SAPの共同設立者、インメモリ・データベースの可能性を力説
「予測解析などの分野で、新しいアプリケーションの時代を切り開く先駆けになる」ドイツSAPの共同設立者であるハッソー・プラットナー(Hasso Plattner)氏は、5月17日〜19日まで米国フロリダ州オーランドとドイツのフランクフルトで開催されるコンファレンス「SAPPHIRE」の基調講演で、インメモリ・データベースを再び取り上げる予定だ。
これは、今週公開されたビデオ・インタビューのなかで同氏が明らかにしたもの。
インメモリ・データベースは、ハードディスクではなく、システムのメイン・メモリに情報を保存することで、パフォーマンスを大幅に向上させるというものだ。この技術は、「BusinessObjects Explorer」といったSAPのビジネス・インテリジェンス(BI)製品に反映され始めており、プラットナー氏は、昨年のSAPPHIREでもこの話題を取り上げている。
プラットナー氏は、自身が扮するインタビュアーの質問に答えるという形で撮影されたビデオ・インタビューのなかで、同社が野心的な計画を推進していると示唆した。
同氏は、RAMの容量が拡大するなかで生まれたインメモリ・コンピューティングという考え方が、予測解析など新たな分野で「まったく新しいアプリケーション」の時代を切り開く先駆けになると強調した。
「この種のアプリケーションを使えば、人と同じスピード(1秒以下)でマルチステップ・クエリを実行できる。処理速度という点で、アプリケーション・サイドの革命が起こると思う」(プラットナー氏)
同氏は、データベース管理やデータ処理に対するハイブリッド・アプローチを打ち出している。例えば、停電が発生した場合、インメモリで保持されている情報は失われる可能性がある。しかし、このデータは、従来のハードディスクではなく、SSD(Solid State Disk)を使用する永続ストレージからすぐに読み込んで再構築することができる。
プラットナー氏は、インメモリ技術の進化に伴いプログラミング・モデルがどのように変化するのか研究しているとしたうえで、「アプリケーション・コードは、大きく変わることになる」と強調した。
しかし、インメモリ技術については、懐疑的な意見も少なくない。米国OracleのCEOであるラリー・エリソン(Larry Ellison)氏は、2010年1月に開催されたあるイベントで、SAPが打ち出した目標を揶揄した。
このときエリソン氏は、「インメモリ・データベースについては、私も色々と聞いている。またわれわれには有力なインメモリ・データベースである『TimesTen』もある。しかし、インメモリ・データベースが近い将来リレーショナル・データベースに取って代わるという考え方はばかげたものであり、SAPが作り出した夢物語に過ぎない」と語った。
またエリソン氏は、SAPには自分たちのビジョンを実現するだけの技術力がないという趣旨の発言もしている。
「インメモリ・データベースは、非常に複雑な技術だ。当社も、多大な努力を傾注しているが、極めて複雑な作業になっている。SAPも、10年、あるいは20年間にわたって作業を続けていけば、そのビジョンに近づくことができるかもしれない。しかしこの件は、あまりにもばかばかしいことなので、まじめな顔でコメントするのは難しい」(エリソン氏)
一方、今回のビデオ・インタビューでプラットナー氏は、エリソン氏のこうした批判にも言及している。
「エリソン氏は、データベース分野のあらゆる出版物に目を通しているのだろう。同氏は、インメモリ・データベースについて知っており、この技術が実用化されつつあることも理解していると思う」(プラットナー氏)
しかし、米国Monash Researchのアナリスト、カート・モナシュ(Curt Monash)氏も、SAPがデータベース市場の有力企業になる可能性については懐疑的だ。同氏は、SAPがデータ管理技術のニッチ市場で優れた業績を上げる可能性は認めつつも、データベース・プラットフォーム・ソフト市場でリーダーになることはできないと指摘している。また、SAPが提携関係にあるデータウェアハウス・アプライアンス・ベンダーのTeradataを買収するといううわさについても、自社のBI部門とTaradataの位置づけがはっきりせず、デメリットのほうが大きいとして、実現する可能性は低いとの見方を示した。
(Chris Kanaracus/IDG News Serviceボストン支局)



























