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[米国]
AMD、インテルを反トラスト法違反で提訴
(2005年06月27日)
米国AMDは6月27日、インテルが反トラスト法に違反しているとして米国連邦地方裁判所に提訴した。AMD側の主張は、インテルが不正な手段で世界の顧客に同社製品の使用を強制し、それによってPCプロセッサ市場で独占的な立場を維持してきたというもの。
デラウェア州の米国連邦地方裁判所に提出された48ページにわたる訴状では、そうした顧客として大規模なコンピュータ・メーカーから小規模なシステム・ビルダー、卸流通業者、小売業者まで含む世界38企業の名を挙げている。AMDは、インテルが顧客に対し、同社製品のみの使用契約やAMD製品の使用の中止や制限に対する補助金やリベートなどの見返りのほか、AMD製品を採用した場合の報復的措置の脅しといった手段を駆使してきたと指摘しており、具体例を複数示している。
今回の訴訟は、世界最大のマイクロプロセッサ・メーカーであるインテルを、その主要なライバルであるAMDが訴えるという構図になっており、長期にわたる法廷闘争が予想される。ただし、この訴訟でAMDが勝利するためには、インテルが独占的力を持っており、その力を不正に濫用して市場の独占を維持し、それが消費者に損害を与えていることを立証しなければならない、とアナリストは指摘している。
AMDは今回の訴状の中で、日本における独占禁止法違反調査での事実認定に、数度にわたって言及している。先ごろ、日本の公正取引委員会は、独占禁止法違反の疑いでインテルの日本における商慣行を11カ月にわたって調査し、今年3月に、同社が独占禁止法に違反していると認定して、排除勧告を行なった。
公取委の報告書によると、インテルは国内の大手PCベンダー5社に対して、同社のプロセッサだけを採用するか、競合他社のプロセッサの採用を10%以内に抑えることを条件に、購入代金の割り戻し金や資金提供を行なっていた。結果的に、インテルの日本市場での市場シェアは2002年と2003年の間に76%から89%に上昇したという。公取委は、同社が独占的な地位を濫用して日本のマイクロプロセッサ市場における公正で開かれた競争を排除しようとしており、インテルの行為によって競合相手が実質的な制約を受けていると指摘した。
公取委の排除勧告を受け、インテル日本法人は、いくつかのタイプの事業行為を差し控えることに同意したが、独禁法違反という認定には同意していない。
インテルに対しては、欧州委員会も、反トラスト法違反容疑での調査を検討中であり、日本の機関とも協力していることが明らかになっている。
また、米国の反トラスト法規制当局も、容疑の性格は異なるものの、これまでインテルを調査してきた経緯がある。米連邦通商委員会(FTC)は、1998年、インテルが市場での支配的な地位を利用して、一部の顧客企業に機密情報の提供を強要したとして同社を訴えた。
このときFTCが提出した訴状によると、インテルは、ベンダー3社(ディジタル・イクイップメント<DEC>、コンパックコンピュータ、インターグラフ)に対し、特許侵害容疑でインテルを訴えないよう求め、この条件に同意しない限り、今後開発するチップの情報を提供しないと言ったとされる。FTCは、インテルのような有力企業がこうした強圧的な手法を用いた場合、法律に違反するとの見解を示していた。
この訴訟は、1999年3月に決着し、インテルは特定の行為を差し控えることに同意したが、何らかの違法行為が行われたという点は認めなかった。
今回AMDが提出した訴状には、インテルが市場での支配的な地位を違法に行使していることを示すいくつかの実例が挙げられている。そのなかには、インテルが米国のデル、ゲートウェイやソニー、日立などの主要な顧客に対して独占的な契約を締結するよう促し、その見返りとして現金を支払ったり、差別的な価格を設定したり、マーケティングの報奨金を提供するといった事例も含まれている。
例えば、ヨーロッパの合弁企業である富士通・シーメンス・コンピュータに関する事例が挙げられている。同社はかつて、AMDのデスクトップ事業を支える存在であり、一般消費者向けPCの30%以上がAMDのチップを搭載していた。しかし、2003年初頭にインテルがCeleronプロセッサの『特別割引』をもちかけ、富士通・シーメンスはその割引と引き替えに、自社のWebサイトからAMDベースのコンピュータを隠し、販売店向けのカタログからもAMD製品に言及する部分を削除したという。
さらにインテルは、AMDベースPCの市場を狭めるよう富士通・シーメンスに促したとされる。親会社の富士通は、今もAMDベースのノート型PCを販売しているが、出荷されているのは米国と日本だけだ。AMDによると、富士通・シーメンスは、ヨーロッパでもAMDベースのマシンを販売するよう求めたAMDの申し入れを断った。
富士通・シーメンスにおけるAMDのシェアは30%を下回っており、こうした事態はこの4年間で初めてのことだという。またAMDは、富士通・シーメンスが、台湾のマイクロスター・インターナショナルやアティパ・テクノロジーズ、ソレクトロンなどとともに、2003年に行われたOpteron 64の製品発表に参加しないようインテルから圧力を受けていたとも主張する。Opteron発表の数週間前、富士通・シーメンスの幹部は、インテル側から「一流コンピュータ・メーカーはどこもOpteronの発表に加わっていない」と言われたが、実際にはIBMが加わっていたという。
そのIBMも、「唯一のライバルによるマーケティングの努力を切り崩そうとするインテルの情け容赦ないキャンペーン」のターゲットになっていたと指摘されている。IBMは、インテルとの契約により競合製品を支持することができなくなったとして、2004年に米国で開催されたeServerとPCの展示会からAMDベースのモデルを引き揚げた。AMDによると、インテルは、2004年に行われた高性能コンピュータのコンファレンスSuper Computing Showでも、コンピュータ・メーカー2社に金銭を供与することで、ブースからAMDのシステムを撤去させた。
AMDが訴状の中で示した中には、ハイエンドのサーバを製造している米国サンフランシスコ州サンノゼのメーカー、スーパーマイクロの例もある。同社は、AMDのOpteronプロセッサを搭載したサーバの開発計画をインテルに知られることを非常に恐れるあまり、同社の主製造施設の裏手にある建物へ、その開発チームをひそかに移した。さらに同社は、そのサーバを最終的にリリースした際にも、流通を60社の顧客だけに制限し、そのPRに使用するパンフレットは機密扱いで自社の社名すら示さなかったという。6月28日の時点で、スーパーマイクロのWebサイトを検索してみたところ、Opteron搭載製品への言及は一切見つからなかった。
またAMDの訴状からは、新たな商談を獲得するためにAMDがどれだけの犠牲を払ってきたかも垣間見える。たとえば、2002年当時に、AMDが米国のヒューレット・パッカード(HP)の企業向けデスクトップPC「Evo」に自社のプロセッサを採用してもらおうとした際には、予測されるインテルの報復に対する埋め合わせとして1四半期当たり2500万ドルの資金を提供するようHPから要請され、その代わりにAMDは最初の100万個までのプロセッサをHPに無償提供することを提案して手を打ったという。
その後、HPがAMDプロセッサ・ベースの製品を投入する計画を発表直前に明かしたとき、インテルはHPに対して、EvoラインへのAMD投入を「マグニチュード10」級の出来事だと見なすと告げた。このため、HPは結局、無償提供したプロセッサのうち16万個を使っただけだった、とAMDは訴状で主張している。
またAMDは訴状で、インテルが企業に金銭を供与することでAMDとの取引を思いとどまらせたという例もいくつか挙げている。たとえば、AMDは、ドイツの小売市場で35%のシェアを持つヨーロッパ最大のコンピュータ販売店メディアマーケットから自社製品が完全にシャットアウトされたと主張している。メディアマーケットには、インテルから毎年1,500万ドルから2,000万ドルの市場開発資金が提供されており、1997年以降、同社ではインテルベースのコンピュータのみを扱うようになっている。
さらに、2001年当時に、ゲートウェイのCEO(最高経営責任者)だったテッド・ウェイト氏は、AMD幹部に対し、同社と取引しないという条件付きで「多額の資金」の提供を約束されたと明かして「私は黒字復帰する方法を見つけなければならない。御社を切り捨てることで黒字になるのなら、私はそうする」と語ったという。
その後間もなく、ゲートウェイはインテル・プロセッサを搭載したコンピュータのみを提供するというプレスリリースを出し、2004年までそれを続けた。
訴状によると、2004年に、AMDは再びゲートウェイとの関係を築こうとしたが、限定的なものに留まった。ゲートウェイは、AMDのプロセッサを米国の小売業者サーキット・シティ・ストアーズ向けのPCラインに採用したが、後でAMDはゲートウェイ幹部から、インテルの報復でひどい目にあっていると告げられ、現在も同社のプロセッサはゲートウェイの製品ラインの大部分から締め出されているという。
そのほか、米国のコンパックコンピュータ(HPに2001年に買収された)がAMDと取り引きしたことへの報復として、インテルがコンパックへのサーバ・プロセッサ供給を差し止めたため、当時のコンパックCEOだったマイケル・カペラス氏がAMD幹部に、「頭に銃を突きつけられている」ためAMDのプロセッサ購入を止めざるを得ないと告げたという。
訴状によると、AMDとの取り引きに関してインテルから報復の脅しを受けたPCメーカーの上級幹部はカペラス氏だけではない。2003年9月に、インテルの前CEOで現会長のクレイグ・バレット氏は、台湾のエイサースタン・シー会長やその他のエイサー幹部を訪ねて、エイサーがAMDのAthlon 64プロセッサ発表を公式に支持すれば「重大な結果」を招くことになるだろうと脅したため、エイサーはAthlon 64の発表イベントへの参加を断念し、同プロセッサを搭載したPCの発売を遅らせたという。
そして、エイサーのJ.T.ワン社長は後に、インテルの脅しには特に変わった点はなかったが、その手の脅しは通常、CEOではなく「もっと低い地位の幹部が行なっている」と語った、とAMDは訴状に記している。
(IDG News Service)
































