本の特盛り――横山哲也の読書のススメ
「あなたを天才にするスマートノート」「Windowsコマンドプロンプトポケットリファレンス」読書離れが叫ばれて久しい。特に近年はインターネットの発達とWebサイトやブログの普及により、実際に紙の本を読む必要性は減っている。そのため、出版社の収益が悪化し、需要が見込めない企画を敬遠するようになった。こうして書店には似たような企画の本ばかり並び、ますます読者が離れていく――。
横山哲也/グローバル ナレッジ ネットワーク
しかし、評論家の岡田斗司夫氏は、「日刊SPA!」(扶桑社)のインタビューでこう語っている。
(前略)本という無駄な紙の塊の中から、自分がここだって思うことを抜き出すのって脳の筋力なんです。筋力が落ちてるのに、どんどん歯当たりの良いモノばかりを出されてきて、それを咀嚼すればいいと思ってるんですけど、筋力が落ちてるから栄養価として取り入れられないんです。カロリーばかり高くて脳が肥満化してるんです。なので主食が本、ネットはおやつ。(後略)
記事になる前の全インタビュー内容を起こしたものが、岡田斗司夫公式ブログに「日刊SPA!「現代のオトナが捨てるべきこと『ネット、トレード、自分探し』」インタビュー・ノーカット版」として掲載されているので、興味を持たれた方はぜひ全文を読んでほしい。
本連載では“主食”としての本を紹介し、知的咀嚼力を高めるためのヒントを提供していく。取り上げるジャンルは、技術書と一般書の両方だ。その理由は2つある。1つは技術だけに偏るのは、脳の地力(知力)を高めるために十分ではないと考えるからだ。もう1つは、筆者自身がそんなに技術書を読んでいないため、多くは紹介できないからだ。
ではさっそくいってみよう。最初は冒頭で紹介した岡田斗司夫氏の“ノート活用術”である。
■あなたを天才にするスマートノート
岡田斗司夫著 文藝春秋/1,575円(税込)
本書の目標は「天才になる」ことである。目標レベルは最低でも岡田斗司夫氏、著者本人だ。
岡田斗司夫氏と言えば、アニメーション/ソフトウェア制作会社「ガイナックス」の創業者であり初代社長である。その岡田斗司夫氏と「最低でも同レベル」になれるというのはちょっと信じがたいが、興味をそそられるタイトルである。
本書では、天才を「発想力、表現力、論理力のすべてが卓越した人」と定義する。そのうえで、段階を追って無理なく3つの要素を強化するための実践的手法が掲載されている。これを読むと「もしかしたら天才になれるかも」という気がしてくる。
ただし「脳は工場ではなく農地である」とし、即効性がないことは断言している。そのため、ここで紹介されたノート術は数年以上にわたって継続する必要がある。始めるモチベーションに比べて、継続するモチベーションは保ちにくいが、そこが本書のポイントだ。
「簡単に継続できる工夫をする」「無理だと思ったら前の段階に戻る」ことで、離脱率を低く抑えている。この工夫はベストセラー「いつまでもデブと思うなよ」(新潮社)で展開される「レコーディングダイエット」の構成と似ている。
必要なものは適当なノート1冊と筆記用具、時間は1日数分以内。規則は多くない。とりあえずノートの右ページから書き始めるだけである。なぜ左ページを空欄にするのかはぜひ本書を読んで欲しい。
筆者は、ノート術の第2フェーズと第3フェーズを行ったり来たりしている初級者だが、それでも効果はある。以前連載していた月1回のコラムに苦労していたのが、毎週のコラムを2年近く、あまり苦労なく続けられているのはノート術のせいだと確信している。
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