オンライン・ストレージ・サービスが突然終了――そのときデータはどうなるのか?
データをクラウドに預ける前に知っておくべき前例クラウド・コンピューティングに注目が集まるなか、サービス・プロバイダーはストレージ領域においてもこのコンセプトを適用したサービスを展開しようとしている。だが、本当にデータは守られるのだろうか。本稿では、終了したオンライン・ストレージ・サービスの前例から、この問題について考える。
オンライン・ストレージが
はらむデータ損失のリスク
米国ではこの1年程の間に、オンライン・ストレージ・サービスが相次いで閉鎖した。具体的には、AOLの「Xdrive」と「AOL Pictures」、HPの「Upline」、Sonyの「Image Station」、Yahooの「Briefcase」といったサービスである。これらの大手プロバイダーによるサービスのほか、Digital Railroad、The Linkupなども終了した。
オンライン・ストレージ・サービスの利用は非常に簡単だ。夏期休暇の写真や仕事のファイルをアップロードすれば、どのPCからでも閲覧したり、ほかのユーザーと共有したりすることができる。だが、今となっては、この種のサービスに疑問を持たなければならない。「明日、自分のデータはそこにあるのだろうか」と。
2008年10月、上海を拠点に活動するカナダ人のフリー写真家、ライアン・パイル(Ryan Pyle)氏は、Digital Railroadの突然のサービス終了に伴って何千枚もの写真を失った。Digital RailroadのWebサイトには、資金が底をつき、サービスを終了せざるをえなくなったという通達が掲載された。
だが、ユーザーのデータ退避のために同サービスのプロバイダーが残した時間は24時間しかなかった。結局、パイル氏は7,000点を超える画像ファイルを失うことになった。それらは、苦労して編集し、キャプションを追加し、キーワード・タグを付け、仕事用のオンライン・アーカイブとしてアップロードしたものだった。
オリジナルの画像ファイルはローカルに保存していたので無事だったが、何百時間もかけて作成したオンライン・ポートフォリオが消えたのは、パイル氏にとって大きな痛手だった。「何も問題はないと思っていた次の日に、24時間以内にサーバからすべての画像ファイルを退避させるように告げられたのだ」(同氏)
パイル氏によると、期限が通達されてからしばらくはDigital Railroadへのアクセスが非常に困難だったという。多くのユーザーがサーバ上の画像ファイルを退避させようと殺到したからだ。同氏は、午前2時にオンライン・ポートフォリオの退避をあきらめた。取り戻すことができた画像ファイルは数十に満たなかった。
ビジネス・モデルの
確立が難しい無料サービス
オンライン・ストレージ・サービスを提供する企業は、写真やデータをインターネット上に保存することを勧めてきた。ローカルPCやバックアップ・ドライブにデータを保存するよりも、スマートにデータを保存できると売り込んできたのだ。
AOLは、かつて「コンピュータがクラッシュしても、ウイルスにファイルを破壊されても、もう心配はいらない。Xdriveならデータはいつも安全」とのうたい文句でXdriveをアピールしてきた。同サービスの正式終了は、今年1月中旬のことだ。
市場調査会社Park Associatesのバイスプレジデント兼主席アナリスト、カート・シャーフ(Kurt Scherf)氏は、オンライン・ストレージの全盛期は終わったと見ている。同氏によれば、オンライン・ストレージ市場は崩壊の段階に入ったのだという。
「経済性の問題だ」とシャーフ氏。オンライン・ストレージ・プロバイダーがわずか数ドルのサービス料金を追い求めいたことだが失敗の要因だというのだ。「自社のサーバに他人のデータを保存しても、たいして利益は上がらない。失敗したプロバイダーにはビジネス・モデルがなかったのだ」(同氏)
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