SNSと出会い系サイトと法規制
とことんわかりにくい法律を とことんわかりやすく解説!2009年5月、警視庁が大手SNS事業者8社に対して、出会いを求める書き込みの削除や会員の年齢確認の徹底などを求めた。この警察の動きには、本連載で解説した「青少年ネット規制法」と昨年改正された「出会い系サイト規制法」が深く関係している。今回は、出会い系サイト規制法について解説しよう。
出会い系サイト規制法と
インターネット異性紹介事業
2009年5月、警視庁が、「mixi(ミクシィ)」「モバゲータウン」「GREE(グリー)」などの大手SNS事業者8社に対して、出会いを求める書き込みの削除や会員の年齢確認の徹底などを求めたと報道された。その後も、警察庁や警視庁のSNSに対する要請は続いているという。こうした報道では「非出会い系サイト」「健全サイト」「フィルタリング対象外」といったさまざまな専門用語が飛び交い、少しわかりにくかった観がある。
実のところ、今回の警察の動きには、本連載で解説している「青少年インターネット利用環境整備法」(青少年ネット規制法)と昨年改正された「出会い系サイト規制法」の両者が深く関係している。
出会い系サイト規制法の正式名は、「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」という。対象となる出会い系サイトは、法律上は「インターネット異性紹介事業」と定義されている。当該サイトが法の適用範囲かどうかは、何がインターネット異性紹介事業であるかという点に大きく関わる。これについては後述するが、簡単に定義しておくと「面識のない者どうしの異性交際に関する書き込みを掲示板に掲載し、互いに連絡が取れるようにしている掲示板」となる。そのような掲示板の管理者が「インターネット異性紹介事業者」なのだ。
援助交際などの
誘引(「禁止誘引行為」)の禁止
この法律が登場したのは、大人と児童が一緒にインターネット異性紹介事業を利用することによって、援助交際などの誘引がなされ、それが児童買春などの犯罪のきっかけになっていることが問題視されたからだ。そのため、出会い系サイトを利用した次のような誘引が禁止されている(同法6条)。
(1)児童を性交等の相手方となるように誘引すること
(2)大人を児童の性交等の相手方となるように誘引すること
(3)対価を与えることを示して、児童を異性交際(性交等以外のもの)の相手方となるように誘引すること
(4)対価の支払いを要することを示して、人(大人・児童)を児童との異性交際(性交等以外のもの)の相手方となるように誘引すること
(5)(1)から(4)のほか、児童を異性交際の相手方となるように誘引し、または大人を児童との異性交際の相手方となるように誘引すること
まず最初に問題となるのは「児童」の範囲だが、この法律において児童とは18歳未満の者であり、学生か社会人かどうかにはよらない。
次に問題となるのは、「性交等」とそれ以外の異性交際が区別されている点だ。性交等とは、性交や性交に類する身体的な接触を伴う性的な行為のことである。性交等の誘引である(1)と(2)は、金銭などのやり取りの有無に関わらず禁止され、性交等以外の異性交際である(3)と(4)は、金銭などのやり取りがある場合のみ禁止される。
実際の書き込みの例としては、(1)は「Hしてくれる人」「口でして」、(3)は「5,000円でカラオケしてくれる中学生の子いますか」などが、児童を誘引する行為となる。(2)と(4)は、児童に対する誘引ではなく相手方となる人に対する誘引だ。例えば、(2)の場合は「わたしとHしたいお兄さんはいませんか?(16歳♀)」、(4)の場合は「3〜でデートしてもいいよ(高1女子)」などが該当する。
ここには第三者が取り次ぎを行うもののほか、児童自身による誘引も含まれる。実のところ、本法制定時の平成14年上半期において検挙された出会い系サイトを利用した児童買春事件のうち、約94%が女子児童からの誘引であり、男性(大人)からの誘引がきっかけとなったものは6%に過ぎなかった。
(1)から(4)の規制に違反した誘引を行った場合、100万円以下の罰金に処せられる(同法33条)。(5)は、「ボクと付き合ってくれる女子高生はいないかな?」「中2女子☆彼氏募集中」のような書き込みが該当し、禁止されてはいるものの違反に対する罰則はない。
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