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ビジネス・インテリジェンス

エンタープライズ検索テクノロジーの「着眼点」

企業ITインフラ上での位置づけを押さえ、導入に備えよう

(2006年09月19日)

すべてのインターネット・ユーザーにとって真の意味での「ポータル=入り口」となったWeb検索エンジン。このテクノロジーを企業コンピューティングの世界でも活用する試みが活発化している。本パートでは、検索システムと、企業ITインフラストラクチャを構成する各種システム/アプリケーションとのかかわりや位置づけを明らかにすることで、「エンタープライズ検索」と呼ばれるこのムーブメントの本質を見極めたい。

渡辺 聡
渡辺聡事務所/「情報化社会の航海図
長尾 唱
ウチダスペクトラム SMART/InSight事業推進グループ執行役員

エンタープライズ検索時代の幕開け

 今年2月、ノルウェーの検索エンジン・ベンダー、ファストサーチ&トランスファが米国マイアミで開催した「FASTforward’06」コンファレンスに足を運ぶ機会を得た。コンファレンスのテーマはもちろん同社が注力する「エンタープライズ検索」である。

 フォーチュン500の上位に名を連ねるグローバル企業や大手メディア企業をはじめ、世界中から集まった参加者の顔ぶれとプレゼンテーションの内容からは、ちょっと面白そうな話といったレベルにとどまらず、本格的なビジネス・レベルでの運用を意識して議論が交わされていることが、ありありと感じられた。

 着々と進むグーグルの企業向けサービスの展開、3月に「Oracle OpenWorld Tokyo」コンファレンスの場で発表されたオラクルのエンタープライズ検索市場参入計画などの動きからすると、今年は間違いなく、この市場が本格成長に向けて走り出す年になりそうだ。

 ではなぜ、現在、検索がエンタープライズ・サービスとして求められているのだろうか。そして、それはユーザー企業にとってどのような意味を持つのだろうか。以下、そうした観点からエンタープライズ検索の現在と近未来を探ってみることにしたい。

注目を集める理由

 情報を探し出すことを支援するサービスは昔からたくさんある。そもそも、情報“処理”というぐらいだから、わざわざ検索などと言わなくとも、情報を使いやすく整理整頓しておくのがコンピュータの役割だと言える。であるのに、なぜ今、検索技術がこれほど注目を集めているのだろうか。筆者は、その理由は、以下の3点にあると考えている。

【1】 「情報供給過多時代」の必須ツール

 コンピュータが情報を扱う際の役割は、大きく、「情報の供給」と「情報の蓄積」とに分類することができる。

 コンピュータが供給する情報量は、CPUやストレージなどハードウェアの価格対性能比の低下に伴ってソフトウェアの適用分野が拡大していくにつれ、その増大に拍車がかかっていった。とはいえ、1995年以降のインターネットの爆発的な普及、いわゆる“IT革命”が起きる前までの情報量は、ユーザーがパニックを起こすほどのものではなかった。

 だが1995年以降、IT機器の数・種類が共に急増し、情報が洪水のごとくあふれるようになると、完全に供給過多となり、需要側のユーザーが情報のありかさえ認知できないほどにまでなってしまった。有益な情報はたくさん存在しているはずなのに、各所にさまざまな形で蓄積されているゆえ、探し出すのが面倒で困難という事態に陥っているのだ。

 そんな需要と供給のギャップを埋め、ユーザーが無駄足を踏むことなく効率よく情報を取り扱えるようにするために、それを支援する技術やサービスに注目が集まることとなった。最有力となるのは言うまでもなく検索技術であり、情報の洪水の中を泳ぐうえで必須のツールとして進化、普及が進んでいる。

【2】 インターネット関連技術の進化とサービスとしての熟成

 コンシューマー向けにせよ、エンタープライズ向けにせよ、ユーザーに支持されるサービスの実現には技術の裏づけが必要である。この10年間、インターネットの普及に伴って各種の技術が進化を遂げ、その結果、インターネット上で展開されるサービスがユーザーの間に定着し、熟成されてきた。

 そうしたなか、クローラやインデックス、サービスのインタフェース設計など検索サービスの中核を成す技術や手法も、今日まで膨大な積み重ねを経てきた。ユーザーからのフィードバックも含めた日進月歩の開発と改善は今も変わらず続けられており、Webアプリケーション構築技術の進化とも相まって、今や検索サービスの能力は業務システムでの利用にも十分堪えられるレベルにまで高まっている。

【3】 ユーザーの「慣れ」と「検索体験」の蓄積

 突然だが、デファクト・スタンダードの地位を確立したアプリケーションの競争資源として挙げられるものに、ユーザーの「慣れ」と「学習コストの削減」がある。なるべくなら使い慣れたアプリケーションを使い続けたい、新しい操作を覚えるのが面倒である、といった意識が働くことで、事実上の標準になりえたものが市場を支配することになるのだ。

 1995年以降、コンピュータの世界を見ると、ユーザーがしてきた経験と言えば、「インターネットを使って何かをする」ことにほかならない。そして、その結果、一貫した操作感に対するニーズが高まり、業務システムも含めて“ネット的な感覚”を取り入れたアプリケーションが求められる傾向が強まっている。また、Web検索の操作感やレスポンス速度に慣れてしまうと、業務システム系の検索ツールを不便に感じてしまうことも少なくない。つまり、ユーザー側がサービスに求める基準値が着々と変わりつつあるということである。

 上記のようなベンダー側、ユーザー側双方からの要求に答える形で、広義の“ネット的”なサービスやアプリケーションが企業・組織内の業務システムに取り込まれていく動きが生じており、この動きは今後さらに加速していくものと考えられる。


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