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仮想化導入前に自問すべき10のポイント

技術的「準備度」や事業目標の「認識度」を診断する

(2007年07月25日)

データセンターの処理効率を高めるうえで、仮想化はもはや不可欠の技術である。しかし、きちんと準備を整えないまま仮想化技術を導入すると、得られるメリットが小さくなるばかりか、導入コストをむだに費やすことになりかねない。導入を成功に導くには、相応の「準備」と「心構え」が必要なのだ。

デニス・ドゥビー
Network World オンライン米国版

 米国の調査会社エンタープライズ・マネジメント・アソシエイツ(EMA)は先ごろ、「Top 10 questions to ask before any virtualization project」と題した報告書を発表した。この報告書は、仮想化技術を導入する、もしくは導入を検討中の企業が把握しておくべきポイントを質問の形にまとめたもので、質問には技術的課題のほか、事業目標にかかわる項目なども含まれている。

 EMAのシニア・アナリスト、アンディ・マン氏は、「仮想化技術の導入が成功するかどうかは、IT部門が適切なスキルとセキュリティ/管理ツールを備えるとともに、事業目標を正しく認識していることにかかっている」と報告書に記している。

 同氏はさらに、「仮想化という大がかりな技術革新を試みても、(その企業で使っている)テクノロジーが十分に対応できるものでなかったり、結果的に期待ほど効果が得られなかったりする場合もある」としたうえで、「仮想化を急いではいけない。これは、長い時間をかけて進めるべき取り組みだ。仮想化を『プロジェクト』としてではなく『戦略』として慎重に検討する企業こそ、長期的なメリットが得られる」と述べている。

 以下、全社的な仮想化プロジェクトに着手する前に、IT部門が自問するべき10の質問項目を紹介する。

【1】仮想化をサポートできる技術力を備えているか?

 EMAの報告書は、仮想化技術の導入を阻む最大の要因として「適切なスキルの欠如」を挙げている。実際、仮想化をまだ導入していない企業の4分の3が、未導入の理由として「仮想化をサポートできる技術力を有していない」と回答したという。

 EMAでは、仮想化導入を検討している企業に対し、要件の決定、予想されるイノベーションの文書化、テスト環境の構築、パイロット・プロジェクトの実施などを勧めている。

【2】社内交渉の準備は整っているか?

 2番目の質問は人的要素に関係する。社内の反発をどう抑えるかということだ。仮想化技術の導入にあたり、関係する部門のコンセンサスを得る必要があるが、それには各部門が仮想化のメリットおよびデメリットをきちんと認識しておかなければならない。

 おそらく、サーバ・リソースの共有をいやがる部門が出てくるだろう。こうした場合に備え、IT部門はリポーティング・ツールを用意するなどして、仮想化技術がいかにパフォーマンス向上に役立つか、さらにはリソースの共有がダメージを与えることはないということを説いて回るべきだ。

【3】仮想化のリスクを考慮しているか、あるいはリスクを負うことができるか?

 仮想化技術は、複数のシステムおよびアプリケーションのサポートに必要な物理リソースを低減する。これは、別の言い方をすれば、少ない物理リソースに多くのユーザーとアプリケーションが集中することを意味する。そのため、ハードウェアの障害や人的ミス、セキュリティ上の脆弱性といった問題が生じると、その影響が広範に及ぶ可能性がある。

 仮想化にかぎらず、どのようなプロジェクトでもリスクは伴う。しかし、他のプロジェクトと同様の手順で仮想化導入を進めると、これまで経験したことのないトラブルに見舞われることがあるので注意が必要だ。

 EMAは、ビジネス・コンティニュイティおよびディザスタ・リカバリ計画を仮想化プロジェクトに盛り込むことを提言している。

【4】セキュリティ強化策を講じる用意はできているか?

 仮想化技術の導入により、セキュリティの確保が難しくなることも考えられる。なぜなら、既存のセキュリティ対策は、仮想環境をねらう攻撃に対処できるとはかぎらないからだ。EMAは報告書に、「現行のアンチウイルス・ツールでは、仮想化ハイパーバイザや仮想マシンの感染を検知することは難しい」と記している。

 したがって、さらなる強化策を講じ、仮想環境を確実に防御しなければならない。従来と同レベルのセキュリティ対策では不十分だと認識しておくべきである。

【5】使用するアプリケーションは仮想環境に適しているか?

 アプリケーションによっては、仮想環境にうまくかみ合わないこともある。EMAはそうしたアプリケーションとして、「高度なリソース利用、厳しい稼働要件、あるいは継続的なリソース消費を伴うもの」を挙げている。また、ハードウェアと直接対話するアプリケーションも仮想化環境には適していないという。

【6】キャパシティ・プランニングを立てているか?

 実際のキャパシティを超えた無計画な仮想化技術の導入は、仮想サーバの無秩序な拡散を招く可能性が高い。こうした無秩序な拡散は仮想化スプロールと呼ばれている。

 仮想化スプロールを回避するには、当然ながら詳細なキャパシティ・プランニングが不可欠だ。キャパシティ・プランニングを通じて、仮想化技術をサポートできる十分なハードウェアおよびソフトウェア・リソースを確保するとともに、仮想化の適用領域を管理可能な範囲以上に広げすぎないようにすることが重要だと、EMAは述べている。

【7】自社のシステム環境が仮想化に対応しているか?

 メジャーなハードウェアやソフトウェアの多くは仮想環境に問題なく対応するが、一部で対応できないものも残されている。したがって、自社環境を構成するハードウェア/ソフトウェアのうち、どれが仮想化に対応できるのか、また仮想化導入前にアップグレードが必要なのはどれなのかを明確にしておかなければならない。

【8】自社のネットワーク環境は仮想化をサポートできるか?

 EMAは、仮想環境下のデータセンターでボトルネックになりやすい要素として、ネットワークとストレージを挙げている。例えば、デスクトップ仮想化といったアプリケーション・ストリーミングは、少ない帯域幅ではうまく機能しないという。

 そのため、WAN最適化技術を利用するか、あるいは画像などのマルチメディア・データの使用を制限する方法をEMAは勧めている。

【9】仮想環境に対応する管理システムを有しているか?

 仮想化によって物理リソースを低減できる反面、環境全体の複雑さは増し、それゆえ管理上の課題を抱えることもある。仮想レイヤを付加すると、環境全体の管理はより一層複雑になる。

 そこで、現在の仮想化技術に対応する先進的な管理ツールが出そろうまでは、ディスカバリ、性能管理、構成管理、パッチ管理、サービス・レベル管理、プロビジョニング、障害復旧などのプロセス規律を強化するべきと、EMAではアドバイスしている。

【10】仮想化技術の導入は事業目標の達成を支援するか?

 仮想化技術は長期的戦略の下に導入するべきである。決して、限定的な問題を解決するための急場しのぎに仮想化技術を採用してはならない。長期的な事業目標を明確にし、IT部門が仮想化の成果をきちんと認識することが成功への近道となる。

 また、多くの企業は仮想化の具体的なメリットとしてコスト削減を期待するが、必ずしもすべてのケースでコストが減るとはかぎらない。実際、最低限期待できるのは、ソフトウェアやハードウェア、設置面積といった物理リソースの縮減によるコストの減少にすぎない。

 EMAは報告書に、「サーバ統合による劇的なコスト削減が喧伝されているが、あくまでも1回限りのものであり、現実には、特にソフトウェアにかなりの付加コストがかかることを認識しておくべきだ」と記している。

(Computerworld.jp)




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