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【解説】

元グーグルの技術者が放つ、新検索エンジン「Cuil」の“実力”と“アキレス腱”

テスターからは「比べてわかるGoogleのスゴさ」との声も
(2008年07月29日)

よりすぐれた技術を擁して、検索サイト最大手の米国Googleを駆逐しようともくろむ新興企業は数あれど、米国Cuilほど鳴り物入りで登場した企業は少ない。創立者によれば、同社の検索サイト「Cuil」(「クール」と発音する)は、ほかの検索サイトと比べてインデックス化したデータ量が3倍に達するという。本稿では7月28日に登場したCuilの実力と、今後彼らが抱える(であろう)課題を紹介しよう。

Cuil設立者たちの華麗な経歴



CuilのWebサイト。ちなみに「吉原」と検索したら9万1,526件ヒットし、「IDGジャパン」と検索したらゼロだった

 Googleは7月25日、Web上のユニークURL数がついに1兆を超えたと発表した(関連記事)。

 同発表が7月28日のCuilのサイト立ち上げを見越しての“一手”であることはまちがいないだろう。またCuilのサイトが立ち上げ当日、一時利用不能に陥ったことも、Googleにとっては追い風だったようだ。

 そのような状況にもかかわらず、Cuilに対する注目度は高い。それはCuilを設立した人々が“特異”なバックグラウンドを持っているからである。

 同社の社長兼COOであるアンナ・パターソン(Anna Patterson)氏は、元Google検索インデックス・アーキテクトであり、GoogleのWebページ・ランキング・チームを率いていた人物だ。同氏の夫でCuilの共同設立者であるトム・コステロ(Tom Costello)氏は、スタンフォード大学および米国IBMで検索エンジン技術の研究開発に携わっていた経験があり、現在はCuilのCEOを務めている。

Cuilの検索スタイルは「時代遅れ」――専門家の辛口な評価

 Cuilによると、同社のサイトは1,200億件ものWebページをインデックス化し、Googleのリンク分析技術を凌駕するWebページ・コンテンツ分析技術に基づいて、適切な結果を表示できるという。ただし一部の先行ユーザーは、同サイトがGoogleに比肩するという見方には懐疑的なようだ。

 検索サイトを評価するブログ「Search Engine Land」を運営しているダニー・サリバン(Danny Sullivan)氏は、Cuil設立者たちの経歴が華麗であることを認めつつ、以下のように語る。

 「彼らは検索技術を知り尽くしている。特に過酷な使用に耐えうる、業務用の検索技術についてはエキスパートだ。そればかりではなく、だれでも利用できる包括的な検索サービスも提供している」(Sullivan氏)

 しかし同氏は、「Webページへのリンク表示は、人気度ではなく内容を基準にしている」というCuilの主張は偽りであると指摘した。同氏によると、Cuilで「Harry Potter」(ハリー・ポッター)と検索したら、「Harry Potter&the Order of the Phoenix」の映画公式サイトがトップページに表示されたという。

 「映画のサイトは、何千というハリー・ポッター関連ページの1つにすぎない。検索アルゴリズムを欺く目的でコンテンツが改竄されているかもしれない(もしくは今後改竄される可能性がある)Webサイトの世界で、Cuilはどのようにしてページ内容だけで、くだんの映画公式サイトを検索結果のトップに据える判断をしているのだろうか。結局、Cuilも(Googleと同様)、リンク数とクリック回数をチェックしているだけなのが実情だ。くふうが見られる点は、ユーザーが検索しているものと関連したページからのリンクを評価に入れていることくらいだろう」(Sullivan氏)

 さらに同氏は、米国Microsoftの「MSN Search」(現Live Search)をはじめ、「Yahoo!」やGoogleは、Cuilが提供している検索サービスよりもバラエティに富んだ検索オプションをユーザーに提供していると付け加えた。

 「Cuilが提供していないニュース検索/画像検索/映像検索/地域別検索などは(検索範囲が限定されているものの)、ユーザーに愛用されている。そのため既存の検索サイトとCuilを比較すると、Cuilは『時代遅れ』な検索スタイルに固執したエンジンという印象が拭えない」(Sullivan氏)

 同氏は「ほか新興検索エンジンと比較すれば、Cuilが検索エンジン市場を獲得できるチャンスはある。ただし、Googleを脅かす存在に成長する可能性は低い」と語る。

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