本の特盛り――横山哲也の読書のススメ 第4回
マイクロソフトの仮想化製品すべてを網羅し徹底検証、仮想化を扱うすべてのエンジニア必読の一冊知的咀嚼力を高めるため、“主食”となる本を紹介する本連載。第4回目はWindows ServerやWindowsの仮想化について精力的に執筆をしている山内和朗氏の技術書を取り上げよう。
■Windows Server仮想化テクノロジ入門
山内和朗著 日経BP社/5,985円(税込)
ここ数年、IT業界は仮想化ブームである。しかし、コンピュータと仮想化の歴史は古い。デバイス・ドライバは物理装置を仮想化したものだし、プロセスはコンピュータを、スレッドはCPUを仮想化したものである。「仮想化」という言葉がわかりにくければ、「抽象化」と言ってもよい。とにかく「実際はないんだけど、そこにあるかのように扱うこと」が仮想化の意味である。
そもそもコンピュータが行う処理はすべてデータで行なわれ、実体はどこにもない。だから仮想化とコンピュータは非常に相性がよい。仮想化ブームは最近の傾向ではなく、コンピュータの歴史は仮想化の歴史そのものであるし、これからもコンピュータは仮想化と共にある。
さて、マイクロソフトではさまざまな仮想化技術を製品化しているが、全容を理解している人は意外に少ない。製品を扱う部署が複数にまたがるのも理由のひとつだろう。
マイクロソフトの仮想化製品は、サーバーベースの3製品(Hyper-V、リモートデスクトップサービス、VDI)と、クライアントベースの3製品(Virtual PC、MED-V、App-V)がある。本書では、このすべてを扱ったうえで、さらにハードディスクの仮想化としてVHDを扱っている。
VHDはHyper-V上の仮想マシンが使う仮想ストレージだが、Windows Server 2008 R2やWindows 7では物理マシンからでも利用できる。さらに、仮想マシン管理ツールSystem Center Virtual Machine Managerまでカバーしているのは驚きである。
どの製品についても、技術的な詳細に加えて具体的な構成手順が記載されている。注釈を読むと、明らかに自分で操作して検証した“痕跡”が見られるのも好感が持てる。そんなことは当たり前だと思われるかもしれないが、マイクロソフトが出版している書籍ですら「ここは実際に試さず、想像で書いただろう」と突っ込みたくなる箇所が存在するのだ。その点、本書は安心して読むことができる。
ちなみに、仮想化技術を扱うマイクロソフト認定技術者試験は以下の2つである。
■70-659 TS: Windows Server 2008 R2, Server Virtualization
■70-669: TS: Windows Server 2008 R2, Desktop Virtualization
本書を読みこなせば、これら2つの試験に合格し、さらに以下の上位資格を取得することも不可能ではないだろう。これだけの範囲を1冊でカバーしている書籍は、おそらく世界でも例がないはずだ。
■70-693: Pro: Windows Server 2008 R2, Virtualization Administrator
仮想化を扱うすべてのエンジニアにお勧めの本である。
◆著者からも一言◆
本書は、Windows Server 2008 R2 SP1およびWindows 7 SP1のリリースに合わせて、その時点で最新のマイクロソフト仮想化テクノロジを1冊にまとめたものです。校正が終わった直後(2011年3月)にMED-V 2.0とApp-V 4.6 SP1がリリースされたのは悔しかったですが、それ以外はまだまだフレッシュな内容だと思います。フレッシュなうちに、ぜひどうぞ。
「入門」というタイトルですが、かなり「詳細」なとこまで踏み込んだつもりです。本当はSystem Centerの内容も充実させるつもりでしたが、ページ数の都合上、System Centerの章は概要レベルです。正誤表や最新情報はこちらを参照してください。




























