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ビジネス・コミュニケーション進化論

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[国内] 【XMLコンソーシアム・セミナー】
生誕10周年を迎えた「XML」――その普及・活用の進展度を知る

「もはや“空気”のような存在であり、必要不可欠なものに」

(2008年03月13日)

 XMLの最初の仕様「XML1.0」が、1998年2月にW3C(World Wide Web Consortium)勧告としてリリースされてから、今年でちょうど10年になる。先ごろ、その節目の年を記念したXMLのセミナー「XML Today & Tomorrow」が、日本におけるXMLの普及を推進する団体、XMLコンソーシアムの主催で行われた。

写真1:今回のセミナーの午前中に行われたディスカッションでは、国際大学・併任研究員の村田氏と、日本IBMの丸山氏がパネラーとして登壇。XMLの発展を支えてきた両氏は、XMLの本質的価値や将来について語り合った。

 同セミナーでは、XML1.0の策定時に“日本の代表”として活躍した村田真氏(国際大学・併任研究員)やW3Cの国際化担当、佐々木フェリクス氏をはじめ、XMLの普及・発展に寄与してきた(または、寄与している)有識者や技術者、および企業・組織・政府機関の代表者が顔をそろえ、XMLの現状や課題、将来性など、さまざまなテーマについて講演・議論を繰り広げた。

 言うまでもなく、XMLは、アプリケーションやプラットフォームに依存しない“ユニバーサル”なデータを記述するための言語仕様だ。その拡張性・柔軟性、および相互運用性の高さから、多方面での実装・活用が進んでいる。

 今回のイベントに講演者の1人として参加した日本IBMの執行役員・東京基礎研究所長、丸山 宏氏は、午前中に行われたパネル形式のディスカッションの中で、XMLの浸透度をこう表現する。

 「今日のITにとって、XMLはもはや“空気”のような存在。それは、われわれの周りに当たり前のように存在し、かつ必要不可欠なものとなっている。今や、XMLでデータを表現することは、ITエンジニアの当然のリテラシーと言える」

 また、同じディスカッションにパネラーとして参加した村田氏は、「XMLの代替仕様の提案はすでに数多く存在しているし、XMLにも解決すべき課題がないわけではない」としながらも、「ただし、プログラマーにとっては、技術としての使い勝手や裾野の広がりが重要であり、その点で、XMLの代替となりうる技術仕様はまだ登場していない。XMLは、データの表現形式として今後20年は通用するものと見ている」と語り、言語仕様としてXMLの将来性の高さを改めて強調した。

写真2:村田氏と丸山氏によるディスカッションでモデレーター役を演じた、岡部氏は、“日本発のXML標準”のさらなる登場を切望する。

 ちなみに、XMLを巡る課題として、XML形式データの100%の相互運用性が確保されていないといった問題点も指摘されている。

 この点について、丸山氏は、「それは、XML自体の問題でなく、実装する側のいい加減さがもたらした問題。その解決には、企業・組織の枠組みを越えた相互協力が不可欠だ」との見解を示す。

 さらに、このディスカッションでモデレーターを務めた、OASIS日本代表でアクティブ・ブリッジ代表取締役社長の岡部惠造氏は、「企業・組織の枠組みを越えた取り組みは、XMLをベースにした新たな標準作りにおいても重要な要素だ。ぜひ、こうした取り組みを通じて、例えば、XRBL(財務諸表を記述するためのXMLボキャブラリ)のような、社会的なインパクトの大きい標準を、日本発で数多く作り上げていってほしい」と訴えた。

次世代EDIの実践

 一方、今回のイベントでは、XMLの日本における普及・活用の進展度を示す目的で、各業界・公的機関におけるXMLの活用事例や取り組みが紹介された。

 その1つは、中京地域を地盤に、食品卸のビジネスを全国展開するトーカンの執行役員、牧内孝文氏による「流通ビジネス・メッセージ標準(BMS)」の導入事例報告だ。

 流通BMSは、流通業界におけるサプライチェーンの全体最適化に向けた標準であり、そこには、小売りと卸・メーカーとの間でやり取りされるEDI(Electronic Data Interchange)規格のメッセージをすべてXML形式に移行させ、受発注データのみならず、商品の画像や、販売実績、取引履歴などを含めた情報の(サプライチェーン上での)共有を図り、流通各社の業務プロセスの効率化や消費者の利便性向上につなげるという大きなねらいがある。

 流通BMSの策定は、イオン、イトーヨーカ堂、ダイエー、ユニーなど、日本の大手小売各社で構成される「次世代EDI標準化ワーキング・グループ(次世代EDI WG)」で行われたが、同WGは、2005年8月に任意団体として設立されたのち、同年10月に経済産業省の支援を受けることとなった。

写真3:流通ビジネス・メッセージ標準(BMS)をベースにした次世代EDIシステムの構築にいち早く乗り出したトーカンの牧内氏は、流通業界におけるBMSの一層の普及に期待をかける

 トーカンでは、こうした業界に動きに早くから呼応し、従来型のEDI環境から、流通BMSをベースにした次世代EDI環境への移行作業を進めてきた。結果として、2007年4月に移行作業を完了させ、新システムの実稼働をスタートさせている。

 「旧来のEDIシステムには、データの送受に時間がかかるばかりか、得意先ごとにデータ・フォーマットが異なり、かつ、送受できる情報にも制限があるなどの問題があった。当社では、そうした問題を抜本的に解決すべく、次世代EDIへの移行に踏み切った」と、トーカンの牧内氏は語り、次のように続ける。

 「当社における流通BMSの導入効果は、今のところ、データ通信のスピードアップなどに限定される。ただし、今後、流通BMSが業界各社にさらに広がれば、業務コスト/システム・コストの削減や、ビジネス・プロセスの合理化といった点で、より大きな効果が得られると期待している」

 なお、今回のセミナーでは、トーカンによる事例報告のほかに、XBRLに関する最新動向や、日本銀行における取り組みが、同行の金融機構局・金融データ管理担当総括、和田芳明氏から披露されたほか、製造業XML推進協議会で副運営委員長を務める法政大学教授の西岡靖之氏によって、製造業界におけるXMLの活用状況が報告された。さらに、気象庁による気象情報のXML化の取り組みや、国際新聞電気通信評議会が策定した「NewsML」(企業間ニュース配信の標準フォーマット)の最新動向なども、それぞれの試み・普及を推進する当事者から語られている。

さらなる普及に向けて

 こうした講演の内容からは、XML(ないしは、それを実装した技術)が、B2C(企業対コンシューマー)、およびB2B(企業間)の双方の領域で浸透しつつあることが理解できた。

 とはいえ、日本企業のビジネスを支えるITシステムのデータ形式として、XMLの利用が一般化しているかと言えば、そうではない。

 また、流通BMSのように、XMLによって業界内でやり取りするデータ/メッセージを標準化する取り組みについても、その多くが道半ばの状況にある。

 XMLコンソーシアムでは現在、こうした現状を打破するための1つの施策として、XMLの活用実態を可視化する取り組みを推進している。これは、XMLが「どの業種・業務」で、「どういった形で使われているか」を、業種・業務・技術の側面から一望できる(XML活用実態の)俯瞰図を作成していく試みだ。

 今回のセミナーでは、初期調査に基づく俯瞰図が披露されたが、XMLコンソーシアムでは今後、この調査の母数やデータの正確性を増していきながら、「活用実態の見えにくさ」に起因する「XMLに対するユーザー・サイドの理解不足や認識不足」を解消し、XMLの普及を後押していく考えである。

 さらに、このようなIT業界側の努力と併せて、IT化に対する日本企業の姿勢・意識変革も、XMLのさらなる普及には必要なようだ。

写真4:経済産業省の村上氏は、XML普及を巡る課題に絡めて、日本企業におけるIT化・IT投資の問題点を指摘する。

 今回のセミナーのスピーカーとして演壇に立った経済産業省の村上敬亮氏(商務情報政策局・情報政策課企画官)は、この点について、以下のように指摘する。

 「われわれが行った調査を見ると、日本企業の約70%が、部分最適レベルのIT化を行っているにすぎず、ITプロジェクトに関するビジネス現場とITサイドとの対話すらほとんど行われていない。ただし、日本企業が、ビジネスの競争力を維持していくためには、全体最適の視点でIT化をとらえ、その中で、自社の情報をどう活用すべきか、どう見せていくか、企業内外でどう共有していくかを、経営戦略として考えていかなければならない。今後、その重要性を認識する経営層が増えてくれば、XMLの普及も自ずと進むと思われる」

 繰り返すようだが、XMLは今、企業内外のITシステムやビジネス・プロセスを相互に結び付けるための言語として、世界的な規模で活用が進んでいる。

 そうした流れにどう対応し、ビジネスのプロセスとITの全体最適化を実現していくか−−その辺りの判断が、今日の日本企業に大きく問われ始めているようだ。

(Computerworld.jp)




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