注目のSaaS(Software as a Service)、市場動向と着眼点を知る
主要プレーヤーに見る、戦略やアーキテクチャの相違業務アプリケーションをオンデマンドで利用しようという動きが加速している。今、SaaS(Software as a Services:サービス型ソフトウェア)と呼ばれる市場には、この市場の旗手と言われるセールスフォース・ドットコムをはじめとして、SAP、オラクル、IBM、マイクロソフトといった大手ベンダーも相次ぎ参入。新しい潮流に乗ろうと躍起になり始めた。企業はいつの日か、すべてのアプリケーションをWebから手に入れるようになるのだろうか。ここでは、主要プレーヤーそれぞれの企業戦略に触れながら、SaaSの持つ特性と今後の展望を明らかにする。
マイクロソフトが警戒する「サービスの波」
マイクロソフトの会長兼チーフ・ソフトウェア・アーキテクト、ビル・ゲイツ氏は1995年12月、幹部社員向けに発信した有名なメールの中で「Internal Tidal Wave(インターネットの津波)」への備えがまったくできていないと警告した。それから10年後の昨年10月、ゲイツ氏はもう1通の重要なメールを発信した。それは「Services Wave(サービスの波)」に対する警告である。ゲイツ氏は、そのメールの中でインターネット上で容易にアプリケーションを入手できる環境が整いつつあることを、「次の巨大な変化が目前に迫っている」と表現した。
ゲイツ氏の耳の中で鳴り響いているのは、グーグルを始めとするWeb 2.0企業群の雄たけびに違いない。SaaS(Software as a Service:サービス型ソフトウェア)ビジネスの筆頭に挙げられるのは、オンデマンドCRM「Salesforce.com」を展開するセールスフォース・ドットコムだ。1999年の設立以降、飛躍的な成長を遂げ、直近の四半期決算では契約ユーザー企業数が39万9,000社に達した。昨年リリースされたオンデマンド型のプラットフォーム「AppExchange」は、Salesforce.comベースのアプリケーションを共有するためのホステッド・スペースを提供する。同社では、このスペースを「業務アプリケーションのiTunes」と呼ぶ(画面1)。
同じく、オンデマンド型のプラットフォーム「Employee business services(EBS)」を展開するリアデン・コマースも、SaaSの有力ベンダーの1つだ。EBSは、出張、製品の出荷などのサービスを提供するプロバイダーとユーザー企業とをWebサイト上で結び付ける(図1)。また、1996年に設立されたエンプロイーズは、1,000社以上の顧客企業にオンライン型の人事管理サービスを提供している。同社が管理している従業員記録は、70万件を超えるという。
ゲイツ氏は、これらのSaaSベンダーが推進するXMLベースのサイトの“マッシュアップ”(コンテンツやサービスの組合せ)が、Web環境を変革しつつあることを警戒しているのだ。ゲイツ氏がメールの中で指摘しているように、SaaSそれ自体は新しいコンセプトではない。また、SaaSの対象も、コンシューマーや開発者、小規模企業だけに限定されるわけではない。しかし、マイクロソフトが新たに発表した統合オンライン・サービス「Windows Live」や、業務アプリケーションのオンライン・サービス「Office Live」がターゲットにしているのは、そのようなコンシューマーやSMB(小・中規模企業)である。
主要ベンダーの中で、SaaSに取り組んでいるのはマイクロソフトだけではない。IBMは、SAPがホステッドCRM分野に参入する際に、プラットフォームを提供した。さらに、ベンチャー・キャピタルが支援するSaaS関連のIBMパートナー企業向けに、ネットワーク・インフラや専門技術、マーケティング、需要予測といったリソースを積極的に提供し、SaaSコミュニティーを育成している。
IBMグローバル・サービセズ部門SaaS戦略担当バイスプレジデント、リック・マギー氏は、勢いを増すSaaS市場を「現在、マイクロソフト、オラクル、SAPといった大手プレーヤーがこぞって参入し、この波をさらに大きくしている状況だ」と分析する。






















