ITIL V3適用を成功に導く5つのポイント
V2を捨てるべからず/発想を転換せよ/過大な期待は禁物……IT管理・運用業務のベスト・プラクティスをまとめたフレームワークとして、今や日本企業の間でも定着しつつある英国生まれのITIL。その最新バージョンである「ITIL Version 3」(ITIL V3)が登場してからおよそ1年が経過したが、導入ユーザーはどのような手ごたえを得ているのだろうか。本稿では、ITIL V3の導入に成功している米国ユーザーの声を基に、ITILのメリットを最大限に引き出す方法を探ってみたい。
議論が分かれる新旧バージョンの評価
ITサービス・デリバリのベスト・プラクティスをまとめたフレームワーク「ITIL(Information Technology Infrastructure Library)Version 3」(以下、ITIL V3)が登場してから、約1年が経過した。ITILの最新版は意図的に照準を絞り込むことで、結果的にこれまでよりも幅広い層から注目を集めることになったと評価されている。
だが、本当にそうだろうか。その答えは「イエス」でもあり「ノー」でもある。アーリー・アダプター(先進的導入企業)の間ではITIL V3を称賛する声が多い。日常業務に焦点が絞られた乱雑な規範の寄せ集めであったITIL V2と比べて、ITIL V3はより包括的にかつ高度に体系化されており、ITサービス・デリバリに対して「サービス・ライフサイクル」というアプローチを採用した点などが大きな進歩だとして支持を集めている。
ただ、それでもITIL V2ユーザーのすべてがITIL V3に殺到しているわけではない。
多くのユーザーは、ITIL V2の欠点を他の方法論や自前の対策でカバーするなどしており、旧バージョンでも十分満足している。また、どのバージョンであれ、ITILの完全導入は非常に大きな負担を強いられ、しばしば大規模なシステム改変を余儀なくされることもある。
ITILは1980年代後半、英国政府機関(現在の政府調達庁:OGC)がITサービスの調達、管理に関する体系的なアプローチを説明する手法として作成したものだ。1990年代に欧州で広く普及したが、ITILが米国で認知されるようになったのは2000年以降のことである。
ITILはその名のとおり、複数の書籍で構成される「ライブラリ」だが、OGCはWebサイト(画面1)でも大量のITIL関連資料を提供している。
2001年に出版されたITIL V2は、ITのインフラストラクチャとオペレーション、すなわちサービス・サポートとサービス・デリバリの2つを柱に、インシデント管理、変更管理、キャパシティ管理、構成管理などのベスト・プラクティスをまとめたものだ。これらのベスト・プラクティスを適用して、企業はデータセンターの運用を改善、標準化することが可能になった。
ところがITIL V2では、セキュリティ管理や財務管理、ITサービスとビジネス価値の関係、ITILと他のプロセスのリンクといった重要なテーマについては、ほんのリップ・サービス程度しか言及していない。また、目標達成までの具体的な方法を示さず、実行すべきことだけを記述する傾向にあった。多くの企業は、それぞれの社内状況に応じてITILを導入できる自由度の高いアプローチを好んだが、一部からは具体性に欠けると不満の声も上がっていた。



























