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オフィス/業務支援
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【解説】
オラクルとSAPの戦略に見る「業務アプリケーションのベクトル」
両社の差異と共通点から業務アプリケーションの今を知る
(2008年04月30日)
Oracleが指摘するERPの構造的限界
Oracleは、Outside Inのアプローチに注力する理由の1つとして、ERPアプリケーションの構造上の限界も挙げている。この限界が、ERPを拡張する形で社外ステーク・ホルダーとの関係を管理するCRMシステムを困難なものにしているとOracleは説明する。
ERPの構造上の限界とは、自動勘定設定を基礎にしている点だ。企業では、モノが動くと同時にお金も動く。これをリアルタイムで把握できるようにしたのがERPのもともとの始まりで、SAP R/3の“R”もRealTimeの意味だった。勘定データに狂いが生じることは許されず、それゆえデータが常に正しいERPがもてはやされた。しかし、常に整合性を保ちながら稼働するERPは、逆に柔軟な運用にはそもそも向かないというのがOracleの考えだ。
ERPを使う際に最初の設定項目となるのは会社コードで、要は勘定項目を設定するところから始まるわけだ。会社コードが中心になって、トランザクションが動いていく。一方、CRMでは、まずカスタマー・マスターを設定する。顧客(カスタマー)に対する活動やトランザクションを管理するのがCRMなので、これは当然と言えば当然である。
つまり、ERPとCRMのどちらが良い悪いということではなく、両者の立ち位置が異なるのである。ERPにCRM機能を持たせようとすると、自動勘定設定に引っ張られてしまうことになる。例えば営業活動では、顧客が購入を決定するまではお金の動きはないのだが、ERPを拡張した形でCRMを実装しようとすると、自動勘定設定の枠内に無理やり押し込むために苦労するわけだ。
Oracle自身も、「E-Business Suite(EBS)」というERPアプリケーションを開発し、育ててきたわけだが、どう頑張ってもEBSがERPである以上、守らなければならない部分があり、それを壊すような拡張は難しい。そこでEBSの拡張ではなく、外部の優秀なアプリケーションを買収で得たうえでOutside Inの下で疎結合し、そのために必要な基盤も充実させるという方針に転換したとOracleは説明する。
Outside Inのメリットを最大化するための取り組み
業務アプリケーションに関するOracleの戦略は、ビジネス・ファンクション、SOA基盤、ITインフラの3つのレイヤにまたがっている。さらにその背景には、ERPをあらゆる業務アプリケーションの中核に据えるのは難しいという判断と、Outside In型のアプリケーションによる疎結合のシステムこそが、現在の企業ユーザーが抱える問題を迅速かつ低コストで解決できるという考え方がある。では、次にこうした方針を具体化する個々の取り組みについて見てみよう。
まず1つ目は“Application Unlimited”という取り組みだ。これは、「ユーザーの既存資産を保護していき、使われているアプリケーションはずっとOracleがメンテナンス/改変を行う」というメッセージである。これは直接的には、JD EdwardsやPeopleSoftの買収時に、これらのソフトウェアのユーザーの不安を解消するために発せられたメッセージと同じだが、その後、さらに内容が強化され、既存ユーザーに対してバージョンアップやマイグレーションを強要しないという約束に発展している。
とはいえ、既存のアプリケーションをそのまま使い続けるだけでユーザーが満足するとはかぎらない。そのため、2番目の取り組みとしてFusion Middlewareによる連携を掲げている。連携の対象には、Application Unlimitedどうしにかぎらず、SAPアプリケーションや既存のカスタム・アプリケーションなども含まれている。Application Unlimitedだけに閉じるビジネス・プロセスではなく、それをFusionで連携させることで発展の道を確保するというわけだ。
そして3番目の取り組みが、SOAをより発展させたAIA(Application Integration Architecture)だ。これは、事前定義済のアプリケーション統合モデルであり、SOAでアプリケーション間を疎結合していく際の実作業の負担軽減をねらったものだ。
これらの取り組みにより、Outside Inのメリットを効率よく享受できる体制を整えることが、Oracleの業務アプリケーション戦略の要となる。


