的確な経営判断を行ったITベンダーの株価が上昇
今週は、的確な経営判断を行ったITベンダーの株価が上昇した。今年のIT市場は緩やかな成長にとどまる見通しだが、俊敏さと創造性を発揮したベンダーは見返りを得ているということだ。
株式市場では、過去7カ月にわたって着実に上昇してきた企業株価の調整に備える動きが出てきており、それに伴って株価指数は下落基調にある。しかしIT投資家は、賢明な投資やリストラを決断したと思われる企業の株に活発に買い注文を入れている。
EMCが2月7日に行った発表は多くの投資家に歓迎された。仮想化ソフトを手がける子会社ヴイエムウェアの株式の10%を新規株式公開(IPO)するとアナウンスしたからだ。米国住宅市場への懸念から株式市場が下落した8日、EMC株は同日午後に99セント高の14ドル58セントで取り引きされた。
ヴイエムウェア株の一部公開により、注目度が高い仮想化技術を提供する同社に市場資金が投入される一方、ユーザーと投資家は、EMCのストレージ事業をヴイエムウェアの事業と分けて分析しやすくなる。多くのアナリストは、EMCが株式市場で過小評価されていると見ている。
今週はヒューレット・パッカード(HP)株も好調に推移した。同社が2月5日に発表したブリストル・テクノロジー買収が投資家に好意的に受け取られたからだ。HPは、この買収が自社のBTO(Business Technology Optimization)製品の強化につながるとしている。
シスコシステムズ株は2月7日、前日に発表された2007年度第2四半期(2006年11月-2007年1月期)の好決算を受けて急騰し、高値を維持した。主要事業の好調さに加え、ストレージ事業と開拓中の事業が成長したことが貢献したと見られるが、これはまさに市場観測筋が期待していたことだった。
シスコの好決算を受けて、投資会社のロバート W.ベアードは、シスコ株の格付けを「Neutral(中立)」から「Outperform(市場全体を上回る)」に引き上げている。
セキュリティ、ストレージ、無線デバイス、サーバ最適化技術に対するユーザーの需要は依然として大きいというのが、アナリストたちの一致した見方だ。また彼らは、中小規模企業や開発途上国がIT市場の成長を牽引すると見ている。調査会社IDCの中小規模企業/ホーム・オフィス・リサーチ担当副社長、レイ・ボッグズ氏は、「2007年には世界中で、SMB(中堅・中小企業)に先進技術を提供する機会が大幅に増えるだろう」とリポートの中で述べている。
一方、最新の動向に対応しようと取り組んでいる企業は、損失を大目に見てもらえる場合もある。ISP(Internet Service Provider)のアースリンクがその好例だ。
同社が2月6日に発表した2006年度第4四半期決算は、最終損益が前年同期の2,920万ドルという黒字から2,480万ドルの赤字に転落した。その主因は、韓国SKテレコムとの合弁会社であるヘリオへの投資にあった。しかし、同社は成長する機会をとらえようとしているとして称賛された。
「ISP業界は転換期にある。そうしたなか、アースリンクは米国でブロードバンド、無線インターネット、インターネット電話といった新しい事業機会にフォーカスしている」(通信アナリストのジェフ・カーガン氏)
ゴールドマン・サックス・グループのアナリスト、アンソニー・ノート氏は、四半期損失にもかかわらず、アースリンク株を「Sell(売り推奨)」から「Neutral(中立)」に格上げした。同氏は調査リポートの中で、「われわれは、アースリンクは損失の影響を最小にとどめると見ている。ヘリオへの投資の打ち切り、LBO(被買収企業の資産などを担保に買収資金を調達)やMBO(経営陣による企業買収)、あるいは資本再構成によるリストラなど方法はいくらでもあり、同社は柔軟に行動するはずだ」と述べている。
(マーク・フェランティ/IDG News Service ニューヨーク支局)
























