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【解説】
“完全なる”ペーパーレス・オフィスの実現に向けて
「もはや企業に選択の余地はない!」
(2006年08月22日)
紙に“縛られ”続けるのは何故?
もっとも、特定の分野では、今後も当面、紙の利用が続くだろう。実際、いまだに多くの人が紙ベースのアウトプットを好む傾向にある。例えば、アリゾナ州テンぺのソノラ・クエスト・ラボラトリーズでは、医療検査の各プロセスを自動化したが、医師などは今も紙にプリント・アウトした資料を欲しがるという。
「多くの医師がハード・コピーを持ちたがる。患者に見せるときに、そのほうが便利だからだろう」と、ソノラ・クエストでCIOの職にあるボブ・ドウド氏は指摘する。
一方、マイクロソフト・リサーチでソシオ・デジタル・システム担当シニア・リサーチャーを務めるリチャード・ハーパー氏は、「トランザクションの最終的な結果を、ハード・コピーで持ちたいと考える人は少なくない。物理的手段によって、トランザクションを確認しておきたいという気持ちが働くのだろう」と語る。
しかし、そうした傾向にも徐々に変化が生じつつあるという。すでに米国の労働人口の40パーセント以上は1975年以降に生まれた、子供のころからコンピュータに親しんでいる人たちだ。「彼らは、画面上で情報を読み取る能力を持っている。紙は不要だと考える人も少なくない」とダン氏は解説する。
バンク・オブ・ニューヨークのケースが、まさにそれを証明している。同行では、ユーザーの多くが文書イメージやPDFファイルをプリント・アウトせず、画面上で見ているのである。「金融機関で数年過ごせば、多くの人がデスクトップから情報を読み取れるようになる。印刷された資料に頼る人など、もうほとんどいない」とサム氏は言い放つ。しかしながら、マイクロソフト・リサーチのハーパー氏のように、トランザクションの記録を画面上で確認することと膨大なページ数のリポートや詳細な資料を読むこととは別の問題だ、と考える人もけっこう多い。
家電メーカーのワールプールでは、いまだに紙で製品マニュアルを作成・配布している。デジタル化すればコストを削減できることはわかっているが、そうはいかない理由があるのだ。紙のマニュアルは製品に添付するのが容易で、ユーザーにとっても、CD-ROMを開いたりWebサイトにアクセスしたりするよりははるかに簡便なのである。それに、紙は、マーケティング媒体としても非常に魅力的な特性を備えている。
「特殊なタイプの紙を利用すれば、ブランド・イメージを効果的に伝えることができる」と語るのは、ワールプールのグローバル・サービス担当ディレクター、トーマス・アーマン氏だ。
もっとも、マイクロソフトのようなソフトウェア会社の場合には、紙ベースのマニュアルはあまり現実的ではない。「Windowsのマニュアルは6週間ごとに変更されるので、いちいち印刷して配布するのは大変だ」(ハーパー氏)からである。



