【 ここから本文 】

経営/業務改革

ソーシャルブックマークに登録 : Yahoo!ブックマークに登録 はてなブックマークに登録 del.icio.usに登録 newsing it!に登録 Buzzurlにブックマーク livedoorクリップに登録 Slashdotにタレコむ イザ!ブックマークに登録 Twitterでつぶやく
print 印刷用ページの表示


先達が語る、ビジネス・インテリジェンスの活用ポイント

目指すは「適切なタイミングで、適切なデータを、適切なユーザーに提供するBI」

(2008年01月18日)

社内に蓄積されたデータを分析し、的確なビジネスの意思決定に必要な指標を提示するビジネス・インテリジェンス(BI)。ただし、その導入や活用の仕方が適切でないために、期待したほどの効果が得られていないというケースも多く見受けられる。本稿では、すでにBI導入で成果を上げている米国企業担当者たちのアドバイスを紹介することで、BIシステムを構築・活用するにあたって留意すべきポイントを示したい。

Mary Brandel
Computerworld米国版

既存のツールを見直し、標準化する

 ビジネス・インテリジェンス(BI)の導入に取り組んだことのある人であれば、BIがユーザーにもたらす“自由”の恐ろしさを少なからず知っているはずだ。システムを構築し、「適切なタイミングで、適切なデータを、適切なユーザーに提供する適切なツール」を実現するまでの過程を見るに、BIほど難しいものはない。

 米国テキサス州サンアントニオに本拠を置く、年商820億ドルの独立系石油精製会社Valero Energyの例を見てみよう。4年前に複数の吸収・合併が行われた同社では、Cognos、Hyperion、Crystal Reportsといった複数のBIツールが利用されていた。Valeroでリポーティング&財務システム担当ディレクターを務めるカーク・ヒューウィット(Kirk Hewitt)氏は、バージョンが異なる複数のデータを使ってリポートを作成していた点に問題があったと当時を省みる。

 「一部のユーザーが、データ・ウェアハウスからデータを取り出し、それをCrystal Reportsサーバにロードしてリポートを作成していたが、リポートは毎朝更新されるわけではなかったため、前日夜にデータ・ウェアハウスに入っていたデータと、そのリポートに記載されたデータとの整合性が取れていなかった」(Hewitt氏)

 そうした問題の解決に向けて、Valeroは2004年から社内のBIシステムのアーキテクチャを整理統合する2カ年プロジェクトをスタートさせた。まずはSAPのBIツール「SAP Business Information Warehouse(SAP BW)」と「SAP ERP」、Oracleのデータ・ウェアハウスを導入してシステムの統一化を図り、すべてのリポートおよびクエリ構成機能をIT部門に移管した。さらに、フロントエンド・ツールをInformation Builders製Webリポーティング・ツール「WebFocus」に統一し、オンライン分析処理機能をSAP BWに移行したのである。

 現在、Valeroの社員はWebFocusを使ってさまざまな角度から業務データを分析/比較しているが、データやリポートはすべてIT部門が定めた基準に沿って作成されている。Hewitt氏は、「すべてのリポートがIT部門から供給されるようになり、以前のようにデータの不整合が起こるようなこともなくなった。BIの導入によって、すべての社員が同じ条件の下で、正確なデータをタイムリーに入手できるようになった」と満足げに語る。

BI導入の成功に欠かせない要素

 複数のBIを乱用する状況を脱して、制御と洗練の度合いを増したアプローチに転換できた企業はValeroだけではない。BIの可能性についての認識が広まるにつれて、多くの企業がBIの実装成功に不可欠な要素が何であるかも学びつつある。例えば、ツールを標準化しなければどのような事態に陥るか、ユーザーが求めるBIを提供すべくユーザーといかに協力し合うべきか、ユーザー間の調整を図りながらクエリとリポートを作成することの重要性、すべてのユーザーが正確に構造化された同一のデータ・セットを確実に利用できるようにすることなどである。

 次に、Valero同様、BIツールの標準化に成功した米国の食品メーカーDel Monte Foodsの事例を紹介しよう。同社のビジネス・システム&意思決定支援担当ディレクター、アンディ・ウォジェウォッカ(Andy Wojewodka)氏によると、Del Monteでは以前、複数の部門が複数のクエリ/リポーティング・ツールを使って、各部門の独自ルールに従って作成したフィルレート(納品率リポート)を経営陣にを報告していたという。

 「当時は、リポートにどの注文/取り引きを含めるか、あるいは除外するかといった基準さえ設けられていなかった」とWojewodka氏は述懐する。

 同氏は、「不適切な相手に、過度に柔軟なシステムを与えると、全社的にまとまりのないサブシステムが乱立することになる。その結果、内容が誤っているわけではないが、複数の報告書が提出されるようになる」と指摘する。同氏によると、Del Monteでは現在、IT部門に所属するBIアナリストらが中心となって、エンドユーザーとデベロッパーの協力も得ながら、経営陣に有用な情報を提供するための最良の方法を定義づける作業が進められている。

 また、米国ペンシルバニア州ハノーバーにあるスナックフード・メーカーUtz Quality Foodsも、Del Monteと似た経験を味わったという。Utzの最高情報担当ディレクター、エドワード・スミス(Edward Smith)氏によると、同社ではかつて、社員が作成した独自のクエリがうまく機能せず、非効率的なクエリが原因で、Utzの主要なビジネス・システム・プラットフォームである「IBM iSeries」サーバが突然機能停止に陥るという事故まで起きていた。

 「ほとんどの社員がデータの構造を理解していなかったため、正しい答えを導くことができなかった」(Smith氏)

 そこでSmith氏は、2002年からクエリとリポートの作成をWebFocusを使って行うよう決定した。Utzではそれ以来、効率的なクエリと適切なデータ構造に基づきながら、データを支障なく分析/比較できるようになったという。

 米国のIT調査会社Gartnerのアナリスト、ビル・ホストマン(Bill Hostmann)氏は、「こうしたリポートやダッシュボードを巡る問題は氷山の一角にすぎない。最も深刻なのは、そうした問題の根底にあるデータ統合、条件の設定、分析、フォーマット化などに十分な資金が注がれていないことだ」と指摘している。


 |12 > 次のページへ



関連記事

▲ページの先頭へ戻る


キャッチアップ

電子メール・アーカイブの構築を急ぐ米国企業

「訴訟対策」にとどまらない多大なメリットに期待

ユーザーの声から考える“情報共有/活用基盤2.0”

エンタープライズ検索/イントラ・ブログ/ソーシャル・ブックマークの企業での活用

進化するビジネス・インテリジェンス

「リアルタイムBI」が現場の情報のインパクトを測る

エンタープライズ・データを守れ

担当者が負担に押しつぶされず、企業にとって価値のある情報を保護するために

SMB向けERP市場を俯瞰する

大企業での導入が一巡した今、ERPベンダーのねらいはSMB

情報漏洩に備える――ダメージを抑えるための心得7カ条

セキュリティ責任者が実践すべきこと、すべきでないこと

ビジネス・インテリジェンスを使いこなせ!

どんな技術があるかではなく、どんな利用法があるかを考える

ソーシャル・メディアの活用術を「先行事例」に学ぶ

イントラ・ブログで社内ポータルを強化――カシオ計算機のチャレンジ

「マインド・マップ」でビジネスを描く

個人レベルの生産性向上にとどまらず、業務カイゼンを実現する

全社レベルでコンテンツを“統制”する「ECM」

今日のコンテンツ管理製品分野における最注目領域

日本版SOX法の最新事情/対応のポイントを知る

金融商品取引法の要点と内部統制評価の進め方を指南

コンプライアンスを重視したメール運用管理の実際

ECM/CMSではカバーしきれない最重要コンテンツ

「全社横断型の戦略部門」への転換がIT部門の未来を切り開く

企業の“DNA”に沿った事業戦略をITで具現化するという「大役」を果たすためには

RFIDのこんな使い方、あんな使い方

タグのコスト低下で、普及に弾み

エンタープライズ検索テクノロジーの「着眼点」

企業ITインフラ上での位置づけを押さえ、導入に備えよう

“使える!”ビジネス・インテリジェンス(BI)がやってきた

エンタープライズ検索との融合で、必要なデータへの直接アクセスが可能に

“完全なる”ペーパーレス・オフィスの実現に向けて

「もはや企業に選択の余地はない!」

チェンジ・マネジメントの自動化を促進せよ

現行プロセスを見直し、効率性・管理性・監査性を再検証する

ビジネス・インテリジェンスを使いこなせ!

どんな技術があるかではなく、どんな利用法があるかを考える

サプライチェーンを災害から守れ!

担当役員が明かす災害対策の極意

注目のリポート/ホワイトペーパー

「リアルタイムLANアナライザ」とは?

ネットワーク・トラブルにまつわる諸問題を解決する「リアルタイムLANアナライザ」とは?

高いコスト・パフォーマンスと操作性――最新製品に備わる特徴と機能

分散環境におけるファイル管理をいかに効率化するか

分散環境におけるファイル管理をいかに効率化するか

ファイル仮想化、レプリケーションで実現。統合されたデータ管理基盤の構築方法とは?

ファイル・サーバに埋もれた知識を、掘り起こし、資産化する方法

ファイル・サーバに埋もれた知識を、掘り起こし、資産化する方法

ファイル・サーバを“丸ごとブログ化”――「FileBlog」の斬新アプローチ

マネージドホスティング導入事例

間に合う!?「2ヶ月以内の3社のシステム統合を完遂せよ」

サーバ本稼働まで約1カ月で済ませたマネージドホスティング成功術

情報起点のビジネスを目指して

情報起点のビジネスを目指して

情報管理戦略のベスト・プラクティス

Windows Server 2008 対応製品(ソフトウェア関連)

SOA/BPM 関連製品

注目のトピック

ワークスタイル革新[New]
業務生産性の向上とワーク・ライフ・バランスの実現を目指して
事業継続マネジメント(BCM/DR)[Update]
万全のBC/DR基盤を構築し企業の信頼を高める
マルチコア・コンピューティング[Update]
ITインフラを最適化しパワーを最大限に生かす
グリーンITの戦略的価値
“環境マネジメント”の視点でITを最適化する
仮想化の“真実”
IT革命を支えるテクノロジー
データセンター革新
次世代ITインフラをいかに構築すべきか
ビジネス・インテリジェンス最新事情
組織と“個”の知的生産性を高める
セキュリティ・マネジメント[戦略と実践]
内外の脅威から企業を守る
Windows Server 2008 World
新世代プラットフォームの実力を探る
コンプライアンス総点検
法令順守の実態を把握し、万全の対策を!
SOAがITを変える
企業はどう備えるべきか
ITIL活用最前線
ITILでビジネスとITを変える
データ・マネジメント
新時代の情報/データ管理基盤を構築するために

Weekly Ranking

集計期間:10/09〜10/15


トピック一覧

ニュース特集

セキュリティ

ソフトウェア&サービス

経営/業務改革

ITマネジメント

データ・マネジメント

プラットフォーム

IT基盤技術

ハードウェア

ネットワーキング

トレンド

IT業界動向


Computerworld Global
米国
英国
中国
ドイツ
オーストラリア
シンガポール
その他の国