HPを明るい未来へと導く「新リーダー」は誰?|IT業界動向|トピックス|Computerworld

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HPを明るい未来へと導く「新リーダー」は誰?

大型合併の蹉跌で尽きたフィオリーナ氏の命運
(2005年02月20日)

ビッグ・ベンダーがたどった苦難の道のり

 業界を驚かせた210億ドル規模の歴史的な大型合併──この大仕事をまとめ上げるために、HPの会長兼CEO(最高経営責任者)、カーリー・フィオリーナ氏(写真1)は寸暇を惜しまず走り続けてきた。この合併でHPは確かに製品ラインを拡充できたし、事業の合理化を通して一定のコスト削減効果も表れた。だが、結局のところ、HPのほとんどの事業部門において、期待したほどの市場シェアの拡大は望めず、主力製品では唯一プリンタ事業部門のみが、マーケット・リーダーとして気を吐くにとどまっている。今年2月8日時点のHPの市場シェアは、フィオリーナ氏がCEOに就任した1999年7月当時と比べ、実に33%も下落してしまった。「合併からこちら、足場の定まらない状態が続いている」。米国の市場調査会社ガートナーのリサーチ・バイスプレジデント、ロジャー・コックス氏は、HPの苦境をこう表している。


写真1:カーリー・フィオリーナ氏。6年間、さまざまな課題と格闘してきた業界一華やかなリーダーは、心半ばにしてHPを退くことになった

 HPの取締役会は、フィオリーナ氏とHPの経営手法における相違を解任理由に挙げ、同氏のとった戦略そのものが問題だったわけではないと繰り返し説明している。フィオリーナ氏はHPの多様化と規模拡大を持論としてきたが、一部のアナリストや投資家はこれとは反対の考えを持っており、同氏の戦略をしばしば論難した。すなわち、苦戦の続くPC事業を整理して、“ドル箱”であるプリンタ事業に注力すべきだというのである。
 暫定CEOには、CFO(最高財務責任者)のボブ・ウェイマン氏が、そして、経営代表権を持たない取締役会会長には、1998年より取締役会のメンバーを務めていたパトリシア・ダン氏がそれぞれ任命された。暫定CEOと新会長は、2月9日の記者会見に出席し、フィオリーナ氏が去った後も、同社の基本戦略に何ら変更はなく、今求められているのは、その戦略を迅速に遂行するスピードであると強調した。
 また、同社のアダプティブ・エンタープライズ・コンセプトを牽引するソフトウェア事業部のゼネラル・マネジャーを務めるノラ・デンゼル氏も、9日の会見とは別のインタビューで次のように発言し、同様の認識を示した。
 「当社の管理職と取締役会は、同じ1つの戦略を奉じている。ただ、カーリーと取締役会では、その戦略の遂行の仕方に違いがあった」(デンゼル氏)
 数年来、フィオリーナ氏は執行部とせめぎ合いながら、自らが掲げた事業拡大路線を維持しようと努めてきたものの、その結果は思わしくなかった。2000年11月、HPは4億7,000万ドルを費やしてミドルウェア・ベンダーの米国ブルーストーンを買収したが、ビジネスの成功には結びつかなかった。また、フィオリーナ氏はコンパックとの交渉以前より、米国プライスウォーターハウス・クーパーズ(PwC)のコンサルティング事業部門に食指を動かしていたものの、買収額が180億ドルにまで跳ね上がってしまったため、契約は成立しなかった。なお、その2年後には米国IBMがPwCコンサルティングを35億ドルで手に入れている。

今のHPに必要なのは「強力なリーダーシップ」なのか

 米国の管理職専門の人材派遣会社クリスチャン&ティンバーズCEOのスティーブン・メイダー氏は、1999年にフィオリーナ氏をHPへ引き抜いた人物である。今、メイダー氏は、現在のHPは過渡期にあると見ており、次期CEOにはルイス・ガースナー氏(写真2)のようなタイプが適任だとコメントしている。ガースナー氏は1992年、専門知識を一切持たないままIBMのCEOに着任し、低迷期にあった同社を、柔軟性に富むサービス・プロバイダー企業へと変身させた立役者だ。HPは数カ月以内に新CEOを正式発表すると見られるが、メイダー氏によると、その人選は「意外なものになりそうだ」という。
 「HPの未来を楽観視させる材料は、現在のところ見当たらない。そんなHPに必要なのは、ガースナー氏のような人材だ。あたかも軍を率いる司令官のように、従わない者には『私の戦略に不満がある? ならば、あなたはこの会社にいらない』と言えるような強いリーダーシップを持ったCEOが必要なのだ」(メイダー氏)


写真2:“IBMを変えた男”、ルイス・ガースナー氏。クリスチャン&ティンバーズのスティーブン・メイダー氏は、「今のHPには、ガースナー氏のような強力なリーダーが必要だ」と話す

 ただし、こうした専制君主は、投資家の支持は得ても、社内からは猛烈な反発を受けるだろう。比較的穏やかな社風で知られるHPに活力を吹き込もうと奮闘したフィオリーナ氏も、しばしば社員の不興を買っていた。9日の同氏の解任を喜んだ者も、少なからずいたはずである。
 アナリストらは、HPが同社の多様性を最大限に生かして、新しい価値を生み出す努力をすべきだと口をそろえる。英国の市場調査会社オーバムのアナリスト、ダグラス・ヘイワード氏もその1人だ。
 「あれほど多岐にわたる事業部門も持っているなら、製品開発やサービスを補完し合うことで競争優位に立つことがいくらでもできるはずだ。これを機に、こうした好循環を確立すべきである。戦略を根本から見直せとまでは言わないが、今のHPでは、機能すべき部分が機能していないことは明らかだ」(ヘイワード氏)

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