電子書籍普及に立ちはだかる問題点 第1回
続々と登場する端末機器。なぜ今、電子書籍なのか――2010年12月、ソニーとシャープが相次いで電子書籍事業をスタートさせた。そのソニーと電子書籍配信について提携関係にあるKDDIも、自社端末に対するサービスを12月25日からスタートさせている。ソフトバンクも自社のスマートフォン(Android)向けにソフトバンクブックストアをスタートさせると発表しているほか、大日本印刷と提携するNTTドコモも、2011年1月にもサービスを開始したいとしている。いつから日本は電子書籍大国?になったのだろうか。
急成長する市場、北米ではKindleが首位
今回も当事者の1人であるソニーは、2004年に他社に先駆けて電子書籍事業に参入した。が、端末(LIBRIe EBR-1000EP)に対する高い評価とは裏腹に、コンテンツの不足、コンテンツ提供形態(販売ではなくレンタルのみ)の問題などにより、一旦は撤退を余儀なくされている。
日本の消費者にとって、電子書籍がそれほどプラスのイメージだとは思えないし、一部を除けば渇望されているとも考えにくい。では、なぜ今、電子書籍なのか――。
その最も大きな理由は、米国において電子書籍市場が大きく成長しているからだ。あまりに若い市場だけに正確なデータに乏しいが、米国の電子出版業界団体である「IDPF(The Internatinal Digital Publishing Forum)」のデータを見れば、急成長している様がよくわかる。
IDPFによるとその市場規模は1億1970万ドル(2010年第3四半期)とまだ小さいが、その伸びは顕著だ。
この北米市場を牽引しているのが、米国Amazon.comの「Kindle」である。2007年11月にサービスをスタートさせたKindleは、「E-ink*」を使った端末と、自社サイトによる電子書籍のダウンロード販売を主力としている。そのシェアは60%とも80%とも言われるが、現時点において断トツの存在であることは間違いない。すでに端末は3世代目に入り、北米では新刊書籍であれば、大半のものをKindleで読むことができる。
Kindleを追いかける存在として、2位の座にあったのがソニーの「Reader」(米国版)である。販売は2006年9月とKindleより古いが、シェア的には水をあけられている。そのソニーを激しく追い上げている(もしくは追いついた)のが、全米規模の大型書店チェーンであるBarnes&Nobleが展開する「Nook」だ。
2009年11月に登場したNookは、2010年に値下げやカラー版(Nook Color)を投入するなど、急速に存在感を高めている。ソニーはReaderの国内向け発表会において、北米地区における電子書籍端末のシェアが、2009年の約35%に対し、2010年は低下していることを認め、その理由としてAmazon.com(Kindle)とBarnes&Noble(Nook)が利益を度外視した端末の価格競争をしかけてきていることを挙げたほどだ。
この3社に続くのが、米国Appleではないかと思われる。しかし電子書籍分野におけるiBooksのシェアは、それほど高いとは考えられていない。それでもKindleのリーダーソフトウェアが「iPad」やMacといった同社のプラットフォーム上で動作することが、電子書籍分野におけるAppleの存在感を高めている。Kindle、Reader、Nookといった専用端末を除く多機能端末の中で、最も注目を集めているデバイスがiPadであることは間違いない。
* 米国E-ink社の表示デバイス。表示に液晶ではなくマイクロカプセルを用いる。電子ペーパーとも呼ばれ、紙に近い読みやすさで目が疲れにくい。KindleやソニーのReaderに使われているほか、かつてのLIBRIe(ソニー)でも採用されていた。
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