自分専用の基地局で無通・遅延の恐れナシ
次世代ワイヤレス技術まるわかり 第7回 フェムトセルいつでもどこでも使えるというのが無線技術のウリのはずだが、サービスエリア内であっても、何らかの問題で電波が入りにくかったり、混雑して使いにくかったりする場合もある。そこで、新しい方式として登場したのが、個人用のミニ基地局を増設する「フェムトセル」というサービスだ。
「個人用の基地局」を増設する
フェムトセル
現行の移動体通信システムは、サービスエリア内に複数の基地局を設置する方式を採っている。個々の基地局がカバーする範囲のことを「セル」と呼ぶが、送信出力の違いによってカバー範囲が異なるため、このセルもさらに幾つかの種類に分類される。
携帯電話の場合、通常の基地局は半径500メートル〜数キロメートル程度の範囲をカバーでき、「マクロセル」などと呼ばれる。基地局のカバー範囲が広いぶん設置密度を抑えられるので、設備投資面では有利になる。しかし、建物や地形の影響によって不感地帯が生じやすいほか、地下街やトンネル内部にも電波は到達しにくくなる。
これに対して、基地局の送信出力を抑えてカバー範囲を半径数百メートル程度にせばめたセルが、PHSで採用されている「マイクロセル」だ。マクロセルと比べ、基地局を小型・安価にすることができるため、地下街や地下鉄の駅、トンネル内など、地上に設置したマクロセルの基地局だけでは対応できない場所をきめ細かくカバーするために利用される。
そして、マイクロセルよりもさらに基地局の送信出力を抑えて、カバー範囲を半径数メートル程度としたのが「フェムトセル」だ。これは家屋内やオフィス内など、ごく限られた範囲で発生する不感地帯を埋めるために使用される。
ウィルコムでは「ホームアンテナレンタルサービス」として、フェムトセル基地局に似た機器を貸し出すサービスを行っている。現在のPHSで用いられている1.9GHz帯の電波は回折しにくく、障害物の影響を受けやすいため、基地局のない屋内は不利だからだ。
ただしこの機器は、屋外からの電波を窓際で受信し、増幅した電波を屋内に再送する(あるいは屋内の電波を屋外に向け再送する)“中継器”であり、フェムトセル基地局とは役割がまったく異なる。フェムトセル基地局は、有線ネットワークを介して携帯電話事業者のバックボーンに直接接続し、電波の中継器ではなく超小型の基地局として動作するのである。
電話がつながりにくい、データ通信が遅いという障害の原因は2つある。1つは電波が室内に届きにくいという点で、これは前述したウィルコムのホームアンテナのような中継器でも解消できる障害だ。
もう1つは、1つの基地局で受け付けられるユーザー数をオーバーしてしまうような場合だ。例えば、スポーツやコンサートなどのイベント会場で、電話がつながりにくくなることがある。当事者ならまだがまんできるが、会場の近くに住んでいるユーザーにとっては迷惑この上ない。フェムトセルは、家庭内に専用の基地局を増設できるため、混雑で使えなくなるということはない(図1)。
現行の携帯電話サービスにおいては、NTTドコモがFOMA向けの超小型基地局装置をワイヤレスジャパン2007で展示、ソフトバンクはボーダフォンと共同で開発を進めており、法規制の緩和を待っている段階だ。また、英ピコチップ・デザインズは2007年11月19日、モバイルWiMAX向けのフェムトセル製品のリファレンスデザインを発表しており、2008年第3四半期には正式発表を行う予定とのことだ。



























