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ビジネス・インテリジェンス

[米国] 【FASTforward'08】
「欲しかったのはFastの人材、技術、ビジョン」――Microsoft担当者が明かす買収提案の“舞台裏”

Fast CEOのLervik氏は、両社の技術統合の“意味”について言及

(2008年02月20日)

 米国オーランドで開催中のFast Search&Transfer主催年次コンファレンス「FASTforward'08」(2月20日まで)。2日目となる2月19日は、Wall Street Journalを発行する米国Dow Jonesなど、Fastの顧客企業がステージに立ち、エンタープライズ検索の活用状況を披露した。
 

Wall Street Journalが目指す情報入手/提供の理想形

Dow Jonesエンタープライズ・メディア・グループのClare Hart氏は、Wall Street Journalサイトの目標について話した

 Dow Jonesの基調講演では、同社エンタープライズ・メディア・グループのエグゼクティブ・バイスプレジデント、クレア・ハート(Clare Hart)氏がステージを務めた。同氏は、「Wall Street Journalのような経済情報は、国を問わず必要とされている。日々刻々と変化するニュースを、必要としている読者にいかに的確に届けるか。われわれは、この課題に取り組み続けている」と述べ、その取り組みに今、必要不可欠なのがエンタープライズ検索であるとした。

 Hart氏が考える「User Revolution」(今年のコンファレンス・テーマ)とは、ユーザーがWall Street JournalなどのWebサイトにアクセスしたその時点で、そのユーザーに必要な情報が、あたかもWall Street Journalサイトのトップ・ページのように“完成した形”で提供されることだという。

 「ユーザーが検索ボックスにキーワードを入力することなく、必要としている情報を得られること。一方、情報を提供する側は、ユーザーのニーズをくみとり、同じ事象に対する記事でも、ユーザーごとに違う記事を提供できること。これが、われわれの目指す姿である」(Hart氏)
 

MicrosoftがFast買収の“真意”と今後の展望を説明

 昨日お伝えした、MicrosoftによるFast買収にまつわる話(関連記事)は、19日の基調講演においてもあらためて語られた。ステージに上がった米国Microsoftのエンタープライズ検索グループ製品マネジャーのジャレド・スパータロ(Jared Spataro)氏は、来場者に向かって、Fastの買収が意味するところと、今後の製品展開について説明した。

Microsoftエンタープライズ検索グループ製品マネジャーのJared Spataro氏は、来場者に向かってFast買収の“真意”を説明した

 Spataro氏によると、MicrosoftがFastに買収の提案を行った最大の理由は、「Microsoftのエンタープライズ検索戦略の変更」だという。Microsoftは、エンタープライズ検索機能を提供する製品として「SharePoint Server」と「Search Server 2008」を販売している。Spataro氏は、「これら2製品は、ミドルレンジとローエンドという位置づけだった。もともとMicrosoftは、エンタープライズ検索を、インフラ・ソリューションという形で提供していたが、多くの顧客が求めるエンタープライズ検索とは乖離があったようだ」と語り、そうした顧客のニーズを満たすためには、戦略の見直しが迫られていたことを明かした。

 Spataro氏は、Microsoftがエンタープライズ検索を提供する“手段”としてFastを買収したのは、「すぐれた検索技術と、それを多くのユーザーに利用してほしいと願う(Fast社員の)情熱、そして検索によって“User Revolution”を起こしたいとする崇高なビジョンを持っている企業だと確信したため」だという。

Spataro氏が示した、Fast買収後のMicrosoftのエンタープライズ検索の展望。同氏は、「Fastのすぐれた技術とMicrosoftのマーケティング/販売力が1つになることで、すべてのユーザーにすぐれた検索技術を提供できる」と強調した

 Microsoftの買収でFastユーザーが懸念するのは、現在利用している製品のサポート体制だろう。これについてはSpataro氏も、FastのCEO、ジョン M.レルヴィック(John Markus Lervik)氏も、「引き続きサポートする」と明言している。

 そして、買収後のMicrosoftのエンタープライズ検索製品のポートフォリオは、ハイエンド向けが「Fast ESP」、ミッドレンジ向けがSharePoint Server、ローエンド向けがSearch Server 2008となる。ただし、Fastの検索技術は、SharePoint ServerおよびSearch Server 2008の両製品にも「活用される」という。
 

買収後の技術統合はどうなるか

 今回の買収で特に注目されるのは、「Fastの技術がどのような形でMicrosoft製品に統合されるのか」である。昨日お伝えしたように、Lervik氏は、「買収後もFastは独立して検索開発を続ける」と明言している。

 しかし、Spataro氏は、「将来的に、(Microsoftの)エンタープライズ検索プラットフォームは1つに統合されることになると語っている。この点について、Fastのある技術者は、「“統合”という言葉のとらえ方の相違ではないだろうか」とし、次のように語った。

 「例えば、インタフェースはSharePoint Serverで、バッグエンドでFast ESPが稼働しているという“統合環境”はすぐに構築できる。一方、SharePoint Serverの検索機能とFastの検索技術を“融合”させ、1つの検索技術とするには相応の時間を要する」

 技術者はそのように話したうえで、「両社とも顧客にとってベストな製品を提供することを最優先に“統合”することになるのではないかと思う」とコメントした。実際のところ、Lervik氏も、「(買収によって)Fastの検索技術がSharePointの機能の一部となるという認識は間違いだ」と語っている。

 また、買収後に、Microsoftのコンシューマー向け検索サービスである「Live Search」に、Fastの技術が提供されるようになるかどうかについてLervik氏は、「可能性はゼロではないし、Fastの技術がLive Searchにとっても役に立つことは確信しているが、当面はエンタープライズ検索分野に注力したい」と語った。

(鈴木恭子/Computerworld)




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