「Vista Capable」訴訟で、マイクロソフトのバルマーCEOに裁判所の証言命令
バルマー氏がキャンペーン・プログラムの内容に深く関与していたかどうかが焦点米国連邦地方裁判所のマーシャ・ペックマン(Marsha Pechman)判事は21日、米国MicrosoftのCEO(最高経営責任者)、スティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏に対し、「Vista Capable」プログラムを巡る集団訴訟において証言を行うよう命じた。
Vista Capableは、Windows Vista発売前の2006年に実施されたキャンペーン・プログラムである。これは、当時販売されていたWindows XPプリインストールPCのうち、「Windows Vista Home Basic」エディションの動作要件を満たすPCに「Windows Vista Capable」と書かれた販促用ステッカーを貼るというものだった(関連記事)。
しかしながら、Aeroインタフェースに代表されるVistaの特徴的な機能はより上位のエディション(Home Premium以上)でしか利用できず、大半の「Vista Capable」PCのスペックでは動作しないものだったため、PCを購入した消費者から「Capable(能力がある)」という表示が不当であるとして集団訴訟が起こされていた。
Microsoftは前日の20日、同プログラムのハードウェア要件の緩和についてバルマー氏は知らなかったとして、証言要求を棄却するよう求めていた。しかし裁判所はMicrosoftの主張を認めず、ペックマン判事はバルマー氏に対し、30日以内に原告の弁護団と面会し、3時間以内の証言録取(デポジション、弁護士の尋問に答え証言する作業)を行うよう命令を下した。
Microsoftの広報担当者デビッド・ボウワーマスター(David Bowermaster)氏は電子メールでの取材に応じ、「当然、裁判所の命令には従う」と述べた。
Microsoftは先月、バルマー氏はVista Capableプログラムの詳細については知らなかったとして、証言録取を回避しようとしていた。同社が提出した記録によれば、バルマー氏は「自分はWindows Vista Capableプログラムの運営の意志決定には携わっていない。同プログラムの参加対象となるシステム要件の設定についても関与しなかった。また、同プログラムに関するマーケティング戦略や宣伝文句などの考案にも無関係だった」と述べている。
Microsoftは、Vista Capableプログラムに関する意志決定に最も深く関与していたのは、同社の元幹部だったジム・オールチン(Jim Allchin)氏(2007年1月に退社)およびウィル・プール(Will Poole)氏(2008年9月に退社)だと主張している。同社は21日にもこの見解を繰り返し、ボウワーマスター氏は「Vista Capableプログラムに関するバルマー氏の知識は、同プログラムの運営および意志決定の責任を担っていた元幹部からの報告に基づくものだ。既に2人の元幹部はこの件に関する証言を行っている」と説明した。
10月に提出されたバルマー氏の陳述では、同氏が把握していたプログラム内容はオールチン/プール両氏からの報告のみ、としているが、マーケティング戦略のため米国Intelなどパートナー企業の上級幹部と「技術要件や時期設定などについて、短い話し合いを行った」ことは認めている。
原告側弁護人が強い関心を持っているのは、Intel幹部との会談の内容にほかならない。先月裁判所に提出された書類には、2006年1月にバルマー氏がIntel CEOのポール・オッテリーニ(Paul Otellini)氏と会談したという記述がある。Microsoftはその時期に、旧式で処理能力の低いIntel 915チップセットを搭載したPCでも「Vista Capable」ロゴが表示できるよう、同プログラムのハードウェア要件を緩和している。弁護側は、オッテリーニ氏や米国Hewlett-Packard(HP)のCEOであるマーク・ハード(Mark Hurd)氏など、バルマー氏が複数企業の幹部と行った会談の内容について公式記録を得るため、バルマー氏の証言録取を求めていた。
ベックマン判事は「原告の主張は、バルマー氏がVista Capableプログラムに関連する事実を(直接)知っていた可能性があることを十分に示している」とし、原告の申し立てを認めた。
裁判所命令は特に、バルマー氏が「プール氏がIntelとの問題を解決したかどうかについては確信がない」と述べた点にも触れ、「裁判所の観点からは、証言を要求する条件を満たす」とした。なおプール氏は、Vista Capableプログラムのシステム要件を変更する決定を下したことを認める証言を行っている。
Microsoftによると、バルマー氏はこれまでにも数件の訴訟において証言録取を行ったことがあるという。
2007年4月に始まった今回の集団訴訟では、裁判所に提出されたMicrosoftの社内メールから、Microsoftの幹部がIntelを優遇しようとしたことや、VistaをAppleのMac OS Xと比較されることを懸念していることを示す社内のやり取りが明らかになり、注目を集めている。
同訴訟は、来年4月に法廷で審理される予定となっている。
(Gregg Keizer/Computerworld 米国オンライン版)
























