内部統制とコーポレートガバナンス
とことんわかりにくい法律を とことんわかりやすく解説!内部統制とよく似た用語として「コーポレートガバナンス」があげられる。これらには相違点と共通点があるが、よく知らなければはっきりとした違いをあげるのは難しい。内部統制をしっかりと実施するためにも、ここで用語の意味を押さえておこう。
内部統制とよく似たことばに「コーポレートガバナンス」がある。企業の不祥事が報道されるとき、新聞などのメディアでは「今こそ問われるコーポレートガバナンス」などのフレーズが踊る。筆者の記憶では、2年ほど前まではこの「今こそ問われるコーポレートガバナンス」ばかりが目立っていたが、それ以降は「今こそ問われる内部統制」もしばしば見られるようになった。
まず、コーポレートガバナンスとは何であろうか。「コーポレートガバナンス」ということばには、実際にはレベルの違う2つの議論が含まれているが、ここでは「経営者が株主の利益を守るために行動するように監視・監督されていること」と考えていただいて構わない。ガバナンスとは「支配」の意味であり、株主による会社の支配が一貫しており取締役が勝手なことができないようになっていることがコーポレートガバナンスなのである。
コーポレートガバナンスと内部統制には、次のような相違点と共通点がある。
●どちらも株主の利益を目的とする
内部統制は、経営者が受託責任を果たすために自主的に社内に作る仕組みであり、受託責任とは、出資者である株主に対する責任である。したがって、内部統制は株主の利益のためのものである。一方、コーポレートガバナンスは、「経営者が株主の利益を守るために行動するように監視・監督されていること」であるから、両者はいずれも株主の利益を目的とするものであると言える。
●外から働くのがコーポレートガバナンス、中で働くのが内部統制
コーポレートガバナンスの核心は、株主による経営者のコントロールである。一方、内部統制は、経営者が自主的に社内に構築する仕組みである。この点で、コーポレートガバナンスが会社の外から会社に働きかける作用(株主→経営者)であるのに対し、内部統制は会社の中で働く作用(経営者→経営者自身・従業員)であると言える。内部統制が内部に構築される仕組みであるのに対し、コーポレートガバナンスは、外部から加わる力である。
●内部統制は経営者・従業員の双方を統制の対象範囲とするのに対し、コーポレートガバナンスは経営者をコントロールの対象範囲とする
内部統制は、伝統的には、経営者による執行部門=従業員の統制を意味していた。したがって、コーポレートガバナンスが株主による経営者のコントロール(株主→経営者)、内部統制が経営者による従業員のコントロール(経営者→従業員)ということで、両者は上下に住み分けがなされていたのである。
しかしながら、COSO報告書の内部統制は、経営者による経営者自身の統制も含む概念となっている(経営者→経営者)。COSOモデルを踏襲する日本の金融商品取引法や会社法も基本的には同じである。このような今日の状況を前提とすると、両者の対象範囲は経営者レベルにおいて重なっており、従業員レベルについては内部統制のみがこれをカバーしていることになる。
このように、内部統制とコーポレートガバナンスには共通点も相違点もある。しかし、前述した「今こそ問われる〜」の見出しではないが、本来はよく似た概念だ。ただ、コーポレートガバナンスが理念・考え方に留まったのに対し、内部統制は具体的な法制度に落とし込まれた。この法制度に対応するために、企業がセミナーを聴講したり、コンサルティングを受けたり、ソフトウェアを購入したりしなければならなくなったために関連市場が生まれ、ブレイクしたのである。



























