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ビジネス・コミュニケーション進化論

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IT化の“ラスト1マイル”は「人がかかわるプロセス」──米国アドビ幹部

「ドキュメント・人・プロセス」の統合を図る、アドビのエンタープライズ戦略

(2006年08月02日)

米国アドビ システムズ バーティカル&ソリューションマーケティング担当バイスプレジデント ユージーン・リー氏

 2005年12月にマクロメディアの買収を完了したアドビ システムズは、現在、7つのバーティカル市場を対象とした新たなエンタープライズ戦略を展開している。アドビのPDFとMacromedia Flashを組み合わせた“統合効果”が表れつつある今、同社は次の目標をどこに置いているのであろうか。アドビのエンタープライズ向け製品のマーケティング戦略を世界規模で統括するユージーン・リー氏に、同社のバーティカル市場戦略と今後のビジョンについて聞いた。

──新しいエンタープライズ戦略を策定した背景とねらいを聞かせてほしい。

 アドビがマクロメディアを買収すると発表したのが昨年4月。その後、買収を完了した12月までの間、われわれは多くの時間を費やして新しいマーケティング戦略の策定に取り組んだ。その結果、金融サービス、通信、メディア出版、行政機関、教育、製造業、ライフサイエンスの7つのバーティカル市場をターゲットにエンタープライズ向けのソリューションを展開していくという新戦略を打ち出した。

 マクロメディアの買収によってアドビが扱う製品数は72に増えた。そこで新戦略では、各業界が抱える課題を解決し、繰り返し利用できるソリューションを“すべての製品を使って”開発・提供することを目標としている。

──マクロメディア買収後、アドビは「エンゲージメント」というキーワードを強調しているが、それにはどのような意味が込められているのか。

 アドビでは、“人とアイデア”および“人と情報”のかかわりを変革するプラットフォームを提供していくことをミッションとしている。そのようなプラットフォームをわれわれは「エンゲージメント・プラットフォーム」と呼んでいる。

 例えば、BPM(Business Process Management)製品「Adobe LiveCycle」シリーズは、当社のエンゲージメント・プラットフォームを補完する戦略的製品。情報管理プロセスの自動化、高速化を促すエンタープライズ・ソリューションとして、また、情報の質を高め、プロセスを効率化する“豊かなエクスペリエンス”をエンドユーザーにもたらすプラットフォームとして提供している。

──エンゲージメントにかかわる問題とは何か。

 金融サービス業を例に挙げるならば、同業界では、コスト削減と顧客サービス改善に向けて、インターネット・バンキングなどのオンライン取引システムの導入が盛んに進められており、すでに顧客の10%ほどがインターネットを介して取り引きを済ませている。そんななか、もし顧客が口座開設を目的にWebサイトを訪れて何もせずに去っていったとしたら、それは大きなビジネス・チャンスを失ったことになる。また、オンライン取引を行わない顧客が支店の窓口にまで訪れて何も取り引きせずに去ってしまったら、ビジネスとして成り立たなくなってしまう。そのような場合、対顧客のインタラクションの中に“エンゲージできない”何らかの問題があると考えられる。

 実際には、紙と電子文書、オンラインとオフラインの間で情報が遮断され、一貫したサービスが提供されていないなど、「人」、「プロセス」、「情報」の3つの要素にかかわる問題が存在している場合が多い。

──そうした問題をいかにして解決するのかを教えてほしい。

 非常に哲学的な話に聞こえるかもしれないが、われわれは、ビジネスはモノやサービスの利用者ではなく、そこで働く人々によって成立するものだと考えている。したがって、ソフトウェアやツールは、人々が抱えている仕事を支援するものでなければならない。アドビでは、そうした人がかかわるプロセスを改善し、情報の信頼性向上を支援するソリューションを各業界向けに用意している。

 具体的には、製造業では、社内関係部門やサプライヤーとの間で設計図面や技術文書などを安全に配信・共有することをサポートしている。また、官公庁・自治体には、指名入札業者へのセキュアな電子文書の一定期間配信、あるいは入札決定後に落札業者以外の参加企業に配信した電子文書の一斉失効などを可能にするシステムを提供している。金融サービスでは、売買明細書、取引報告書などのPDFによる電子配信をはじめ、電子文書の信憑性や存在証明を電子署名やタイム・スタンプによって担保できるよう支援している。

──日本国内における今後の展開について伺いたい。

 日本と欧米では、ユーザー企業とSIerとのかかわり方が大きく異なる。日本ではSIerがシステム開発の現場できわめて重要な役割を担っていることから、われわれの戦略の中でも、日本のSIerとの協業拡大は重視している。

 また、テクノロジーの成熟度や、業界内でのポジションなど、業界ごとの傾向をきちんと把握する必要もある。当社では、日本の通信・モバイル分野における先進的な動きが今後、世界市場へ波及していくと見込んでいる。

 今後は、ドキュメントを中心としたビジネス・プロセスを効率化し、人がかかわるプロセスを合理化する最適なソリューションを業界ごとに提案しながら、「エンタープライズ・ソフトウェア・ベンダー」としてのアドビの認知度を高め、日本市場で新たなビジネス基盤を築いていきたい。

(大川 亮/Computerworld.jp)




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