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【解説】
RFIDの技術動向と自社導入のポイント

仕組み・動向を押さえ、“10のユースケース”に照らして自社業務での活用を検討する

(2008年06月18日)

ユビキタス・ネットワークの旗手と目され、各所から大きな期待が寄せられている非接触型の識別・管理技術であるRFID(Radio Frequency Identification)。この技術を企業の業務で活用する動きが数年前から活発化しているが、現時点においてRFIDが業種や規模を問わず広範に普及しているとは言い難い。導入が活発化している業種には偏りがあり、導入事例がわずかしかない業種では、いくつか存在する“導入の壁”を前にして躊躇しているユーザー企業が大半のようだ。本稿では、そうしたユーザーにRFIDの自社導入・活用を具体的にイメージしていただくべく、技術の基本から、適用業務、ユースケース、導入プロジェクトを成功に導くキーファクターまでを挙げて解説する。

西村泰洋
富士通 ビジネスインキュベーション本部 開発部 担当部長

国内のRFID市場動向

 「RFIDシステムの導入、ないしは検討の状況は?」と尋ねられたとき、読者の所属する企業・組織におかれては、以下の4つの選択肢のうち、どれに当てはまるだろうか。

(1)すでに導入済みである
(2)導入計画の策定を終えた段階である
(3)推進担当者を定めて、導入に向けた検討に着手した段階である
(4)未定である

 多くの方が、(3)もしくは(4)と回答するのではないだろうか。筆者は2003年度後半からRFIDビジネスに携わっているが、当時から現在に至る市場動向を順に振り返ってみると以下のようになる。

2003年〜2004年上期:RFIDという新しい技術の紹介が主で、実際にシステムを構築するような案件はほとんどなかった。
2004年下期:実証実験を支援する契約が急激に増えた。
2005年:結果的に、本運用のシステム構築契約が実証実験を上回った。これには2005年4月からUHF帯を利用した通信が可能になった点が大きい。しかし、本運用といえども大半は総構築費500万円〜3,000万円の小規模システムにとどまっていた。
2006年:本運用システム導入の傾向は一層強くなり、商談の規模も徐々に大きくなっていった。要因にはICタグの価格低下が挙げられる。例えば、歴史の浅いUHF帯ICタグでも当初の数百円からロットによっては200円を切るなど、単価は多くのベンダー/メーカーの市場参入により急激に下がった。2.45GHz帯や13.56MHz帯などでは100円を切るICタグも出てきた。
2006年末〜2007年(現在):億単位の大規模の案件が目立つようになってきた。

 
導入の大半は製造業。今後の普及が期待される流通業

 上に列挙したような筆者の経験は、この業界の関係者の間で共有できるものである。だが、ユーザー企業の側にしてみれば、RFIDの普及が確実に進んでいることの実感があまりわかないかもしれない。

 これは、導入企業の業種と業務に偏りがあることに起因する。2005年から本運用としてのシステム導入が増えているとしたが、その大半は製造業によって占められている。そして製造業の中でも特に、自動車、自動車部品、電機メーカーなどに案件が集中している。適用業務としては工程管理が圧倒的に多く、次に物流となっている。

 一方、流通業は当初からRFID普及の本命業種として期待され続けており、もちろん導入企業は増えているのだが、大手流通企業の多くは、実証実験ないしは今後の検討という段階にとどまっているというのが実情だ。また、この業種では、メーカー側で商品にICタグをつけるべきという意識が根強く、このことが各市場調査会社・機関におけるRFID市場の伸張予想にブレーキをかけているといった状況である。

 流通業でのRFID活用と言えば、有名なウォルマートの大規模導入事例(関連記事)で知られるEPCグローバル規格があるが(注1)、現在のところ国内でめぼしい導入事例は、ヨドバシカメラなどわずかである。しかし、EPC規格のICタグ仕様は、国内外の多くの企業で評価され、利用が始まっており、同規格の特徴の1つである製造業者と販売業者などを結ぶサプライチェーン管理(SCM)利用のコンセプトに寄せられる期待は大きい。

注1:EPCグローバル:流通標準化機関である欧州の国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUCCが共同で2003年9月に設立したICタグの国際標準化団体。EPC(Electronic Product Code:電子商品コード)規格のICタグ仕様の管理、運用やICタグをグローバル・ネットワーク上で活用する研究などが世界中の参加企業とともに進められている


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