「ITは次の革命期を迎えつつある」――CeBITでBallmer氏が講演
みずからの引退時期を示唆?「あと9年IT業界にとどまれば、次の革命も体験できる」ドイツ・ハノーバーで3月4日に開幕した世界最大規模のIT展示会「CeBIT 2008」のオープニング・セレモニーに、米国MicrosoftのCEO、スティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏が登壇した。講演で同氏は、ITが間もなく「次の変革期」を迎え、人間がより自然な方法でコンピュータとのインタラクションを行えるようになるとの見解を披露した。
「28年前にMicrosoftに入社して以来、私は、4度の「革命」を体験してきた」――Ballmer氏の説明によると、1回目が一般消費者の手に届く価格のPCの出現、2回目はGUIの登場、3回目はインターネットの台頭、そして最後は、前回Ballmer氏が参加した2002年のCeBITではまだ始まったばかりだった「Web 2.0革命」だ。
約7年に1回というスピードで革命が起こっている過去の状況から、Ballmer氏は近い将来、次の革命がやってくるとした。「プロセッサの処理能力の向上やストレージ容量の増加、ワイヤレス・ブロードバンド・アクセスの普及などに後押しされ、今新たな革命が起こりつつある」と同氏。また、「マウスやキーボード、メニューの使い方などを覚えなければならないコンピュータは、まだ“不自然”な存在だ」と述べ、だれでも利用できる自然なGUIの開発が今後大きな役割を担うと強調した。
「われわれは、競合に先駆けて音声/手書き文字認識技術の開発を行ってきた。コンピュータとの通信は、人間同士がコミュニケーションを取るときと同じ形に近づく。特定の作業を効率よく処理するために、キーボードやマウスは必要かもしれないが、手を振るなどの仕草でコンピュータに指示を与えることも可能になっていくだろう」(Ballmer氏)
Ballmer氏は、次の革命期にはおそらく、紙という媒体は確実に時代遅れのものになると語った。しかし、その一方で、コンピュータのモニタにも縛られず、より手近にあるディスプレイに各機器を接続して表示し、あるいは周囲にある物の表面を利用して情報を投影するようになるという。
Ballmer氏は、次のIT革命が「個人の権利拡大」「ソーシャル・インタラクションの拡大」「地球規模の社会問題の解決」という3分野に大きく影響を与え、2015年までにはその効果がはっきり見えるようになるだろうと述べた。また同氏によると、その際には、「単一のデジタルIDの所有」「人間の習慣に対応するソフトウェアの登場」「個人情報のユビキタス化」という3つの革新が生み出されるという。
Ballmer氏の言う個人の権利拡大とは、どこにいても自分の予定表や住所録、写真アルバム、経路案内や電子メールにアクセスできることを指す。ログインすればすぐにこれらの個人情報にアクセス可能となり、同時にソフトウェアやサービス、コミュニケーション手段などもあらゆる場所で提供されるようになる世界だ。「次の時代に、必要なのは自分の名前だけである。ソフトウェアが欲しい情報を得るために、最適な通信方法を自動的に選んでくれるからだ」と、同氏は説明した。
2番目のソーシャル・インタラクションの拡大についてBallmer氏は、「万人にとってよいことばかりではなく、雇用の喪失につながる可能性もある」と指摘した。同氏は今回のハノーバー出張の準備を例に挙げ、「コンピュータはまったく役に立たなかった。旅行の手続きを任せるには十分な知能を持っていない」とし、コンピュータではなく、秘書にすべての手続きをまかせざるをえなかった、とぼやいた。
しかし同氏は、次の革命で、ソフトウェアが人間の行動・習慣を学習し、対応できるようになると考えている。また、さらなるブロードバンドの進展およびプロセッサの処理能力向上により、人の交流にかかわるコミュニケーション技術が、よりリアルの状態に近づくという。
Ballmer氏は3番目の地球規模の社会問題の解決について、学校に通えない子供たちがテクノロジーの普及で情報にアクセスできるようになり、よりよい教育環境の実現につながると述べた。また、「消費電力の管理が向上することで環境保護にも貢献できる」と語った。
講演の最後に同氏は、Microsoftの会長、ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏が間もなく経営の第一線を退くことに触れた。このときBallmer氏は、みずからの退任のタイミングを示唆するかのように「私があと約9年間この業界にとどまれば、次の1回半の革命を体験するには十分な期間だろう」と述べた。
(Peter Sayer/IDG News Service パリ支局)



























