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マルチコア・コンピューティング(プロダクト&テクノロジー)
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【マルチコア・マイクロプロセッサ】
「クアッドコア AMD Opteron プロセッサ」(日本AMD)
低消費電力と仮想化支援機能が最大の魅力
(2008年06月30日)
2008年4月、待望のクアッドコア AMD Opteron プロセッサの量産が開始された。企業ユーザーにとっての主な利点となるのが、ネイティブ・クアッドコアによる高パフォーマンスに加え、低消費電力性と仮想化支援機能だ。グリーンITを実現するとともにランニングコストを抑え、最新の仮想化システムを効率よく稼働させるには、最適な選択肢となることだろう。
高パフォーマンスを維持しながら
39%の省電力化を実現
2008年4月9日、「Barcelona(コードネーム)」こと「クアッドコア AMD Opteron プロセッサ」の量産出荷が、OEMをはじめチャネル・パートナー経由で開始された。現在、ヒューレット・パッカードやデル、サン・マイクロシステムズ、IBM、日立製作所などから、この新プロセッサが搭載されたサーバ製品が相次いで販売されている。
クアッドコア AMD Opteronプロセッサの優位性は、単に2つのデュアルコア・プロセッサをつなぎ合わせたのではなく、4つのCPUコアを1つのチップに収めた「ネイティブ・クアッドコア」アーキテクチャを採用している点にある。
当然のことながら、従来のシングルまたはデュアルコアのプロセッサに比べてパフォーマンス、拡張性ともに大幅に向上。絶対的な性能の高さを求めるユーザーにも、価格性能比を重視する企業にも最適な選択肢となることだろう。
こうしたパフォーマンス向上に加え、クアッドコア AMD Opteronプロセッサが企業ユーザーにもたらすメリットとして挙げられるのが、「省電力化」と「ハードウェアによる仮想化の支援」だ。これらのメリットを最大限に発揮できるよう、様々な新技術や機能が実装されている。
まずは、省電力化について見ていこう。そのねらいは、プロセッサの処理能力を高めつつ、消費電力を可能な限り抑えることにある。温暖化ガスの排出削減を求めるグリーンITへの対応だけでなく、電力費を削減してランニングコストを抑えたり、商用データセンターをハウジングで利用する際の電力制限を解決したりするためにも、プロセッサの消費電力は小さい方が望ましい。
省電力化のためにクアッドコア AMD Opteronプロセッサに採用された主な技術が、「拡張 AMD PowerNow!TM テクノロジ」と「AMD CoolCoreTM テクノロジ」だ。
拡張 AMD PowerNow!テクノロジは、CPUコアに供給するクロック周波数を内蔵された4つのコアごとに独立してコントロールするというもの。使われていないコアについては消費電力を最小限まで落とすことが可能で、処理能力を犠牲にすることなく十分な省電力効果を得られる。
一方、AMD CoolCoreテクノロジは、チップ内の回路や回路ブロック単位で電力を柔軟にコントロールする技術だ。例えば、プログラムが浮動小数点数演算を行っていない時は、FPU(浮動小数点数演算機構)という大きな単位でクロック供給をカットする。また、プロセッサに内蔵されているメモリ・コントローラがメモリからキャッシュへのRead操作を行っている時は、使われていないWrite回路の側だけオフにするといったきめ細かな対処を行う(図1)。
| 図1:AMD CoolCoreテクノロジでは、回路単位できめ細かに電力供給をコントロール可能 |
これらの技術/機能をフル活用することで、クアッドコア AMD Opteronプロセッサでは、同クラスの他社製プロセッサと比較して39%も高いパフォーマンスをより少ない消費電力で実現している(図2)。
| 図2:クアッドコアAMD Opteronプロセッサでは、同クラスの他社製プロセッサ(130W)より39%も高いパフォーマンスを、より少ない消費電力(75W)で実現している |
仮想化のオーバーヘッド抑制に効果大
アドレス変換をハードウェアで行うRVI
続いて、ハードウェアによる仮想化支援機能を見ていこう。AMD Opteronプロセッサには、「ダイレクトコネクト・アーキテクチャ」や「AMD VirtualizationTM(AMD-VTM)」といった、仮想化をハードウェアで支援する様々な仕組みが実装されているが、これらに加えて、今回、新たに搭載されたのが「Rapid Virtualization Indexing(RVI)」と呼ばれる技術だ。
従来のソフトウェアのみによる仮想化システムでは、仮想化に特有の二重のメモリ・アドレス変換がソフトウェア上で行われていた。具体的には、ゲストOSの仮想アドレスをホストOSやハイパーバイザの仮想アドレスに変換。それをさらにメモリ上の物理アドレスに変換する、という流れだ。
したがって、「Shadow Page Table(SPT)」といったソフトウェア方式によるアドレス変換では、非仮想化システムと比べてCPUのオーバーヘッドが増えてしまうのは避けられなかった。これをハードウェア側で処理することによって、アドレス変換に関するオーバーヘッドを抑制するのがRVIである。
RVIでは、仮想/論理アドレスの対応情報を保管するバッファ・メモリ「Translation Lookaside Buffer(TLB)」を2段階の構造にする「Nested Page Table(NPT)」方式を採用しており、二重のアドレス変換をチップ内のハードウェア回路で一挙に行えるようにしている。これにより、アドレス変換時のオーバーヘッドを減少。実際にNPTのオーバーヘッドは、SPTと比較して10〜20%抑制できることが確認されている(図3)。
| 図3:RVIを利用した場合、仮想化に際して10〜20%のパフォーマンス向上が実現される |
加えて、従来からのAMD製品にも搭載されていた「Tagged TLB」と呼ばれる機能も、仮想化システムに特有のオーバーヘッドを抑制するのに一定の効果を上げている。これは、ゲストOSのTLBにタグを付けることで再利用を可能にするというもの。従来はコンテクスト・スイッチング(メモリ空間などをゲストOSや仮想マシンの間で切り替える操作)のたびにTLBのフラッシュと再作成が行われていたが、その処理が抑制されるぶん、オーバーヘッドも減少する。
RVIは、2008年8月以降にリリース予定とされているマイクロソフトの「Hyper-V」をはじめ、「Citrix XenServer」「VMware ESX Server」など、主要な仮想化ソフトウェアにおいて既に対応済みである。
さらなる高パフォーマンス、高い拡張性、そして低消費電力と優れた仮想化テクノロジ――。クアッドコア AMD Opteronプロセッサは、運用コストの削減やダウンタイムの低減、そして業務効率の向上といった、現在のIT部門を取り巻く様々な課題を解消するための有効な解決策となりそうだ。



















