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ビジネス・コミュニケーション進化論

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【連載】
未来的テクノロジー・ベスト10

第2回 目の動きでコンピュータを操作する「EyePoint」

(2008年01月16日)

「Computerworld Horizon Awards」は、米国の研究機関やITベンダーのR&D部門などが、近い将来の実用化・製品化を目指して開発した最先端テクノロジーを読者に紹介すべく、2005年に創設されたものだ。本連載では、2007年度の“受賞作品”を一挙に紹介する。開発者たちのコメントから、イノベーション創出の最前線、そして企業コンピューティングの明日を感じ取っていただきたい。今回紹介するのは、目の動きでコンピュータを操作する、米国スタンフォード大学の「EyePoint」だ。

Drew Robb
Computerworld米国版

目の動きでコンピュータを操作。“視線”がマウスの代替に
EyePoint
米国スタンフォード大学 http://www.stanford.edu/

 コンピュータの処理性能の向上は、単に画像処理の改善に寄与するだけでなく、コンピュータと人の新しいインタラクション方法を切り開くこともある。スタンフォード大学博士課程の研究者、マヌ・クマール(Manu Kumar)氏が開発した「EyePoint」システムがその一例だ。

 EyePointは、コンピュータをマウスではなく、目で操る新しいコンピュータ操作補助インタフェースで、ユーザーの目の動きから要求される動作をソフトウェアと高解像度カメラ、赤外線搭載のモニタを使って判別し、軽くキーに触れるだけで画面をスクロールしたり、小さい文字を大きな字にして読みやすくしたりすることができる。

 Kumar氏は、「コンピュータを視線で操作することで、ユーザーは従来よりもインテリジェントに、かつ直感的に使いこなしているという感覚を得ることができる。EyePointを試用した多くのユーザーが、しばしばコンピュータに考えを読まれている気がしたと報告している」と語る。

 具体的には、ブラウザの画面を見つめながら、キーボードの「ホット・キー」を押すと、見つめていた部分が拡大表示される。また、拡大表示された部分の中にあるリンクを見つめながらホット・キーを放すと、リンク先のURLへと遷移する(画面1)。


画面1:EyePointを使って、ブラウザの一部分を拡大表示した様子。ユーザーの目の動きから要求される動作を判別する同技術は、身体に障害を持つ人々がコンピュータを操作するための次世代補助インタフェースとして実用化が期待されている

 何十年も前から存在する「アイ・トラッキング」と呼ばれる視覚操作インタフェースは、一般にヘッドセットやモニタ・フレームに組み込まれた赤外線装置を使用する。ユーザーの瞳孔の動きを追跡して画面のどの部分を見ているかを計算するわけだが、この方式ではエラーが頻発するため、用途は主にキーボードやマウスを使えない身体障害者に限定された。

 従来のアイ・トラッキングの精度は視角にして約1度とされた。1,280×1,024ピクセル、96dpiの画面を約50センチ離れた距離から眺めた場合、この角度はユーザーの目の位置から任意の方向の33ピクセルの幅に相当する。したがって、この方法ではURLリンクをピンポイントできるような精度を十分に確保することはできない。

 「アイ・トラッキングは、つい5年前まで設計者でさえ使いこなせない代物だった。しかし近年のコンピュータ処理性能の向上により、いよいよ次世代の操作インタフェースとして実用化される可能性が出てきた」と、マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディア・アート技術研究所准教授で、米国Context Aware Computing研究所のディレクターを務めるテッド・セルカー(Ted Selker)氏は指摘する。

 また、タフツ大学コンピュータ・サイエンス学部教授のRobert Jacob氏も、「コンピュータ補助操作インタフェースとして目の動きを活用するKumar氏のアプローチは、正しい方向性と言えるだろう」と語る。

 Selker氏は、アイ・トラッキングは今後5年以内に標準的なコンピュータ操作補助インタフェースになるかもしれないと予測し、当面の課題となる高額なハードウェア・コストも、普及に伴う大量生産によって徐々に下がっていくとの見通しを示している。



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