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ビジネス・インテリジェンス

【インタビュー】
グーグル幹部、エンタープライズ分野への意気込みを語る

「ITマネジャーやCIOにも十分食い込める」

(2007年05月31日)

「ITエンタープライズ分野に専心する」と明言するグーグル。果たしてその戦略とビジョンはどのようなものなのか。そして、エンタープライズ・ビジネスで本当に大きな利益を上げることができるのか。米国グーグルのGoogle Appsプロダクト・マネジャー、ラジェン・シェス氏に聞いた。

ホアン・カルロス・ペレス
IDG News Service マイアミ支局

 昨年の「Google Apps」の立ち上げにより、中小企業向けホスティング型コラボレーション/コミュニケーション・ソフトウェア・プロバイダーという新たな地位を築き上げた米国グーグル。今年2月には企業向けの「Google Apps Premier Edition」をリリースし、大企業のITマネジャーやCIOを顧客ターゲットとして明確に定めた。こうした動きは、ソフトウェア業界の重鎮であるマイクロソフトに真っ向から挑むものであると同時に、数年前の企業向け検索製品のリリースで「エンタープライズ向けベンダー」としての第一歩を踏み出したグーグルのさらなる前進を意味するものでもある。

 グーグルは、今なお収入の大半を検索エンジンの広告に依存しているが、それにもかかわらず、「ITエンタープライズ分野に専心する」ことを明言している。そこで、IDG News Serviceは、エンタープライズ・ソフトウェア市場におけるグーグルの課題とビジネス・チャンスを明らかにすべく、Google Appsプロダクト・マネジャーのラジェン・シェス氏にインタビューを行った。

――グーグルのエンタープライズ部門はITマネジャーやCIOのニーズを的確に把握できていると思うか。

 少なくともそのつもりでいる。実際に、Google Appsや「大企業向けホスティング型アプリケーション」など、この分野における新しい概念/市場を切り開いてきたつもりだ。別な言い方をすれば、業界とともに新たな可能性を学んできたとも言える。

 当社のエンタープライズ部門に所属しているスタッフは、営業からプロダクト管理、エンジニアリングに至るまで、全員が主要企業での勤務経験を有しており、「エンタープライズ分野の企業」とは、そして「エンタープライズ向け製品」とは何であるかを十分に理解している。その上で、「Search Appliance」や Google Appsでお分かりのように、製品の構築方法および提供手法で他社とはきっちり差別化を図っている。

――特に医療や金融サービスなど規制が厳しい業種に向けたホステッド型アプリケーションの提供や顧客データの保管に関して、グーグルは政府の規制にどう対応しているのか。

 Google Appsの入り口にメール・ゲートウェイを設置してすべての送受信メールをフィルターにかけ、アーカイブする機能を付加するといった対策をとっている。6〜7年間分のメール保管を義務づけられ、社会保障番号を含んだ電子メール・メッセージの外部発信を禁止されている金融サービス会社などにとって、これは非常に重要な機能だ。

――(Premier Editionで)Gmail稼働率99.9%を保証しているにもかかわらず、GmailではすでにPremier Editionの顧客に影響を及ぼすような障害が何回か発生しているようだが、これについて何かコメントすることは?

 残念ながら、立ち上げ直後にトラブルが数件発生したことは確かだ。それを繰り返さないために、個々のケースを徹底的に調査し、この体験を製品の改良や今後の製品作りに生かす努力をしている。その意味で、これまでの障害を、プロセス全体を見直し、製品開発を行ううえでの肥やしにしたいと考えている。

――電話サポートの状況について教えてほしい。

 Premier Editionでは24時間体制の電話サポートを提供しており、担当チームも増強を重ねている。サポートには、現場サポート要員と、エンタープライズ・サポート担当エンジニアとが共同してあたっている。Google Appsについても、Search Applianceを利用するハイエンドの顧客に対するものと同じようなサポートが提供できるはずだ。

――Premier Editionは1ユーザー当たり年間50ドルとかなり低い価格設定になっているが、この価格だと申し込みが殺到しているのではないか。もしそうなら、膨大な数の顧客をサポートしきれるのかという新たな懸念材料が出てくることになるが……。

 お陰様でPremier Editionは非常に注目されているが、それも、あくまで予測の範囲内だ。あらかじめチームとリソースを拡大していたこともあって、うまく対応することができた。そもそも、システムのスケーラビリティは、グーグルの得意とするところだ。10万人の社員(ユーザー)を抱える企業顧客であっても、当社の全体的なユーザー・ベースから見ればほんの一つまみの規模だ。

 つまり、当社にとって、システムのスケール・アップはさほど難しい問題ではないのだ。実際、グーグルの(コンシューマー)サービスはすごい勢いで規模を拡大しており、Gmailなどは、すでに数千万単位のユーザーを数える。

 なお、サポートについては、需要に追いつけるよう、担当組織の強化に着手したところだ。

――Google Appsのオフライン・サポートを提供するデスクトップ・クライアントに関する計画は?

 確かにオフライン・サポートがこの製品に欠如していることは事実であり、現在複数の可能性を模索しているところだ。今のところは(サード・パーティの)オフライン・クライアントに顧客を誘導している。これは、妥当な処置だとは思うが、十分であるとは言えない。しかしながら、現時点で(将来計画の詳細について)話すことはできない。

――ホスティング型アプリケーション全般に対して、データ・セキュリティに関する懸念を表明する声が多く聞かれるが、グーグルはこれについてどのような対応策を打ち出しているのか。

 グーグルは、創業当初から、開発/運営哲学の一環として、外部攻撃からデータ・センターとインフラを保護するための対策──つまり、セキュリティ対策──を講じるようにしてきた。

 また、Premier Editionでは、顧客がGoogleアプリケーションの最上部に独自のセキュリティ・ポリシーを適用できるようになっている。例えば、電子メール利用時の認証手段として指紋を採用している企業の場合、Google Appsにも同じセキュリティ対策を実装することができるわけだ。

 このほか、Google Appsを構成するすべてのアプリケーションを暗号化し、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Security)を介して対話させるようにすれば、電子メールやチャット・セッションに株式取引と同じレベルの暗号化対策を講じることもできる。

――Google Appsへのモバイル・アクセスの状況は?

 モバイルは当社がひときわ注力している分野だが、Gmailモバイル・アプリケーションとGmailモバイル・ブラウザ体験を通じたGmailへのリーチはすばらしく好調だ。今後も引き続き、すべてのGoogle Appsについて、モバイル・デバイスを使った体験の向上に努めていく。

 なぜ、グーグルにとってこれほどモバイル・アクセスが重要であるかといえば、多くの国でモバイル・デバイスでインターネットにアクセスする人の数がラップトップPCやPCを使ってアクセスする人の数を上回るようになっているからだ。




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