あなたの会社が「表計算ソフト」を捨てる日
バラバラに存在するデータを統合、活用するための第一歩企業規模や業種を問わず、あらゆる業務アプリケーションの中で最もポピュラーで幅広い用途に利用されているのが、「Excel」に代表される表計算ソフトだろう。これまで、財務諸表から顧客リストまであらゆるデータがスプレッドシート上に記録されてきた。だが、表計算ソフトを使って処理することにより、効率が著しく悪くなっている業務もあるのではないだろうか。ここでは表計算ソフトを捨て、新しいツールを採用した5つの企業の事例から、その意味と効果を検証しよう。
データ共有の必要性
数年前まで、Thule Groupの北米事業部は表計算ソフトであらゆるデータ集計をまかなうタイプの、よくある時代遅れな企業だった。
同社の財務担当部長、マーク・コーエン(Mark Cohen)氏は、「工場運営費や部署別の支出など、すべてのデータをたった1人の会計担当者が更新していた。だが、グループ企業間のデータを統合する作業に一週間かかることもあり、マネジャーが参照するデータが最新のものに更新されていないことも少なくなかった」と証言する。
同グループの米国Thule Vihicle Solutionsは社員数400名。自動車の屋根に取り付けるルーフ・ラックなどを生産しており、Thule Group全体の収益のうち約15%を生み出している。「当社製品の販売は季節による変動が大きい。在庫を切らしていれば、販売チャンスをライバルに持っていかれてしまう。そのためにも、販売予測に基づく予算の割り当てが重要だった」(コーエン氏)。
米国Microsoftの「Excel」によるデータ管理に不満を抱いていたコーエン氏は、2008年、米国HostAnalytics社の財務会計SaaS(Software as a Service)「Budget」を導入した。このSaaSは、コーエン氏が必要としていたリアルタイムな情報統合やモバイル・デバイスへの対応を実現している。
新しい財務会計ツールの導入により、従業員は個々人の権限レベルに応じて、リアルタイムに業務データの作成や編集、閲覧ができるようになった。こうした作業やレポートの出力は、すべてブラウザから実行できる。また、Host Analysticsはバージョン管理機能も備えているほか、「Oracle ERP」システムからの自動データ取り込みや、データのインポート/エクスポートによるExcelとのデータ共有も実現している。Budgetは1ユーザー当たり月額250ドルからとなっている。
より信頼性の高いデータを手に入れる
コーエン氏は、「Budgetはコラボレーションを促し、それによってデータを入力する個々人に責任感が生まれた。リアルタイムなデータ更新だけでなく、正確さやアカウンタビリティ(説明責任)を高めたのだ。また、これまで使ってきたスプレッドシートの95%が不要となり、現場の責任者たちは信頼性の高いデータを得ることができるようになった」と話している。
表計算ソフトに対するコーエン氏の不満は、何も特別なものではない。より協調的な意思決定がなされるようになり、グローバル化によって労働力が分散するなかで、スプレッドシートに集約したデータを全世界の同僚に電子メールや郵送で送付し、手作業でデータを更新したり、再送信したりするのは大きな手間であり、データの即時性や正確さに信頼が置けない。はっきり言って、“時代遅れ”なのである。



























