MIT、無線技術を利用した“人間マップ”を披露
「緊急時の避難ルートの確保などに役立つ」と期待米国マサチューセッツ工科大学(MIT)のセンスエイブル・シティ・ラボ所長、カーロ・ラッティ氏は、先ごろ開催されたITシンポジウムにおいて、無線を利用して人間の動きを地図に反映させるという実験の結果の一部を明らかにした。同ラボでは無線技術を利用し、都市における人間の生活や労働状況などを研究している。
この実験は、マサチューセッツ州ケンブリッジ市にあるMITのキャンパスの敷地全体を“実験室”に行われた。同キャンパスの敷地内には3,000カ所のアクセス・ポイントがあり、すべての場所でWi-Fiによる通信が可能となっている。なお、敷地内には104棟のビルが点在している。
ラッティ氏のグループは、敷地内のインフラが整備された2005年末の時点から、敷地内で行われる無線通信の全トラフィック・パターンのログを記録し、それを分析している。そして、その分析情報を基に、MITの全住民が敷地内のどこにいるのかをリアルタイム表示する人間マップを作成している。
さらにラッティ氏のグループは、ユーザーの位置情報を第三者に知らせるソフトウェア「iFIND」のベータ版をリリースした。
iFINDはJavaのソフトウェアで、クライアントPCにインストールして利用する。ユーザーはiFINDを稼働させていれば、事前に許可した相手に対し、自分の現在地を公開することができる。
ラッティ氏は、「iFINDを利用すれば、友人や同僚をすぐに探し出せる」とコメントしている。
同ラボの“実験室”は、MITの中だけにとどまらない。ラッティ氏のグループは、イタリアのローマ市でも、携帯電話のトラフィック・パターンとタクシーやバスの動きをモニタリングし、人々のリアルタイムの移動状況を調査している。
この調査はグーグルとテレコム・イタリアの協力を得て行われた。調査方法は、まずグーグルが提供する航空写真上に携帯電話のトラフィック・パターンを赤色で表示させる(赤色が濃いほどトラフィックが激しい)。次にバスとタクシーの移動状況を黄色の軌跡で示し、それら2つを一致させて人々のリアルタイムの移動状況を表示させるというものだ。
その結果、ラッシュ・アワーには幹線道路が濃い赤色を示し、人々が仕事から解放されたときには赤色が街中に分散したという。ラッティ氏はこの結果について、「都市が脈動している場所や、人々の“流れ”が見えた」とコメント、「このような技術は、街中のスタジアムで行われるサッカーの試合や大規模なイベントでの緊急避難ルートの確保などに活用できる」と期待を寄せている。
(ジョン・ディックス/Network World 米国版)



















