クラウド型オフィス・アプリケーションは使い慣れたローカルアプリを代替できるか[後編]|企業クライアント戦略|トピックス|Computerworld

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企業クライアント戦略

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【解説】

クラウド型オフィス・アプリケーションは
使い慣れたローカルアプリを代替できるか[後編]

オフィスワーカーの生産性を左右する重要基盤の未来を探る
(2012年01月31日)

 ドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーション・データをWebブラウザ上で作成・閲覧・共有できるクラウド型オフィス・アプリケーションは、オフィスワーカーの生産性と利便性を向上させ、さらに社員間のコミュニケーション/コラボレーションを促進することで、企業競争力をいっそう高めるものと期待されている。また、従来型オフィス・アプリケーションに比べ、導入・運用管理の負荷やコストを削減できるものとしても注目されている。本稿では、そうしたクラウド型オフィス・アプリケーションの代表格であるグーグルの「Google Apps」とマイクロソフトの「Office 365」を例に、従来型とクラウド型の違いや、メリット/デメリットなどを明らかにする。

これまでのドキュメント(アプリケーション)資産は
簡単にクラウドに移行できるのか?

 起業や新規ビジネスでないかぎり、企業内にはこれまでのドキュメント資産が蓄積されているはずだ。この蓄積された資産を、クラウドに移行できるかどうかは、大きな課題である。単に、クラウド上の記憶スペースにアップロードするだけでよいという場合でも、膨大なデータをすべて移行するのは大変な作業であるし、むだも多く発生する。資産の多くは、だれもアクセスしないか、めったに利用されることがないものかもしれない。

 現在、アクティブに利用しているデータと、アーカイブしてもよいデータを分類し、必要なものだけを移行するべきである。その場合、アーカイブしたデータをいつでもアプリケーションに依存せずに容易に参照できるように、標準フォーマット(PDFなど)に変換して、保管しておくとよい。ファイル形式の変換ツールは、さまざま存在する。

 既存のドキュメントをクラウドに移行する場合、現在のファイル形式のままアップロードすることもできるし、クラウドのアプリケーションに対応した形式に変換して保存することもできる。

 現在のファイル形式のままアップロードした場合は、ローカルのアプリケーションで参照、編集することになるが、参照だけならクラウドが提供するビューアー機能でも対応できる場合がある。Office Web Appsは、Microsoft Officeドキュメントの表示の再現性に非常に優れており、ローカルアプリケーションで参照するのとほとんど変わらない(画面13)。


画面13:Word Web Apps(左)とWord 2010(右)の表示の比較。ほぼ忠実に再現できている

 ただし、編集画面に切り替えると、ドキュメントの内容によってはWYSIWYGで編集(印刷イメージのまま編集)できないことがある。編集画面で編集したからといって、オブジェクトが失われてしまったりすることがないように設計されているそうだが、ドキュメントによっては事実上編集不能なものもある(画面14)。


画面14:Webブラウザの表示(左)を編集画面(右)に切り替えると、この例のように編集しようがないことも…

 Google Docsの場合は、Officeファイル形式をそのままアップロードしても、Google Docsのビューアー機能で参照することが可能だ(画面15)。参照はWebブラウザで、編集はローカルアプリでという使い分けが必要になる。また、Google Docsのビューアーは元のOfficeファイル形式の表示を忠実に再現できないことがある。


画面15:Google DocsによるWord 2010ドキュメントの表示(左)と、Word 2010によるオリジナル表示(右)の比較。表示を忠実に再現はできていないが、内容を確認するだけなら許容範囲かもしれない

 ファイルサイズが1MB以下であれば、アップロード時にGoogle Docsの形式に変換することが可能だ(画面16)。1MBというのはOfficeファイルとしては小さいほうなので、変換できないものが多く残ってしまうだろう。また、変換できたとしても、ドキュメントの体裁が大きく崩れたり、オブジェクト要素が失われたりすることがあるので、あくまでもテキスト要素を移行できるだけと考えたほうがよい。


画面16:Word 2010ドキュメント(.docx)(右)をGoogle Docsの文書形式に変換したもの(左)。ドキュメントの体裁はまったく崩れてしまうが、テキスト要素はほとんど残っているようだ

 Microsoft Officeアプリケーションの場合は、マクロやVBA(Visual Basic for Applications)アドインを使用した簡単なアプリケーションから、基幹業務システムのフロントエンドまで、Microsoft Officeアプリケーションの自動化機能やプログラミング機能を利用した資産もあるだろう。そのようなドキュメント/アプリケーション資産を、機能を維持しながら、そのままクラウドに移行するのは、非常に困難である。

 例えば、Wordの差し込み印刷機能を活用しているという場合、クラウド版オフィス・アプリケーションで実現することはできない(画面17)。クラウドのサービスにとって、ドキュメントの配布方法は共有やデータ送信であり、印刷という機能はさほど重要でないから、今後も差し込み印刷機能が提供されることはないと考える。


画面17:内状やFAXシートの作成に便利なWordの差し込み印刷機能。クラウドのサービスでは利用できない

 Microsoft Officeのマクロやアドインは、Google DocsやOffice Web Appsではサポートされない。既存のアプリケーションをそのまま移行することはできないのである(画面18)。


画面18:Google Docsのスプレッドシートでは、Google Apps Scriptがサポートされる。Excelのマクロのように使用できるが、互換性はない

 Google Appsの場合は、「Google Apps Script」がサポートされ、自動化やアプリケーションの作成が可能になっているが、既存のマクロを変換してくれたりはしない。Office Web Appsでは、Excel ServicesというSharePointベースのアプリケーション開発がサポートされるが(プランE3およびE4が必要)、これはデータ分析やレポートのための計算サービスであり、従来のマクロやアドインとは異質なものだ。

 このほか、Microsoft Officeのデジタル著作権保護技術である「IRM(Information Rights Management)」は、Office Web Appsではサポートされない。IRMで保護されたドキュメントを参照するには、ローカルのMicrosoft Officeアプリケーションの使用が必須である(画面19)。


画面19:IRMで保護されたドキュメントは、ローカルのMicrosoft Officeアプリケーションで開く必要がある

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