セマンティック検索は将来有望か――“Googleの次”を巡るコンセプト論争
Wikipedia創設者のウェールズ氏、Powersetのセマンティック検索エンジンに辛口評価Googleを超える検索エンジンを目指して、ベンチャーから大手に至る多数のベンダーが開発にしのぎを削っている。各社の取り組みにおけるコンセプトの違いが浮き彫りとなって興味深い。本稿では、フリーのオンライン百科事典「Wikipedia」の検索機能を巡って、検索エンジン・ベンチャー2社がそれぞれの見解を主張した“検索エンジン・コンセプト論争”をお伝えしよう。
「セマンティック検索こそ未来の検索の姿」
「とくに真新しいところはない」
フリーのオンライン百科事典「Wikipedia」の創設者であるジミー・ウェールズ(Jimmy Wales)氏が開発し、同社が立ち上げた米国Wikiaがホスティングする検索エンジン「Wikia Search」(日本語版)があるが、Wikiaのライバルである米国Powersetは、セマンティック検索エンジンこそ未来の検索の姿だと主張している。このPowersetの主張に対する意見を聞かれたWales氏は、「少なくとも、現段階では特に真新しいところはない」と答えた。
Powersetは5月に、セマンティック検索エンジン「Powerset」のテスト版を公開した。そして、同検索エンジンのインデックスに格納された2つのWebサイトのうちの1つはWikipediaとなっていることから、検索エンジンのコンセプト論争が勃発したのだ。PowersetがWikipediaのコンテンツをインデックス化した件についてWales氏は、「Wikipediaのコンテンツは初心者でも簡単に探せる。Wikipediaの検索エンジンは完璧に機能しているし、コンテンツをインデックス化されてもさしたる脅威にはならない」と語った。
Powersetの幹部らは、インデックスの範囲がきわめて限られていることを認めたうえで、同社のエンジンを使えば、Wikipediaの検索機能を改善できると確信しており、将来的にはWeb検索全般で活用してもらいたいと述べた。
だが、Wales氏は、このPowersetの言葉に納得していない。「Wikipediaのコンテンツを検索する仕組みは非常にシンプルであるため、今の段階でPowersetのセマンテック検索エンジンのクオリティを判断するのは難しいが、大きな脅威になるとは思えない。Wikipediaは巨大なデータセットではなく、簡単にインデックス化できる。Powersetの手法がもっと大きなデータセットでも役立つのか、まだ何とも言えない」(Wales氏)
Wales氏は、Powersetの取り組みがどう進展していくかについては興味を持っているが、セマンティック検索という技術そのものにはあまり期待していないという。「これまでのセマンティック検索を見るかぎり、納得のいくものではなかった。少なくとも現段階では、この技術にさして興味を持つことができない」と、厳しい見方だ。
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