サイボウズ、生産性を向上させるワークスタイル革新を提唱
ホウレンソウの時間を削り、クリエイティブな時間を増やす
左から青野氏、本田氏、栗山氏でワークスタイルについて対談を実施サイボウズは10月3日、同社の代表的製品であるグループウェア「サイボウズOffice」の新バージョンを発表。新バージョンでは、社員のワークスタイル、またマネージャーの指示についても分析し、ホウレンソウの手間を大幅に軽減している。
新製品の発表とともに、サイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏、またサイボウズOffice9のプロダクトマネージャである栗山圭太氏、そしてレバレッジコンサルティングの代表取締役社長、本田直之氏による対談が行われた。
対談のテーマは“ワークスタイルについて”。最初にサイボウズOffice9のプロダクトマネージャを務めた栗山氏が「グループウェアは、新機能を加えたというだけでは世の中にはインパクトを与えることが出来なくなっている。それでは何が、を考えた上で本田氏に道筋を示していただきたかった」と語った。
本田氏はまず、二日前まで行っていたという北欧での労働環境を語った。「労働時間は週37時間、年間6週間の休みがある。その中で取材をしたが、働き方が日本と全く違った。しかし、これらの国々は成長率が高い。企業でいえばエリクソンやIKEA、H&Mなどがある。この理由は、短時間でも非常に生産性の高い働き方が出来上がっているからだ」(本田氏)
本田氏は日本の働き方の中で、悪いプレイングマネージャの見本として「ホウレンソウに時間をかける、草食系部下を使えないと思っている。何度も同じことで怒る」などを挙げた。10年前15年前では当然だったのかもしれない、しかし現在は人も代わり思考も変わってきており、働き方にも大きな変革が生まれてきているのだ。
青野氏は本田氏のこの意見を聞いて自らの働き方を振り返る。「代表という立場から、ホウレンソウは必要であると意識づけなければいけないと思っていた。しかし、最近は『青野さん、あそこに置いてあるので見てくださいよ』と返されてしまう。情報が共有されているのは当たり前となっており、必要ならば自分で見に行けばよい。ITの進歩によりワークスタイルに変革が生まれてきている」(青野氏)
続いて本田氏は「現在の若い層はデジタルネイティブ。もともとこういうテクノロジーがある中で暮らしてきているため、そもそも対面でこのようなホウレンソウをやらせる、ことを時間の無駄と感じさせてしまう」と続ける。
青野氏も「報告を行うだけの定例ミーティングがまだまだサイボウズ内でも多いのかな、と感じている。しかし、もっとクリエイティブな方面に時間を使わなければいけないのではないか」と自社を振り返った。
「ホウレンソウとは、過去の仕事。そうではなくクリエイティブな仕事、つまりは未来の仕事にもっと時間を使ってもらおうとするのが生産性を上げる、ということだ」(本田氏)
これに対して栗山氏は「こういったことを“機能”として搭載するのは実は簡単。しかし、働き方とセットで提案をしなければ企業側に受け入れて貰えない」と語る。青野氏も「働き方を変えるのは難しい」と続けた。
「しかし」、本田氏は続ける。「働き方を変えないと携帯電話と同じく、上司も“ガラパゴス”化してしまう。ガラパゴス上司として取り残されてしまう」と強調する。
そのほか、本田氏は「何度も同じことで怒る、つまりは何度も同じ仕事をやらせている=ルーチンワークともいえる。ルーチンワークは非クリエイティブな仕事。しかし生産性を上げるためにはクリエイティブな仕事を行う必要がある。ルーチンワークはシステム化できる。昔はエクセルなどで管理をしてきたが、今はテクノロジーで情報共有ができる」と説明する。
これを受けて青野氏は「つまり、何度も同じことで怒ってしまう、というのは上司が原因を排除できないから。仕組み化することも原因を排除することも出来ないから何度も同じことで怒る必要が出てくる」と語る。
そして最後に「90年代前半では、テクノロジーが進化していなかったため、言い訳は出来た。しかし、現在は『意識の問題』などは言い訳にはならなくなってきている。テクノロジーを使ってマネージャが如何に生産性を向上させるか、がこれからの“上司”に求められていくこと」と締めくくった。
本田氏は今回発表したサイボウズOffice9の開発には関わっていない、というが、サイボウズOffice9では対談で挙がったワークスタイルに潜む問題を広く解決する機能を網羅している。もっとも大きな変化は、これまで分断されていたコミュニケーションとデータベースを融合した点だろう。
これまでの業務を振り返ってみると、上司から指示を貰い、返信、スケジューラへの登録、またプロジェクト管理シートへの入力を経て作業にとりかかっている。しかしサイボウズOffice9では、上司からの指示がそのままスケジューラへの登録、プロジェクト管理シートへの入力になり、指示を受けた者は指示を確認した後、すぐに作業に取り掛かることができる。
つまり、コミュニケーションによる“指示”、そしてデータベースとなる“スケジューラ”、“プロジェクト管理ツール”が融合しているのだ。青野氏は胸を張り「グループウェアを越え、“コラボレーションツール”へ進化した」とも語った。
現在、ビジネスのスピードは加速度を増しているが、このスピード感についていく設備を整えるだけでは効果を出さない。しかし、時代に合ったワークスタイルを掴み、新しい社会常識、考え方を熟知してそれらに適合した仕組みを構築することが今後求められていくのではないだろうか。青野氏が育児休暇を取ったという話は有名だが、その中で青野氏は「如何に無駄な時間を使っていたのか、見直すきっかけになった」とも語っている。ビジネスにおいて古い慣習は足かせになってきているのかもしれない。
なお、新しく発表したサイボウズOffice9は価格体系を見直し、パッケージ版最小構成の10ユーザー版ではスタンダードが63,800円、プレミアム版(カスタムアプリ機能が利用できる)は82,800円となる。初年度の利用は無償だが、2年目以降はサービスライセンスが必要となる。また、2011年11月に提供を開始するクラウド版では、スタンダード版が年額5,880円、月額500円。プレミアム版の年額9,405円、月額800円となるという。
(Cmputerworld.jp)



























