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ビジネス・コミュニケーション進化論
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【Adobe MAX Japan 2007】
開発者の“インスピレーション”を刺激し、Webとデスクトップの融合を加速する、アドビのRIA戦略
注目の「AIR」をはじめ、RIA関連の次世代技術を一挙公開
(2007年11月22日)
2007年11月1日〜2日の2日間、アドビ システムズ主催のクリエイターおよびディベロッパー向けイベント「Adobe MAX Japan 2007」が東京・台場で開催された。同イベントにおいてアドビは、現在開発を進めている次世代のリッチ・インターネット・アプリケーション(RIA)関連技術を一斉に披露した。以下、その模様をリポートする。
大川 亮
Computerworld編集部
人とアイデア・情報とのかかわり方を変えるRIA技術
| 写真1:米国アドビ システムズのプラットフォーム事業部担当シニア・バイスプレジデント兼チーフ・ソフトウェア・アーキテクト、ケビン・リンチ氏 |
「アドビは、過去25年間にわたり、“人とアイデア”および“人と情報”のかかわり方を変革するとともに、“豊かなエクスペリエンス”をもたらすことのできるプラットフォーム作りに力を注いできた」──Adobe MAX Japan 2007初日の基調講演に登壇した、米国アドビのプラットフォーム事業部担当シニア・バイスプレジデント兼チーフ・ソフトウェア・アーキテクト、ケビン・リンチ氏(写真1)は、講演の冒頭で、アドビの設立から現在に至る25年間の軌跡を振り返った。
同氏は、「われわれはこれまで、ユーザーにエクスペリエンスをもたらすコンテンツを、さまざまなメディアを通じて提供することに力を注いできた」と語り、1980〜1990年代はフロッピーディスクやCD-ROMを使ってコンテンツを提供してきたが、ここにきて、コンテンツをWebを通じて提供するという“RIA時代”を迎えつつあると指摘した。
「RIA時代のインターネット・アプリケーションは、華やかなユーザー・インタフェース(UI)を実装することよりも、だれもが自分に適した形で簡単に利用できることが重要となる」(リンチ氏)
次期Flash Playerでは「H.264」をサポート
ユーザーに“豊かなエクスペリエンス”を提供する技術の1つとして、リンチ氏が挙げたのが、高精細(High Definition)ビデオ技術を搭載した「Flash Player 9 Up date」(開発コード名:Moviestar)だ。
同氏は、Moviestarのデモンストレーションを行いながら、「Moviestarは、Blu-rayシステムやHD DVDプレーヤ、TVセットトップ・ボックスなどで採用されているH.264コーデック動画圧縮標準をサポートしており、今後はさらに高精細なFlash動画をインターネット上で楽しめるようになる」と語り、広く普及しているFlash Playerが新たなフェーズに入ったことをアピールした。
Moviestarのベータ版はすでに提供開始されており、Webサイト「Adobe Labs」からダウンロード可能となっている。正式版は年内にリリースされる計画だ。
ちなみに、デスクトップ上でRIAを稼働させる技術としてアドビが開発を進めているアプリケーション実行環境「AIR(Adobe Integrated Runtime)」もH.264をサポートしている。同社では、Moviestarの提供により、ディベロッパーは、ビデオ編集ツール「Adobe Premiere」を搭載するツールセット「Adobe Creative Suite 3」で開発したメディア資産を、Flashアプリケーションの開発環境「Flex」やAjax(Asynchronous JavaScript + XML)を介して配信できるようになるとしている。
Webオフィス・ソフトの投入でSaaS分野に本格参入
| 写真2:AIR上で稼働中のBuzzword。デモでは、サーバにホストされた文書と、ローカルに保存された文書をシームレスに同期させる模様が実演された |
続いてリンチ氏は、アドビが提供する最新のRIAとして、「Buzzword」(写真2)を紹介した。Buzzwordは、アドビが2007年10月に買収した米国バーチャル・ユビキティによって開発されたオンライン・ワープロ・ソフトウェア。同製品はFlexで開発され、Flash Player上で動作するため、ブラウザやデバイスに左右されることなく使用できる。また、AIR上での動作も可能で、オンライン、オフラインを問わないハイブリッドな作業環境を提供するとともに、サーバにホストされた文書とローカルに保存された文書のどちらも扱うことが可能となっている。
Buzzwordの獲得はアドビにとって、マイクロソフトやグーグルなどが熱心に投資を続けるSaaS(Software as a Service)分野に、正式に参入することを意味する。従来のパッケージ・ソフトウェアからホスティング型サービスの提供へとビジネス・モデルをシフトすることについて、リンチ氏は、「それは時代の必然である」と意欲的な姿勢を示した。
Buzzwordのデモでは、Webブラウザ内のオンライン環境でもデスクトップ上のスタンドアロン環境でも同様に動作し、単一のドキュメントを両環境間でシームレスに連携させる模様が披露された。
なお、AIRは現在ベータ2が提供されており、Adobe Labsサイトからダウンロード可能となっている。リンチ氏によると、AIRのベータ1のダウンロード件数はすでに50万件を超えており、ベータ2も2007年10月1日のリリースからわずか1カ月で15万件のダウンロードがあったという。
「Flex 3」「Astro」「Thermo」……開発中の次世代技術を一挙紹介
基調講演では、オープンソース・フレームワークとして開発が進められているRIA開発環境「Flex」の次期バージョン「Flex 3」の進捗状況も明らかにされた。リンチ氏に代わって登壇した、Adobe Flex担当テクニカル・エバンジェリスト、テッド・パトリック氏は、Flex 3の主な特徴として、(1)ブラウザ内またはAIR上で実行されるアプリケーションの内部動作やメモリ状況を検証するプロファイラの搭載、(2)CSSの言語インテリジェンスに対する完全なサポート、(3)視覚的なスキニングとスタイリングのサポート、(4)Flashムービーの容量を抑えるキャッシング機能、の4つを挙げ、それらが実際にどのように機能するかをデモンストレーションを交えて説明した。
| 写真3:Thermoのデモの様子。psdファイル(Photoshopで作成したデザイン)を読み込み、MXMLファイル(FlexアプリケーションのUI定義ファイル)として出力する作業が披露された |
ほかにも、Photoshopなどのフィルタリング技術を活用してテキストや3Dグラフィックスを描画する新機能が搭載される予定の次世代Flash Player「Astro(開発コード名)」の紹介や、デザイナー向けのRIA開発ツール「Thermo(開発コード名)」(写真3)のデモなどが行われた。
講演の最後には、ゲスト・スピーカーとしてNTTドコモの執行役員マルチメディアサービス部長、夏野剛氏が登壇し、「Adobe × DoCoMo」と題したプレゼンテーションを行った。夏野氏は、NTTドコモのFlash対応端末の累計販売台数は7,961万台、PDF対応端末の累計販売台数は2,591万台で、ポータル・サイト「i-modeメニュー」にアクセスするFlash対応端末は94%に上ると報告。さらに、現在、契約数1,300万以上を超える情報配信サービス「iチャネル」は、アドビの「FlashCast」技術をベースに開発されたと説明し、アドビとの協業による成果をアピールした。同氏は、「今後もアドビとのコラボレーションを推進していく」と述べ、講演を締めくくった。
なお、イベント2日目午前の特別講演では、エンタープライズ領域(サーバ・サイド)技術を中心に、アドビの統合ビジネス・プロセス管理製品「LiveCycle Enterprise Suite」の最新事例が紹介されたほか、アドビのユーザー代表として、サイバーエージェント、ヤフー、楽天の担当者が登壇し、各社のRIA技術の活用状況に関するプレゼンテーションが繰り広げられた。
以上のように、Adobe MAX Japan 2007では、RIA分野におけるアドビの技術開発が着々と進展していることが明らかにされた。同社が今後もこの分野のキー・プレーヤーとして市場をリードしていくことはまちがいなさそうだ。






















