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ITマネジャーがITILの導入を躊躇する10の理由

運用効率の向上とサービス管理の強化を約束するITILに、彼らが飛びつかないのはなぜ?
(2007年11月06日)

米国においては、欧州や日本に比べると、「ITIL」(Information Technology Infrastructure Library)への取り組みが少々遅れていた感がある。だが、ここにきてブームに火がつき、トップダウンでのITIL導入が急速に進もうとしている。その一方で、こうした状況の変化に直面したITマネジャーならびにIT部門の中には、ITILの導入を巡ってさまざまな不安にさいなまれる人も出てきた。本稿では、そうした不安の正体を明らかにするとともに、それを払拭する方法を提示することにしたい。

 企業のITマネジャーにとって、「ITIL」(Information Technology Infrastructure Library)に収められた(IT運用管理業務の)ベスト・プラクティスの導入は、数年がかりの大プロジェクトとなる。そして、プロジェクトが始まれば、進捗状況などに関して経営陣の厳しい監視を受けるばかりか、プロジェクトがもたらす変化に抵抗感を抱く人々とも、否応なしに接しなければならなくなるのだ。

 ITILの専門家と業界観測筋によれば、そもそもITILに対するスタッフの抵抗感は“不安”から来ているという。そのため、企業が、ITILのメリットと課題をきちんと説明し、彼らの不安を払拭する努力を怠らなければ、ベスト・プラクティスをスムーズかつ迅速に実装することは十分に可能だというのである。

 ちなみに、不安の源をたどると、標準プロセスを軸にIT運営を再整備するということ自体に納得がいかないITIL不賛成派の憤懣や、ようやく「ITIL Version 2」でITILの導入を開始したところに、最新版の「ITIL Version 3」が(今年5月)公開されたことによって噴き出したITマネジャーたちの混乱などが入り交じっているようだ。

 米国フォレスター・リサーチのシニア・アナリスト、イヴリン・ハバート氏は、こうした不安や混乱がわき上がることになった背景を、同社の10月のリポートの中で次のように分析している。

 「ITILフレームワークはここ数年過渡期に入っているため、さまざまな問題を巡って憶測が飛び交っている。また、米国では欧州に追随しようと必死になってITILの導入を進めているが、インフラ/運用管理プロフェッショナルたちの多くが、まだすべてを把握するには至っていないようだ」

 こうした不安や混乱を緩和するために、本稿では、米国コンピュウェアの製品マーケティング・マネジャーでITILの専門家でもあるリン・ホー氏の力を借りて、10の不安をピックアップするとともに、そうした不安を払拭するための方法を提示してみたい。

 ホー氏は、ITIL Version 3にレビュアーとして参加、またITILの推進団体である英国itSMFで書籍『Six Sigma for IT Management』の共同執筆にも携わった。同氏は、現在、業界全体がITILにまつわる混乱を鎮める方向に動き出しつつあると見ている。

 以下、ホー氏をはじめとするITIL支持者が顧客企業のIT部門等で見いだしたITILに関する不安を10項目に整理し、その解消法を紹介することにしよう。

【1】変化

 変化に対する不安は、IT部門に限らず、あらゆる部門、いやそれどころか生活や仕事のあらゆる場面で生じるものだ。では、IT部門(でITILを導入するとき)の変化に対する不安には、どういった特性があるのだろうか。

 ホー氏によれば、多くのITスタッフが恐れているのは、ITILを導入することによってIT部門の存在価値があいまいになり、自分たちの仕事の重要性が損なわれることだという。

 しかしながら、ITILは確かにIT部門に大きな変革をもたらしはするが、一方で、「プロセス・オーナー」や「チェンジ・マネジャー」といった新たなポストを生むものでもあるのだ。よって、上のようなITスタッフの不安は的外れであると言える。とはいえ、カルチャーの一大変革を前にしてITスタッフがしり込みすることは十分に考慮に入れておくべきだと、ホー氏はITマネジャーにアドバイスする。

 「ITILを導入するにあたっては、目標についてスタッフと管理職とが常に話し合うようにしておくことが大切だ。それ自体が、綿密に監視すべき重要な変更管理(チェンジ・マネジメント)プロセスにほかならないと考えなければならない」(同氏)

【2】測定

 ITILはトップダウンによって導入されることが多い。そのため、IT部門は、経営陣から常に監視されることになるのではないかとの不安を抱く。では、経営陣はなぜITILの導入に積極的なのだろうか。それは、ITILがプロセスに“効率性”をもたらすからだ。

 となると、IT部門には、効率性が向上したことを証明するために、ITIL導入前と導入後のプロセスの効率性を測定する必要があることになる。

 「ITILでは、サービス品質を測定し報告する必要性が唱えられている。IT部門は常に監視されているという状況に不安を覚えるだろうが、測定が可能になるメリットも認識すべきだ」(ホー氏)

 例えば、サービスの品質を測定/報告することが可能になれば、期待されるITサービスを提供していることを顧客に証明するための手段が得られる。そして、サービスが実際に向上すれば、IT部門は自分たちの努力と改善を経営陣にアピールして報奨金を勝ち取ることもできるわけだ。

 「(IT部門と経営陣が)互いに数量化に合意すれば、会社全体がIT部門がもたらす価値への理解を深めるようになるとともに、IT部門が必要とするリソースを快く提供してくれるようにもなるだろう」(同氏)

【3】プロセスの限界

 ITILによって硬直的なプロセスが設けられるようなことがあれば、ITがその元凶だと目されるようになるのではないか、ということに対して不安を募らせる人もいる。だが、ホー氏は「ITILは各プロセスにおいて柔軟性を有し、さまざまな要素を組み合わせるミックス・アンド・マッチ形式のモデルを基盤としているため、企業はそれぞれの環境に合わせたプロセスを構築できる」と主張している。

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