電子書籍普及に立ちはだかる問題点 第3回
守護神か足かせか―― 再販価格維持制度の功罪電子書籍市場が成功するカギは、「ユーザーが読みたいコンテンツを(紙媒体よりも安価で)提供できるかどうか」だろう。しかし日本の出版業界は、「再販価格維持制度」という特殊な制度で保護されている。第3回では同制度と電子書籍の関係を考察したい。
“文化”の御旗が守ったモノとは
日本と米国の電子書籍市場を比較して気がつくのは、日本の「書籍流通」(あるいは出版社)の存在感が薄いことである。
書店や出版社が自社で電子書籍の端末を販売することが奇異でないのは、米国Amazon.comや米国Barnes&Nobleを見れば明らかだ。今やデジタル機器は、OEM(Original Equipment Manufacturer)やODM(Original Design Manufacturing)が当たり前で、当のエレクトロニクス企業であるソニーやシャープだって活用している。
実際、毎年1月に米国で開催されるCES(Consumer Electronics Show)などの展示会では、OEMやODMを当て込んだ台湾企業や中国企業が、様々な製品を出展しており、その中には電子書籍端末も含まれる。これらを叩き台にして仕様を決めていけば、書店や出版社のように、社内に電子機器の設計者がいない企業でも電子書籍端末の製品化は可能だろう。
それにもかかわらず書籍流通や出版社の電子書籍市場に対する動きが鈍いのは、結局、それが可能な富(資本)の蓄積が、行われていなかったからではないだろうか。
日本の出版事業は、再販価格維持制度と取次を介した委託販売という、他の業種には考えられない、特殊なものになっている(そう言えば、音楽業界も同様であった)。要するに価格競争のない、制度に守られた事業なのである。
出版社や書籍流通業者は、「再販価格維持制度やそれを前提にした委託販売は、日本の出版文化を維持するのに必要だ」と主張する。しかし、それでは再販価格維持制度のない米国には「出版文化はない」と言うのだろうか。それも変な話だ。
再販価格維持制度は、現行の出版事業(エコシステム)の維持には不可欠なものだろう。しかし、再販価格維持制度と文化に直接の関連性はない。
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