【 ここから本文 】

ビジネス・コミュニケーション進化論

ソーシャルブックマークに登録 : Yahoo!ブックマークに登録 はてなブックマークに登録 del.icio.usに登録 newsing it!に登録 Buzzurlにブックマーク livedoorクリップに登録 Slashdotにタレコむ イザ!ブックマークに登録 Twitterでつぶやく
print 印刷用ページの表示


進化するビジネス・インテリジェンス

「リアルタイムBI」が現場の情報のインパクトを測る

(2007年10月23日)

ビジネス・インテリジェンス(BI)はこれまで、主に企業の経営層や経営企画部門、マーケティング部門において、経営の中長期的な戦略の策定に活用されてきた。だが、ここにきて現場のマネジャーに対してビジネスの現場で何が起こっているかという情報をタイムリーに提供し、迅速な意思決定を支援する「リアルタイムBI」が脚光を浴びつつある。本稿では、企業の情報共有/活用基盤の主要テクノロジーであるBIにスポットを当て、その最新トレンドを探ってみることにしたい。

後藤洋介/内堀公章
アクセンチュア

従来のBIとリアルタイムBI

 BI(Business Intelligence)という言葉は、もともと米国の市場調査会社ガートナーのアナリストであるハワード・ドレスナー氏が1989年に提唱した概念である。同氏によれば、BIは当初複雑なデータ検索とリポーティングの機能を意味するものでしかなかった。しかし、昨今は最適化・予測モデルなどを実現するデータ・マイニングも含んでBIと呼ばれることが多い。


図1:BIの定義

 図1を見ていただきたい。BIは、大きく分けて2つの領域、すなわち、データへのアクセスやリポーティングに特化した領域(OLAP、リポート、ダッシュボードなど)と、分析(最適化や予測型モデリング)領域をカバーする技術と定義することができる。

 そもそもBIはどのような歴史をたどってきたのか。過去のBIの変遷を図2にまとめてみた。BIは、DSS(Decision Support System)という概念から始まり、その意思決定支援を具現化したデータ・ウェアハウス(DWH)をベースに、DWHのフロント系システムという位置づけであるOLAP(Online Analytical Processing)へと進化し、その後、大量のデータからルールや規則を見つけ出してモデル化を実現するデータ・マイニングへと発展してきた。つまりBIは、DWHという情報系システム(トランザクション・データをバッチなどで集め、目的別に整理したデータベース・システム)を基に発展してきた技術である。だがBIが誕生した当時は、大量データのリアルタイムな参照・分析にたえられるサーバ技術が確立されていなかったこともあり、リアルタイム性を確保することはきわめて困難な状態であった。


図2:ビジネス・インテリジェンスの変革

 しかし、DBMS(データベース管理システム)やサーバ技術などが進歩するにつれて、大量のトランザクション・データをリアルタイムで分析することが可能になった。例えば、オラクルのBIスイート製品では、トランザクション・データを管理するデータベースに直接アクセスし、リアルタイム・データによる分析(リポート、ダッシュボードなど)を実現することが可能となっている。

 ここで、従来のBIとリアルタイムBIを比較してみる(図3)。従来のBIのユーザーは、一部の分析担当者や経営層だったのに対し、リアルタイムBIでは、現場のマネジャーや一般スタッフにも利用されていることがわかる。また利用シーンも、従来は主に戦略的・戦術的な意思決定に活用されていたが、リアルタイムBIでは、日々の業務での利用を想定している。バブソン大学教授のトーマス・ダベンポート氏は、著書『Competing on Analytics』で次のように述べている。

 分析力で勝負する企業は、単に経営人だけでなく、あらゆる階層における意思決定にさまざまなデータを活用して分析を行い、それを最重要視している。

 つまり、技術的な進歩が先行してリアルタイムBIが登場したわけではなく、ビジネスの要求によって日々の業務でも活用することが必須となり、そこでは従来のような1日遅れのデータによる判断では遅すぎることから、まさにリアルタイムのデータを活用した意思決定が必要となったわけである。


図3:従来のBIとリアルタイムBI

 例えば、海外のある総合通信会社では、顧客の申込情報をリアルタイムで管理し、顧客の行動を適時予測することで、適切に対応できるようにしている。また、金融系会社の中には、ATMなどのトランザクション・データをトリガーに顧客行動の変化を瞬時に把握し、適切なアドバイスを提供しているところもある。

リアルタイムBIに求められる機能


図4:意思決定のためのPDCAサイクル
図5:リアルタイムBIで必要な機能

 前述したとおり、リアルタイムBIでは経営層だけでなく現場のユーザーも対象として、日々活用されることを想定している。業務を効率よく、かつ効果的に行うためのPDCAサイクル(図4)が業務プロセス上、重要であることは周知の事実であるが、現場のユーザーがPDCAサイクルをどのように回していくかは、リアルタイムBIの機能にかかっていると言える。ここで注意しなければならないのは、日々の業務の中においてユーザーに負荷のかからないPDCAサイクルを構築する必要があるということだ(図5)。

 PDCAサイクルの計画フェーズは、経営戦略に依存する部分が大きく、人の手による策定作業が必要となる。したがって、このフェーズでは予測情報および経営戦略を基にプランニングを実施することになる。それ以外のフェーズでは、できるだけツールを使って簡易にPDCAサイクルを実行できるようにすることがポイントとなる。例えば、BIツールの必須機能であるリポート機能、分析機能を活用して、顧客に対してリアルタイムにレコメンデーションを行い、瞬時に推奨製品を提供する、あるいは予測機能を活用して計画を練り直すといったことが可能になる。

 また、単なる実績データの「見える化」だけでなく、実績情報からの予測を見せることもリアルタイムBIの重要な機能の1つである。例えば、ビジネスオブジェクツのBI製品では、OLAP、リポート、ダッシュボードなどの機能に加えて、簡易な予測機能も提供される(図6)。それらをBIプラットフォーム上に統合することで、専門家だけでなく一般社員も傾向分析や予測分析、品質管理のための統計分析を行える環境を提供している。また同社では、ビジネス・プロセスにBI機能を取り入れるべく、各種BIツールのSOA(サービス指向アーキテクチャ)化にも注力している。


図6:ビジネスオブジェクツが提供するBIツール群

 |12 > 次のページへ



関連記事

▲ページの先頭へ戻る


特別企画

配布文書の動的統制で情報セキュリティのあり方を変える

自由な情報デリバリーと強固な情報漏洩対策の両立に向けて

新時代のRIAプラットフォームで企業情報の価値を最大化する

バックエンド・データとの連携で業務の効率化を強力に支援

エンド・ツー・エンドでビジネス・プロセスの効率化を図る

オンラインとオフラインの両環境で業務フローを緊密に統合

事例研究

“リアル&バーチャル”での情報共有が建設プロジェクトを成功に導く

【大林組】

「情報」の活用で医療機器バリューチェーンを革新せよ

【オリンパスメディカルシステムズ】

研究開発ノウハウの共有でイノベーションを図る

【P&G】

インテリジェントな電子フォームで業務プロセスを大改革

【米国スナップオン・クレジット】

キャッチアップ

「エンタープライズ・ウィジェット」その可能性と課題を探る

企業内で新たな活用領域を見いだすなか、セキュリティには手つかず

開発者の“インスピレーション”を刺激し、Webとデスクトップの融合を加速する、アドビのRIA戦略

注目の「AIR」をはじめ、RIA関連の次世代技術を一挙公開

ユーザーの声から考える“情報共有/活用基盤2.0”

エンタープライズ検索/イントラ・ブログ/ソーシャル・ブックマークの企業での活用

「アジャイル開発とPHPの相性は良好だ」――ゼンドとアドビが強調

PHPのオブジェクト指向性がアジャイル・プロセスにマッチ

ビジネスの核となる「情報・データ基盤」どう強化し、どう活用すべきか

「新時代の情報系」に求められる技術と戦略

目指すは「脱ブラウザ」――スタンドアロン型リッチ・クライアント最新事情

次世代デスクトップ・プラットフォームの“本命”となるか

「Web 2.0 Summit」で語られたコンピューティングの未来

イノベーション創出のため、Web 2.0を製品戦略に取り入れるベンダー各社

米国アドビ社長が語る、製品戦略の「次なる一手」

今後の注力分野は“ビデオ&モバイル”

情報統制

社員のアクセス管理は「無法状態」――組織の分散化が原因?

「アクセス権に関する責任の所在は特定が困難で、検討機会もない」

エンタープライズ・データを守れ

担当者が負担に押しつぶされず、企業にとって価値のある情報を保護するために

情報漏洩に備える――ダメージを抑えるための心得7カ条

セキュリティ責任者が実践すべきこと、すべきでないこと

コンプライアンス時代の情報セキュリティ・ポリシー

英国の事例から情報セキュリティ対策の有効策を探る

ビジネス・プロセス管理

「サービス」の真意をとらえ、社内体制を整える――そこからSOAプロジェクトは始まる

経営層とIT/IS部門に求められる、業務視点のシステム構築

「全社横断型の戦略部門」への転換がIT部門の未来を切り開く

企業の“DNA”に沿った事業戦略をITで具現化するという「大役」を果たすためには

IT化の“ラスト1マイル”は「人がかかわるプロセス」──米国アドビ幹部

「ドキュメント・人・プロセス」の統合を図る、アドビのエンタープライズ戦略

完全なる”ペーパーレス・オフィスの実現に向けて

「もはや企業に選択の余地はない!」

BPM製品のトレンドと導入/運用の4ステップ

「モデル」「デザイン」「デプロイ」「監視」の基本フローを押さえる

トレンド・フォーカス

小売業界がBIを重視、顧客ニーズへの対応で活用

7割の企業がすでに導入/利用(2008年02月27日)

Adobe、RIA実行環境のAdobe AIR 1.0を正式リリース

オープンソース化でRIA市場での足場固めをねらう(2008年02月25日)

「データ品質がビジネスの成否を左右する」

TVJP栗原氏がデータ・アーキテクチャの全体最適化を提言(2008年02月14日)

先行するAdobe、追うMicrosoft――RIA市場でしのぎを削る両社の強みと課題

ユーザー数でFlashに劣るSilverlight、開発環境はVisual StudioがFlexに勝る(2007年12月26日)

Adobe、オープンソースのRIA開発ツール「BlazeDS」を公開

データ転送とパフォーマンスの改善を支援(2007年12月14日)

Web 2.0のパワーを企業に――BEAが提唱するエンタープライズ・ソーシャル・コンピューティング

Genesisで構築するナレッジ共有ネットワークとは(2007年12月14日)

アドビ、RIA関連の次世代技術を本邦初公開

「アイデアと情報とのかかわり方に変革をもたらす」とアピール(2007年11月01日)

アドビ、リアルタイム・コラボを実現する新サービスの提供計画を公表

RIAにVoIPやメッセージングなどの機能を容易に統合可能に(2007年10月03日)

BEAとアドビ、RIA分野で提携

BEA Workshop StudioにAdobe Flex Builder 2をバンドルして提供(2007年09月12日)

Ajaxの名付け親、ユーザー・エクスペリエンスの重要性を強調

「ユーザーは製品との個人的なかかわりを求めている」(2007年09月10日)

マイクロソフト、Flash対抗の「Silverlight 1.0」を正式リリース

開発ツール連携やWindows Live配信サービス対応をアピール(2007年09月06日)

企業ネットワークの外部に持ち出される情報、セキュリティ対策は不十分

「経営者は危機感も予算配分も足りない」と専門家は警鐘(2007年08月23日)

ビジネス・インテリジェンスを使いこなせ!

どんな技術があるかではなく、どんな利用法があるかを考える(2007年07月06日)

アドビ、PDFとFlashを融合させたビジネス・プロセス管理製品を発表

紙ベースのプロセスの合理化、自動化を支援(2007年06月28日)

Weekly Ranking

集計期間:07/17〜07/23



Computerworld Global
米国
英国
中国
ドイツ
オーストラリア
シンガポール
その他の国