AMD、ATI買収の成果となるSpiderプラットフォームをリリース
新世代クアッドコア・プロセッサ、グラフィックス・カード、チップセットが統合米国AMDは11月19日、同社の新世代のクアッドコア・プロセッサ、グラフィックス・カード、チップセットを統合したプラットフォーム「Spider」(開発コード名)をリリースした。同プラットフォームは、PCのグラフィックス性能、ワット当たり性能、高精細ビデオ表示の向上を目指したものである。
AMDによると、ゲーマーや熱心なマルチメディア・ユーザー向けに販売されるSpiderプラットフォーム採用のデスクトップPCは、Spiderと同じく19日にリリースされたクアッドコア・プロセッサ「Phenom」を搭載し、複数のATI製グラフィックス・カードを装備できるという。これらにより同社は、「究極のビジュアル・エクスペリエンス」をユーザーに提供できるとしている。なお、Spiderプラットフォームを搭載するPCも19日から販売される。
Phenomに関しては、従来のAMDプロセッサが2つのキャッシュを搭載していたのに対し、Phenomでは3つの共有キャッシュを搭載できるため、メモリ性能が向上している。AMDのデスクトップ・システム担当プロダクト・マーケティング・ディレクター、レスリー・ソボン氏によると、最初のラインアップはクロック周波数が2.2GHzのPhenom 9500と2.3GHzの同9600で、2008年第1四半期には2.4GHz〜2.6GHzというPhenomの最速モデルが投入される予定という。Phenom 9500と同9600の価格は、それぞれ251ドル、283ドルだ。
Phenomは65nm(ナノメートル:ナノは10億分の1)プロセスで製造され、多数の省電力機能を備えている点がインテルの最新プロセッサPenryn(開発コード名)と異なる、とソボン氏は語っている。同氏によると、Phenomにはアプリケーションの動作状況を検知し、それに合わせて消費電力を調整するソフトウェアが組み込まれている。また、同プロセッサでは、「アプリケーション性能を向上させるハイパースレッディング技術が強化されている」(ソボン氏)という。
Spiderプラットフォーム・ベースのPCには、グラフィックス・カードとして「ATI Radeon HD 3850」または「ATI Radeon HD 3870」が搭載される。これらのグラフィックス・カードは、PCの全体的な画像表示品質を高めるマイクロソフトのDirectX 10.1仕様をサポートする。
DirectXは、マイクロソフト・プラットフォーム上でゲームの画像やビデオなどマルチメディアのレンダリングを行うインタフェース。これらのカードはUVD(Unified Video Decoder)のサポートにより、高精細ビデオの高品質なレンダリングが可能であるため、HD DVDやBlu-rayの表示を向上させる用途でも利用できる。
さらに、SpiderはCrossfireX技術をサポートする。この技術は、最大4枚のグラフィックス・カードを協調動作させることで、システムのグラフィックス性能を向上させるものだ。CrossfireX技術のサポートにより、Spiderではグラフィックス性能の拡張性が確保されるという。
ソボン氏は、CPUとGPUを1つのプラットフォームにパッケージングすることで、PCはより買い求めやすい価格になる、と語っている。「グラフィックス・カードのようなコンポーネントを他社から買うこともできるが、その場合は割高になるだろう」(ソボン氏)
さらにソボン氏は、SpiderはAMDのATI買収がもたらした最初の果実だと語った。昨年ATIを54億ドルで買収したAMDは、「Fusion」(開発コード名)と呼ばれるチップも開発する計画だ。Fusionは、GPUとCPUを1つのダイに統合するもので、2008年末か2009年初めにリリースされる見通しだ。
しかし、ATIを買収してからのAMDは苦しい状況が続いている。プロセッサ市場でインテルにシェアを奪われているほか、ATI買収の関連コストが響き、4四半期連続で赤字を計上している。
なお、インテルとVIAテクノロジーズは過去に、グラフィックス・プロセッサとCPUを統合したプラットフォームの提供を断念している。インテルは2000年にTimnaプロジェクトを打ち切り、VIAはMatthewプロジェクトを中止した。
(アガム・シャー/IDG News Service サンフランシスコ支局)
























