見つかったという。W3Cの検証ツールでテストした結果、Operaが探した3,500万ページのうち、標準にきちんと準拠していたのは、4.13%にすぎなかった。
その理由の1つは、アップデートされていない古いWebサイトがそのまま放置されていることにあり、もう1つは、多くのWebディベロッパーが最新のWeb標準やベスト・プラクティスに従わないままページを作成し続けていることにある。
Webブラウザ・ベンダー各社はW3C標準の一部を独自に解釈したり、標準にまったく準拠しないWebブラウザを配布したりしてきた。さらに、Webページ・ディベロッパーの側にも、承認できないWebブラウザやバージョンをブロックするホワイト・リストやブラック・リストを使って、“正しくない”Webブラウザを締め出す動きがいまだに存在する。
一方で、Web標準そのものにも問題はある。既存の仕様のいくつかには、現在でもあいまいなままで、明確に定義しなければならない部分が残されているのだ。
さらに、CSS(Cascading Style Sheets)2.1のような新しい標準を徹底させようとする進歩的な動きにもマイナス面がある。その動きが標準化プロセスを遅らせてしまう要因になっているからだ。実際、こうしたプロセスにいらだつWebディベロッパーも少なくなく、Web標準の枠組みから離脱する誘惑に駆られるWebブラウザ・ベンダーが再び出てこないとは限らない。



























