韓国の電子自治体事情
u-Koreaの未来像──ITに基づく新しい知能基盤福祉社会とその課題韓国におけるユビキタス社会の実現に向けた取り組みは全国に張り巡らされた通信インフラを基盤に迅速かつ確実に進められようとしている。u-Koreaの進展は韓国のあらゆる構造に変化をもたらしていくだろう。
新しい知能基盤福祉社会へ
国内のすべての地域でブロードバンド化を実現した韓国だが、国家の将来を左右する中長期計画においては、さらに知識情報社会を目指すための新たな戦略が必要となった。その戦略の1つである「u-Korea基本計画」が2004年から実行に移されているが、この基本計画で想定している知能基盤社会、そしてITに基づく福祉社会は次のような3つの段階を経て実現されるとされている。
まず、第1段階では2007年までにユビキタス社会の到来を、第2段階では2012年までにユビキタス社会の発展を目指すとしている。この期間には、BcN(Broadband Convergence Network:ブロードバンド統合網)、USN(Ubiquitous Sensor Network )、そしてIPv6などのユビキタス・インフラの整備が不可欠である。
ユビキタス・インフラとは、WiBro(Wireless Broadband:ワイブロ、韓国生まれの無線通信規格)、DMB(Digital Mutimedia Broadcasting:モバイル放送)を指しており、新しいITサービスを実現するための通信インフラの役割を果たす。このユビキタス・インフラは、u-Life/Home、u-Gov、 u-Commerce、u-Societyの基盤ともなり、家庭で利用されるホーム・ネットワークの整備にも密接に関係してくるだろう。
そして、2013年からの第3段階では、ユビキタス社会の成熟段階が想定されている。この段階になると、ITの利便性が普遍化し、国民生活が革新されるため、「知能基盤福祉社会」を実現できるとしている。
u-Koreaと同じく、国家戦略として掲げられている「IT8・3・9戦略(8つのサービス、3つのインフラ、9つの成長製品を推進するIT国家戦略も、韓国の国家競争力の向上に大きく貢献するだろう。ユビキタスの技術は、韓国国内はもとより、世界の経済市場の拡大に寄与すると予測されており、そのためには、ユビキタス産業の育成が不可欠だ。特に、電子商取引(u-Commerce)の普遍化とu-企業の構築は、企業活動全体の効率化と競争力の底上げに大きく寄与するだろう。
韓国電算院がまとめた「u-Korea 戦略研究」でも、u-Koreaの推進によってもたらされる経済効果が示されている。その中では、まず生産効果として、2010年までに日本円で約24兆円、ユビキタス産業がもたらす付加価値効果として、2005年から2010年までに約13兆円が生み出されると予測されている。企業の生産活動にユビキタス技術が導入されることで、生産性の向上はもちろん、効率性の向上、顧客満足度の上昇、そして安全な在庫管理が可能になるとしている。
国民生活にも変化をもたらす
u-Koreaの推進は、国民生活にも変化をもたらす。身近なところでは、u-Lifeの基盤でもあるホーム・ネットワークが整備されることにより、これまで以上に便利で豊かな生活が保障される新たな福祉社会を実現できるだろう。一方で、個々のネットワークが広がることにより、円滑なコミュニケーションが生まれ、それらを更にユビキタス技術が支えるという人間中心の知能基盤福祉社会の実現も期待できる。
また、u-Govは完全な個人認証に基づくインターネット投票などを可能にするu-Voteをはじめ、住民を行政の政策決定に関与させるなど参加民主主義を推進するu-Democracyの実現にも寄与するだろう。
政府に課せられた重要課題
こうしたu-Koreaの構築において、韓国政府の役割は非常に重要だ。それは、今後も急速に技術開発が進むであろうITをどのように活用していくかという国家的な戦略を打ち立てる必要があり、そのための財源を調達を確保しなければならないからだ。
また、世界経済は製品競争から標準化競争の時代へと移行しつつあり、ユビキタス技術に関連するコンテンツやサービスなどの標準化にかかわる研究を推進する必要がある。
ユビキタス政府(u-Gov)事業やユビキタス都市(u-City)建設事業などによって、中央から地方への分権化が進み、中央と地方が均等に発展するモデルが生み出されようとしている。
そうして誕生するユビキタス自治体は、地域社会の都市基盤の環境整備にも大きく貢献し、中央と地方との共生を果たすと同時に、地方経済の活性化にも大きく貢献すると考えられる。そのために、政府は法整備と全国一律のユニバーサル・サービスを提供する体制づくりを進め、民間企業や研究機関などが参加できる国家的な推進体制を整える必要がある。
u-Koreaの今後だが、2005年の上半期に「u-Korea発展戦略」が策定され定され、その中では、2007年までにu-Koreaの発展を促進するためのIT8・3・9事業の核となるサービスとモデル事業の拡大計画が示される。また有・無線統合と通信・放送の融合に向けた法制度整備、個人情報保護、オープンソース・ソフト(Linuxなど)の導入義務化などの制度整備が求められ、IT人材の育成も大きな課題となっている。
u-Koreaによってもたらされる未来のユビキタス生活を擬似体験できる。館内では、ホーム・ネットワークや超高速通信網の3D体験ができるほか、Telematics(自動車のIT化)、u-Officeの先端製品などが展示されている。






















