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【解説】
BI活用の方向性と戦略立案のポイント

ユーザーの期待は過去業績の確認から将来予測へ

(2008年04月09日)

CPMの認知度は低いが国内にも潜在ニーズ

 このように欧米においてCPMへの注目度が高まるなか、日本国内ではBIおよびCPMはどのような状況にあるのだろうか。

 図2を見ると、国内ユーザーがBIに期待する領域の方向性が欧米とはやや異なる様相を呈していることがわかる。この図は、2006年11月にガートナーが実施した企業ユーザーITデマンド調査において、「BIソリューション/ツールの利用分野について、利用中/導入中の人は実際に利用している分野、そうでない人は利用したい分野」という問いに対して、複数の回答を選択してもらった結果である。


図2:国内におけるBIツールの利用分野


 本調査で最も多くの企業に選択された回答は、販売管理であった。どのような商品が、いつ、どこで、どれだけ売れたのかを把握するということは、過去の実績を定期的に確認することだ。これは、OLAPやリポーティングが得意とする、従来のBIの典型的な利用領域である。このように国内では、多くのユーザーがこれまでと同様に今後も販売管理への投資を検討しているという結果になった。

 ただし、国内のBI利用が、これから先も過去実績の管理という領域にとどまり続けるというわけではない。図2では、今後の投資を検討している分野として、業績予測という回答が販売管理に次いで2番目に多く選ばれている。過去の実績を利用しながらビジネスの将来像を見通す業績予測は、これまではBIの典型的な利用領域からやや外れ、主流とは言えない用途であった。ここに多くのユーザーが投資を検討していることから、国内においてBIは、過去実績の確認という従来の用途だけではなく、将来予測という用途にまで進展し始めているという面もあると考えられる。

 それでは、肝心のCPMだが、本調査ではCPMという回答を選択したユーザーはほとんど存在しなかった。欧米での調査においてCPMへの期待が高かった理由の1つとして、回答者層がBIサミットの参加者という、そもそもBIに高い関心を示している人々であるということが考えられる。だが、この国内調査にしても、主にBIを利用中/導入中の企業を対象としたものだ。こうした点を考えれば、欧米と国内との間でCPMに対する温度差は非常に大きいと見られる。

 ただし、国内調査において利用中/導入中、新規導入予定とする回答者の数が比較的多かった利益管理、予算管理、財務分析は、CPMの構成要素となるものである。この点も含めて判断すると、まだ国内ではCPMというキーワードの認知は進んでいないものの、多くの企業においてCPMに対する潜在的なニーズは存在していると見ることができる。

財務分析から全社のパフォーマンス監視へ

 それでは、そもそもCPMとはどのような取り組み/テクノロジーを指すのかをあらためて考えてみたい。

 CPMとは、ガートナーが提唱した概念で、企業が各種の経営指標を用いて自社のパフォーマンスを監視・管理するための方法論やプロセスなどを意味する用語だ。この分野で製品を提供するベンダーによっては、同様の概念に対してEPM(Enterprise Performance Management)、あるいはBPM(Business Performance Management)といった名称を用いている。

 CPMのルーツをたどれば、財務分析ということになる。企業のパフォーマンスと言った際に真っ先に思い浮かぶのは、やはり売上げや利益が出ているのかどうかという点になるだろう。

 だが、経営指標として監視すべきものは、売上げや利益といったコスト面だけで十分というわけではない。財務の視点からは資金繰りができているかどうかという問題があり、また、従業員のスキル・セットは十分なのか、顧客満足度は上がってきているのか、製品のポテンシャルはちゃんと引き出せているのかなど、さまざまな指標が考えられる。どのような指標を見るべきかは、それぞれの企業の成長戦略に照らし合わせて決めなければならないが、いずれにせよ、コスト以外についても見ていかなければ、本当の意味での企業のパフォーマンスを把握することはできない。

 もちろん、さまざまな指標を設定したとしても、それらは最終的には利益が出ているのかどうかという点に収斂することになる。そこから考えると、CPMは、財務に関する指標をコアとして、企業がパフォーマンスを出せているのか、そして、今後も出し続けていけるのかということを提示するための仕組みだと言える。

 古い言葉になるが、MIS(Management Information System:経営情報システム)が、CPMに比較的近い概念となるだろう。このMISとの明確な違いは、CPMの実現手法/コンポーネント群がオープンなものになっているという点だ。例えば、データ統合ツールとして、ETL(Extract/Transform/Loading)、EII(Enterprise Information Integration)などの標準的なツールがあるし、データ・ウェアハウスを構築してデータ・マートを作るという考え方も、ある程度標準的なものと認知されている。


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