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ビジネス・コミュニケーション進化論

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【連載】
未来的テクノロジー・ベスト10

第1回 バッグや衣服に装着可能な液晶ディスプレイ「Wearable Display Module」

(2008年01月11日)

「Computerworld Horizon Awards」は、米国の研究機関やITベンダーのR&D部門などが、近い将来の実用化・製品化を目指して開発した最先端テクノロジーを読者に紹介すべく、2005年に創設されたものだ。本連載では、2007年度の“受賞作品”を一挙に紹介する。開発者たちのコメントから、イノベーション創出の最前線、そして企業コンピューティングの明日を感じ取っていただきたい。最初に紹介するのは、バッグや衣服に装着可能なSideShow対応液晶ディスプレイ「Wearable Display Module」だ。

Robert Mitchell
Computerworld米国版

効率、生産性、そして“人間のポテンシャル”を高める最先端テクノロジーを紹介
Computerworld Horizon Awards 2007

 「Computerworld Horizon Awards」は、米国の研究機関やITベンダーのR&D(研究開発)部門などが近い将来の実用化・製品化を目指して開発中の最先端テクノロジーをComputerworld米国版読者に紹介することを目的として、2005年に創設されたアワードである。

 今回で第3回目となるHorizon Awards 2007も、前回に引き続き、現在、企業のIT/IS部門が抱えている課題やニーズにこたえる革新的なテクノロジー/製品について、2007年4月からオンラインによるノミネートを受け付けてきた。その際、以下の評価基準のいずれかに該当するテクノロジー/製品であることを条件とした。

  • 異なるシステムや離れた場所でのアプリケーション統合を実現する
  • 遠隔地のチーム/ビジネス・ユニット間でコミュニケーションやコラボレーションを実現する
  • 企業の情報資産に対するセキュリティを提供し、従業員と顧客情報のプライバシーを保護する
  • 各種法規制に対応した情報の保管やディザスタ・リカバリへの対応を支援する
  • 利便性の高いモバイル/ワイヤレス・コンピューティング環境を提供する
  • サプライチェーンにおける通信、物流経路、可視化を改善する
  • クライアントPC、ネットワーク、ストレージなどの効率的な運用管理を提供する
  • eコマースやWeb上でのサービス展開を管理し、利益回収までを支援する
  • 膨大なデータ・ストアからビジネス・インテリジェンス(BI)を抽出し活用する
  • 与えられた予算と期限内で高品質なアプリケーション開発を支援する
  • ハードウェアやソフトウェアのアーキテクチャを根本的に改善する
  • ユーザーのイノベーションと生産性の向上を実現する

 これらの規準に沿ってノミネートされたテクノロジーや製品は255件に及んだ。選考にあたっては、専門家の協力を仰ぎ、すべての候補を6人の専門調査員と9人の審査員から成る審査委員会で検討し採点した。この評点を基に選出されたのが、本稿で紹介する受賞テクノロジー10点である。

 なお、受賞テクノロジーの選考、評価に貴重な時間を割いてくれた調査員/審査員の顔ぶれは、次の一覧のとおりである。

「Computerworld Horizon Awards 2007」調査員・審査員の一覧

調査員:アナトール・ガーシュマン氏(カーネギー・メロン大学コンピュータ・サイエンス学部名誉教授)、ポール・ギリン氏(Paul Gillin Communications会長/TechTarget創刊編集長/Computerworld米国版元編集長)、ホセマリー・グリフィス氏(ノースカロライナ大学チャペルヒル校情報・図書館科学部 学部長兼教授)、デビッド・オレンスタイン氏(スタンフォード大学工学部広報担当マネジャー)、エド・シム氏(ベンチャー・キャピタリスト/Dawntreader Ventures設立メンバー兼マネージング・ディレクター)、ジェイ・スリニ氏(ピッツバーグ大学医療センター エマージング・テクノロジー担当バイスプレジデント)

審査員:デニス・フィッシュバック氏(CalpineのCIO兼シニア・バイスプレジデント)、デービッド G.グリーンウッド氏(Genworth Financial戦略テクノロジー/イノベーション担当バイスプレジデント)、ノーバート・J.クビルス氏(SunterraのCIO)、ウィリアム・エドワード・ペンス氏(ナプスター シニア・バイスプレジデント兼CTO)、ベス S.パールマン氏(Constellation Energy GroupのCIO兼シニア・バイスプレジデント)、ラリー・クインラン氏(Deloitte & Touche USAのCIO)、ハリー・ロバーツ氏(Boscov’s Department Storeシニア・バイスプレジデント兼CIO)、デービッド N.サウル氏(State Street シニア・バイスプレジデント)、ゴードン D.ウイッション氏(ノートルダム大学CIO兼アソシエート・バイスプレジデント兼IT担当准学部長)

プログラム・コーディネーター:ゲーリー・アンテス氏、エレン・ファニング氏、マリ・キーフェ氏

 
バッグや衣服に装着可能なSideShow対応液晶ディスプレイ
Wearable Display Module
英国Eleksen Group http://www.eleksen.com/

 英国Eleksen Groupは、2007年1月に米国ラスベガスで開催された世界最大級の家電展示会「2007 International CES」で、Windows Vistaの「Windows Sideshow」機能に対応したコンピュータ用補助ディスプレイ「Wearable Display Module(WDM)」を発表した。

 このテクノロジーの中核を成すのは、バッグや衣服などに装着できるファブリック(布地)素材の感圧コントロール・キーパッド「ElekTex」だ。ElekTexはすでに商品化されており、携帯電話や音楽プレーヤのリモート・コントローラ機能を備えたバッグや衣服が提供されている。


写真1:Wearable Display Moduleが埋め込まれたノートPCバッグ。ノートPCをバッグの中に入れたまま、布状キーパッドのElekTexを操作して電子メール・メッセージやスケジュールなどの情報を液晶ディスプレイに表示することができる


 WDMの最大の特徴は、バッグなどの布地と一体化した液晶ディスプレイに、ノートPCの情報を表示できる点にある。具体的には、ノートPCの電源のオン/オフにかかわらず、Windows Sideshowの各種ガジェット(ミニ・アプリケーション)を使って、電子メールのメッセージやスケジュールなどの情報を呼び出してWDMの液晶ディスプレイに表示する。また、WDMとノートPCはワイヤレスで接続されるため、バッグからノートPCを取り出さなくても必要な情報をすばやく確認できるという。対応プラットフォームは現時点ではWindows Vistaのみだが、EleksenではMac OS Xのサポートも計画中としている。

 「WDMの最初の実装は、コントロール・ボタンと小型のカラー液晶ディスプレイを埋め込んだノートPC用のバッグになるだろう」と、Eleksenのマーケティング/ビジネス開発担当バイスプレジデント、ジョン・コリンズ(John Collins)氏は語る。

 同社は今後、より柔軟性の高い有機ELフレキシブル・ディスプレイへの移行を進め、あらゆる布地にWDMのモジュールを埋め込めるようにする方針だ。

 「有機ELフレキシブル・ディスプレイを採用すれば、ワイシャツの袖に埋め込んだWDMから会社の情報システムにアクセスして重要情報をチェックするといったことが可能になる」と、Eleksenの製品管理担当バイスプレジデント、バシリス・セフェリディス(Vassilis Seferidis)氏は説明する。

 ElekTexの素材は、通常のナイロンとカーボンを含浸させた特殊ナイロンの織物層でできており、自由に折り曲げられるうえ、洗濯もできる。素材の性質上、さまざまな布地に縫い付けたり接着したりすることができ、加熱溶着も可能となっている。

 米国Goodhope Bagsは、パックに埋め込んだElekTexのセンサーからiPodを操作できるオリジナル・バッグを提供している。同社の国内販売担当マネジャー、マーク・トレガー(Mark Treger)氏は、ElekTexについて、「布地の上から縫い付けることができるので、とても使い勝手がよい」と評価している。

 唯一の制約はコストだ。Collins氏の見積もりでは、WDMを装着したノートPCバッグの価格は約200ドルになる。だがTreger氏によると、ElekTexのコストは1年前の半額程度にまで下がっているという。

 「当社では、ElekTexを採用したBlackBerry用のファブリック・キーボードを販売しているが、昨年の価格は169ドルだった。しかし現在は130ドル以下まで下がっており、クリスマス・シーズンのころには小売店で80ドル程度で販売されているだろう」(Treger氏)

 「ElekTexの開発と製造プロセスの完成には何年もかかった」とCollins氏が語るように、Eleksenは家電向けスマート・ファブリック・コントロール・キーパッドの開発・製造でどのライバル・メーカーよりも先んじている。米国Gartnerのアナリスト、レスリー・フィエリング(Leslie Fiering)氏は、「適正な触覚フィードバックを実現するキーパッドの製造方法を熟知していることがEleksenの強みだ」と指摘する。

 Eleksenは今後、タップやポイントだけでなく複雑な指先のジェスチャーも認識できるファブリック・ベースのタッチスクリーン・ディスプレイを開発する計画だ。Seferidis氏によると、折り曲げが可能なタッチスクリーン・ディスプレイは今後2年以内に実用化される見込みだという。「単に折り曲げられるだけでなく、布地といっしょに洗えるものを開発するのが目下の課題だ」(同氏)



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