【 ここから本文 】
ビジネス・コミュニケーション
ソーシャルブックマークに登録 :
印刷用ページの表示
ビジネス・インテリジェンスを使いこなせ!
どんな技術があるかではなく、どんな利用法があるかを考える
(2007年07月06日)
コアにフォーカスする
本格的にBIを導入している企業のほとんどは、大規模なデータ・ウェアハウスか、データ・マート(の集合)を構築している。だが、そこに流れ込むデータには、完全性や一貫性を保証するためのクレンジングを施す必要がある。また、分析ツールが標準的なリポートに組み込まれた照会を実行できるように、それらの関係性についてもデータ・キューブで明確に定義されていなければならない。
しかし、デロイト・コンサルティングのBI営業担当パートナー、スコット・ソグネフェスト氏によれば、アーキテクチャ・モデルのようなものからスタートすると、おそらく失敗することになるだろうという。その理由を、同氏は次のように説明する。
「現在、“山のようなデータの上にBIを構築することはできない”という認識が一般的になりつつある。それではコストがかかりすぎるうえ、効率も悪いからだ。第一、普通は“工場を建ててから製造するものを決定する”などということはありえない。ところが、なぜかBIの世界では、そういう考えがまかりとおっているのだ」
では、BIを始めるに当たっては、何から着手すればいいのだろうか。
まず最初になすべきとことは、ビジネス・ケースを理解することだ。それができてはじめて、IT部門が長年大変な思いをしてきた厄介な仕事にとりかかることが可能になる。すなわち、標準的なデータ・モデルを構築し、それに磨きをかけ、必要なデータを複数のシステムから矛盾なく取り出せるようにすることができるのだ。「データの品質と完全性は永遠の課題だ。それらを簡単に解決できる方法などない」と、ガートナーの副社長、ベッツィ・バートン氏は声高に主張する。
フォレスターのエベルソン氏も、バートン氏と同じ意見だ。BIイニシアチブを立ち上げる際、「最初に取り組むのはデータ・ガバナンスであり、それ以外のことは一切考えない」(エベルソン氏)というのである。
これまで、BIベンダーは、データの品質と統合化の問題をMDM(Master Data Management)ソリューションで解決しようとしてきた。しかしながら、データのガバナンス、クレンジング、照合の問題は、BIを管轄する部門にとどまらず、組織全体に及ぶ。そのため、BIの利害関係者たちの間に全社的なMDMを推進する勢いがなければ、たとえビジネス・エグゼクティブが当初の要求を超えてBIを拡張したいと考えても、それを実行できないことが多かった。
会社側にデータを全社的にクリーンアップしようとする意思がない場合(ちなみに、全社的なデータのクリーンアップは、多大な時間と労力を要するプロジェクトである)、最良の選択肢は、クリーンアップの対象を「厳密に定義されたビジネス目標の達成に寄与するデータ・ソースのみ(コアシステム)に絞り込む」というものである。
また、コンテキストとメタデータの関連性を維持するためには、データを身近に置いておくことも重要だ。というのも、データ・ウェアハウスにストレージする目的でデータを変換すると、関連性を維持できなくなってしまうことがあるからだ。
マートンズ氏は、「ETL(抽出/変換/ロード)にはべらぼうなコストがかかるものだ」と、レガシー・システムからデータの巨大な塊を引き出す一般的な手法を引き合いに出して指摘する。
データ・ソースを絞り込むことは、下仕事を減らすというメリットをも生む。だが、いずれにしても、データの品質はそれなりのレベルに達している必要がある。そもそも、データの中には、外部のソースから得ているものや抽出が困難なものなど、常にダーティな(汚染された)ものが含まれている。
その1つの例が、情報提供を拒まれることが多い顧客の生年月日のデータだ──こう指摘するのは、SASインスティテュートで技術製品マーケティング担当ディレクターを務めるアン・ミレー氏である。そうしたデータの中には、うそのデータや11/11/11のように適当に入力されたデータ、あるいはまったく未記入のデータなどが多く含まれているというのである。
そのような場合、想定している(あるいは実施している)データ分析にそうした情報が本当に必要であるのかどうかを再検討すべきである。そのうえで、どうしても必要だというのであれば、分析結果に有意性を持たせるために、欠落した情報を、どの程度考慮すればいいかを考えなければならない。データ収集、変換、マイニング、分析、リポーティング・システムなどを展開する前には、ぜひともこうした検討を行うべきだ、とミレー氏は指摘する。
実際に、そうした検討をすることによって問題を解決した企業もある。その1社が、車両管理サービスを営むPHHアーバルだ。同社では、トラック運転手が給油したときに走行距離をチェックすることで、車両運行の効率性、配送コスト、安全基準の適合性などを分析している。
だが、運転手の多くは、給油時には走行距離を記入せず、ターミナルでデータが収集されるとき、適当に推測した値を入力している。PHHアーバルでは、分析の精度を高めるために、「このデータの弱点を織り込んだ統計的処理モデルを作成した」(同社BI担当副社長、グレッグ・コーリガン氏)のである。
ビジネス・サイドのBI関与
●企業の74%で、BIは経営陣にとって重要な優先事項となっており、そのうちの48%ではエグゼクティブ・レベルが、30%では事業部マネジメントが担当を務めている。
●企業の74%は今後5年以内に、66%は1年以内に、BIが高度な、あるいはクリティカルな優先事項になると見ている。
●企業の61%は、ビジネス分析が戦略的な役割を担っていると回答しており、そのうちの39%が、今後1年以内にビジネス・アナリストの増員を計画している。



