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【解説】
BI活用の方向性と戦略立案のポイント

ユーザーの期待は過去業績の確認から将来予測へ

(2008年04月09日)

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成熟度モデルからCPMのあり方を見る

 ここでCPMを、BIの成熟度モデルに照らし合わせて考えてみたい。仮にCPMという取り組みが適切に進められているとしたら、そのような企業は全社レベルでパフォーマンスを最適化できているということになるため、戦略的レベルにあると言える。

 だが、一足飛びにこのレベルに達するわけではない。財務分析に由来を持つCPMは、一般的に財務部門でBIツールを利用するといった形が第1ステップとなる。この段階は、少数のユーザーが現場において個別対応を行うという、まさに成熟度モデルにおける戦術的レベルの状態である。

 ただし、財務分析で得られた情報をマネジメント層に配布して、それをマネジメント層の人々が役立てられるような仕組みが整っていれば、実際にBIツールを使っているのは財務部門に限られているとしても、集中的レベルにあると言っていいだろう。

 そして、全社的にパフォーマンスを最適化し、戦略的レベルにまで達するためには、財務以外の情報も取り入れていくことが必要になる。コールセンターの利用率という指標が必要になったり、個々の従業員のスキル・セットに関する情報が必要になったりする際には、それぞれコールセンター部門、人事部門からの情報を得られるような仕組みを構築しなければならない。

組織的な活動が重要になるBI導入・活用のプロセス

 ガートナーでは、BIのライフサイクルには9つの重要なステップがあると考えている(図5)。BIの導入にあたっては、まず、要件を定義するところから着手する。ここで、導入の目的と期待する効果、想定するユーザーといった点を明確化しておく。


図5:BIのライフサイクルにおける9つの重要なステップ


 次に、BIの目的を達成するために必要となるデータやリソースの所在を確認する。場合によっては、必要としているデータが存在しない、あるいはデータがあってもその精度や鮮度が不十分というケースも予想される。そうしたときには、ある程度の妥協を許容するのか、あるいはプロジェクトのあり方を再検討するのかといった判断が必要になる。

 その後、利用するツールを評価・選定する作業に入る。ツールの評価・選定に際しては、自社開発かパッケージ・ツールかという選択も含めて判断することになる。ガートナーが調査したところ、1割ほどの企業が、パッケージ化されたBIツールではなく、自社開発のツールを利用している、あるいはその利用を検討していることがわかった。

 自社が想定しているツールの利用シナリオ(利用者層、頻度、対象データ、分析手法など)と、BIベンダーが提示する製品の利用シーン、BI製品を実際に販売するSIerの提案内容という3つの間に乖離がないのかを確認し、自社の想定シナリオに当てはまるツールがないと判断したら自社開発を選択すべきである。

 導入するツールが決定(自社開発の場合は開発が終了)した後には、導入作業と共に、ユーザーに対する教育を行い、利用開始となる。

 利用開始当初は、どのように使うと何ができるのかを理解するために、ユーザーが多くの試行錯誤を繰り返すことになる。特にパッケージ・ツールを選択した場合は、その時間も長くなるだろう。ここである程度の成果が得られなければ、その後、十分に利用されなくなってしまうおそれがある。そのため、ツールの使い方や分析方法などに関する初期サポートをおろそかにしてはならない。

 試行錯誤の期間を経て、自社における一般的な利用方法が定着すれば、情報の確認や分析が日常化し、意思決定に対しても、ある程度貢献するようなケースも見受けられるようになる。

 BIに対する習熟度や使い方は、ユーザーによってばらつきが出る。そのため、定期的にBIの活用方法について情報交換できるような体制を整え、個々のユーザーが、これまで気づかなかったデータの見方や活用方法を見い出せるようにする。こうすることで、直接的あるいは間接的にビジネスの進め方や、判断の仕方に変化が生じる。

 以上、見てきたように、BIの導入で成果を得るためには、システムを導入するだけではなく、導入後の継続的なサポートならびにデータの分析・活用力を強化し続ける組織的な活動が重要になる。

組織的なBI導入の効率化を図る「BICC」

 最後に、BIの導入・活用のための組織的な活動を効率的に実施する手段として、BIコンピテンシ・センター(BICC)の設立を提案したい。

 データの分析・活用力を強化する活動と言っても、BI活用のプロセスがそれぞれのビジネス現場で自発的に回っているのであれば、何も対策は必要ない。また、組織にIT、ビジネス、分析に関するスキルがバランスよく備わっていれば、ビジネス上の判断がよりよいものとなり、業績に対してプラスのインパクトを与えられるようになるはずだ。

 だが、そうした組織への変貌を図ろうとしても、現実的にはBIイニシアチブに対して社内リソースを無制限に投入できるわけではない。BIイニシアチブを成功に導くためには、限られた社内リソースを集約して効率的に活用できるような体制作りが必要になる。

 実際に、そのような体制作りを進めているという事例は、少なからず見受けられる。具体的には、BIの取り組みをIT主導型から、幅広い組織を横断的にカバーするビジネス主導型に発展させることを目的に新たな社内組織を設立するという動きだ。BICCとは、そうして設立された社内組織のことである。

 このBICCは、BIについての戦略プランの策定や優先順位づけなどを行い、データ品質やガバナンスを含む要求事項を定義したうえで、BIによって得られる洞察力をユーザーがビジネス上の判断に役立てられるように支援する。この活動を通して、BIを利用する部門が、そして将来的には全社的に、IT、ビジネス、分析に関するスキルをバランスよく備えられるようにし、情報活用の能力の組織的な向上を図る。

*  *  *

 本稿で見てきたように、BIイニシアチブの成功には、長期的・継続的な視野が不可欠であり、その効果を最大限に引き出すには、組織的な取り組みが必要となる。そうした取り組みを進めることができれば、ユーザーにデータを提示するだけではなく、ビジネス上の目的にかなったBI活用を実現できるはずだ。


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