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[米国]
米国IT業界──2005年の10大ニュース
(2005年12月27日)
21世紀最初の10年の中間地点にさしかかった今、グーグルやセールスフォース・ドットコムなどの新興ベンダーが展開している新たなビジネス・モデルが、かつて隆盛を極めた大手ベンダーに改革を迫っている。2000年代に諸課題の対応に失敗した大手ベンダーのいくつかは、その代償として大掃除(人事一新・人員整理)に着手し、ときにはCEOの交代さえ断行した。本稿では、IDG News Service米国版ニューヨーク支局のマーク・フェランティが2005年の10大ニュースを取り上げ、IT業界のトレンドを総括する。なお、ニュースの並び順は重要度とは関係ない。
[1] オラクルによるシーベル買収
ハイエンドのエンタープライズ・ビジネス・アプリケーション・ベンダーが、ついにオラクルとSAPの2強に絞られた。オラクルは、103億ドルによるピープルソフトの敵対的買収を1月に完了したが、今度は苦境に立つCRMメーカーのシーベル・システムズを58.5億ドルで買収すると9月に発表した。
ピープルソフトと同様に、シーベルはERPおよびCRMシステムを企業に導入させた先駆け的存在だったが、競合ベンダーの市場参入によって圧迫を受けていた。オラクルのこうした買収は大きなトレンドの一部であり、M&A(買収・合併)は、ITや通信以外の分野でも2005年を通じて活発に行われた。
例えば、SBCコミュニケーションズによるAT&T買収、シスコシステムズによるセットトップ・ボックス(STB)メーカーのサイエンティフィック・アトランタ買収、イーベイによるインターネット電話サービスのスカイプ・テクノロジーズ買収などである。継続する低調な金利水準が、成熟しつつある産業分野だけでなく、競争の激しいインターネット通信などの新分野においても、M&Aを促進した。
[2] HPのフィオリーナ氏解任
今年2月、ヒューレット・パッカード(HP)の取締役会が、当時CEOだったカーリー・フィオリーナ氏を解任した。これは、コンパック合併をはじめとする同社の過去数年間のアプローチがうまくいかなかったことを証明する衝撃的な出来事だった。
フィオリーナ氏は、PCのような利益率の低いビジネスに資金をつぎ込むことに対する反対を押し切ってコンパックを買収した。フィオリーナ氏の目論見は、ハードウェアの完全なパッケージをビジネス顧客に売り込むことで、停滞していた利益率の高いサーバやサービスの売上げが伸びるというものだった。しかし、コンパック買収から3年経っても、HPの財務状況はまだ低迷状態を脱していない。
フィオリーナ氏の後任としてCEOに就任したマーク・ハード氏(NCRの前社長兼CEO)は、HPのオーバーホールに取り組んでおり、1万5,000人の人員削減を断行した。
[3] ソニーのトップ交代
ソニーは3月に経営陣刷新を断行し、出井伸之氏に代わってハワード・ストリンガー氏を会長兼グループCEOに選任した。これは、同社のアナログ機器からデジタル機器への移行がうまくいっていないことを示している。
ほとんどの企業が同じコンポーネントを使って製品を製造するようになった今、ソニーが割高な製品価格を消費者に納得させるのは難しくなった。日本人以外がソニーの舵をとるのは初めてだが、実は昨年の売上げの7割を日本国外で上げている。ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカの会長兼CEOだったストリンガー氏は、ソニーに機動性をを与えると期待されている。
[4] グーグルの台頭
昨年(2004年)夏の華々しいIPO(株式公開)で注目を浴びたグーグル(GOOG)だが、今年6月には、メディア業界でタイムワーナー(TWX)を抜いて時価総額トップの企業になった。その後も、グーグルの株価は上昇を続け、第2次普通株式売り出しによる資金調達は40億ドルを超え、競合するヤフー(YHOO)やマイクロソフト(MSFT)の株価水準を350ドルも上回る400ドルの大台に乗った。グーグルの株高は、市場で最も人気の高い検索技術を所有していることと、その検索技術から(オンライン)広告を通じて収益を得る方法を見つけ出したことによる見返りだと言える。
新サービスにセキュリティ・バグが見つかったり、新サービスの予想を超える需要による一時的なサービス停止が発生したりといったハプニングもあったが、競合他社がオンライン・サービスを増強しつつあるなか、業界の最大の関心事は、グーグルが今後、他の形態のオンライン広告や、企業内検索といった別の事業(比較的最近参入した事業)で成功するかどうかである。
[5] Web 2.0時代の到来
ドットコム・バブル崩壊は過去のものとなり、インターネットは、新しい価格設定モデルやビジネス・モデルとともに、ソフトウェアとサービスの配布のための真のプラットフォームとして浮上してきた。Web 2.0時代の到来である。
グーグルは、ユーザーのサービス利用は無料で、広告主が費用を負担するという新しいインターネット・ビジネス・モデルの最前線にいる。
また、エンタープライズ市場では、Webを通じて提供されるソフトウェアに、ユーザー単位で従量課金を行う価格モデルが根づいた。セールスフォース・ドットコムはその先駆者の1社だが、現在では、IT大手のIBMやサン・マイクロシステムズが、動的なオンデマンド・サービス(ビジネス・ソフトウェアから、グリッド・コンピュータ・ベースの“ユーティリティ”コンピューティング・サイクルまで)を売り込んでいる。
マイクロソフトもこうした概念を採用し、11月には開発中のWindows LiveおよびOffice Liveを発表し、新しいサービス提供モデルをアピールした。ある業界関係者は「こうした“ベイパー(未完・未提供)”サービスが発表されるのは、Web 2.0が真のトレンドになった証拠だ」と、冗談めかしてコメントしている。
[6] マイクロソフトがXbox 360を発表
11月、世界最大のソフトウェア・メーカーであるマイクロソフトが今年最も注目される製品発表を行った。それはオフィス製品でも、新たな“ベイパー”製品でもなく、「Xbox 360」ゲーム機の発表である。
ゲーム機としてみれば、Xbox 360のグラフィックス能力は従来のXboxやソニー・コンピュータエンターテインメント(SCEI)のプレイステーション2(PS2)をはるかに上回り、SCEIが2006年春にプレイステーション3(PS3)を発売したとしても、Xbox 360が従来のXbox以上に競合製品として大きな存在感を示す可能性がある。
しかし、マイクロソフトが狙っているのはゲーム市場だけではない。Xbox 360は、音楽やビデオなどのオンライン・サービスを利用するためのデジタル・エンターテイメント・ハブの一種として、デジタル・ホーム分野に食い込むための足がかりになると見られている。例えば、ユーザーはXbox Live Marketplaceから、ゲーム以外の各種コンテンツをダウンロードすることができる。
[7] AMDがインテルを提訴
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は6月、インテルがAMDのプロセッサの採用を一定割合以内に抑えることを条件に自社プロセッサ購入先への購入購入代金の割り戻しなどを行ってきたことが公正な取り引きを阻害しているとして、インテルを相手取って反トラスト法訴訟を起こした。同社は同時に、大々的な反インテル・キャンペーンを展開している。だが、それは、AMDがインテルに戦いを挑む1つの事象にすぎない。より重要なことは、デュアルコア・チップでの戦いの第1ラウンドで勝利を収めたと見られることだ。同社のプロセッサのほうが高い性能を示しており、小売市場でも、米国での販売がインテルに追いつくなど、シェアを伸ばしている。
[8] iPodがアップルの事業を支える
アップルは1970年代に「Apple II」でPC時代を切り開き、1980年代に「Macintosh」でPCを刷新したが、それ以降、独自かつ高価なシステムを提供し続けるアップルの戦略は、行き詰まりを余儀なくされると思われた。
だが、信じられないことに、2001年に発表した「iPod」音楽プレーヤー(オンライン・ストアと独自のコピー・コントロール技術を組み合わせた携帯音楽システム)が、アップルの業績を押し上げ続けている。9月に発売したiPod nanoは一大ブームを巻き起こし、アップルの2005年度第4四半期の営業利益は同社史上最高を記録した。
iPodの“ハロー効果(後光効果、光背効果)”は、Macintoshが過去の遺物になるのを防ぐのにも役立った。アップルが2005年度第4四半期に出荷したMacintoshは123万台となり、四半期ベースで同社史上2番目に高い出荷台数を記録した。
[9] ソニーBMGによるルートキット使用問題
11月初旬、ソニーBMGミュージック・エンターテインメントが、通常はスパイウェアやウイルスでしか使われていない「ルートキット」と呼ばれるコード技法を同社の音楽CDのコピー制限ソフトウェアに使用していることが明らかになった。
同社は、激怒するユーザーをなだめるべく批判に応えようとしたが、次々と失態を演じてしまった。その1つは、問題のXCPソフトウェアをシステム・ツールやウイルス対策製品から見えるようにするために発行したパッチ・プログラムが、Windowsシステムをクラッシュさせるおそれがあるということであった。
この問題は、ソニーBMGのブランドを傷つけただけでなく、公衆網であるインターネットを通じてデジタル商品を公正かつ安全に取り引きするためのコピー防止手段に疑念を抱かせる結果を招いた。
[10] グーグルがAOLに10億ドルを出資
この1年、タイムワーナーがアメリカ・オンライン(AOL)部門の将来にかかわる交渉を進めているとの報道が繰り返されてきたが、クリスマス直前の週に、グーグルがAOLに10億ドル出資して5%の株式を取得することを正式発表した。これは、ドットコム時代が完全に終焉し、新たなネット時代に突入したことを示している。
交渉は当初、AOLをそっくり売却する可能性も含むものだと報じられていた。AOLは2001年にタイム・ワーナーと経営統合したが、財政難のタイム・ワーナーにとってお荷物と見なされるようになった。その一方で、グーグル、MSN、ヤフーがオンライン検索やオンライン・サービスを増強していった。
各紙の報道によると、タイムワーナーは、マイクロソフトやヤフーとの取り引きも検討したという。だが、同社は結局、グーグルとの数年来の提携関係(検索技術および広告)を拡張することに決めた。この交渉と結末は、1つのことをはっきりさせた。それは、現段階でオンライン・セクターが2つに分かれているということだ。すなわち、インターネット上の検索やサービスで利益を上げている陣営と、そうでない陣営の2つである。
(マーク・フェランティ/IDG News Service)































