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[米国]
アドビ、ビジネス・ユーザー向けマッシュアップ環境「Genesis」を投入へ

ビジネス・コラボの“ワークスペース”として機能

(2008年07月09日)

 米国Adobe Systemsがビジネス・ユーザー向けマッシュアップ・ツールの開発に取り組んでいる。同社によると、このツールは「Genesis」という開発コード名で呼ばれており、文書や分析データといったビジネス資産や、インスタント・メッセージング(IM)などのコラボレーション・ツールを1つにまとめる“ワークスペース”として機能する。

Gegesisのワークスぺース

 AdobeがGenesisの開発に着手した背景には、多くの企業が旧式のコラボレーション・ツールから脱却できていない現状がある。同社Genesis担当の製品マネジャー、マティアス・ゼラー(Matthias Zeller)氏は、「wikiに代表されるWeb 2.0時代のツールが多数登場しているにもかかわらず、ほとんどの企業では電子メールや留守番電話などに固執している」と指摘する。

 Zeller氏がGenesisのターゲットと位置づけているのは、Web 2.0ツールが網羅できていない“空白の領域”だ。

 「Genesisの場合、ビジネスに絡むアプリケーションや文書をマッシュアップできるワークスペースをデスクトップ上に作る。そしてそのワークスペースを、販売エンジニアや法務部門と共有し、非同期的あるいはリアルタイムでコラボレーションを進める。簡単に言えば、Genesisが目指しているのはそういうことだ」(Zeller氏)

 こうしたGenesisのアイデアは、BI(ビジネス・インテリジェンス)ベンダーであるBusinessObjectsとの話し合いの中で生まれたものだと、Zeller氏は述べている。Adobeは昨年、BusinessObjectsとの業務提携を行っており、その際に両社で話し合いが持たれたという。

 Genesisの機能を説明しているデモ・ビデオによると、特定の機能を持つウィジェット・アプリケーションがあらかじめ用意されており、それを「ワークスペース」上に“タイルを敷く”ようにドラッグするというのがGenesisの基本操作のようだ。

 完成したワークスペースをホステッド・サービスに格納すれば、他のユーザーと共有できるようになる。サービスにログインすると、ワークスペースには共有メンバーのプレゼンス(在席情報)が表示され、IMなどを通じてコラボレーションを行える状態かどうかを確認できる。

 デモ・ビデオによると、Adobeとしては、ユーザーがすぐにGenesisを利用できるようにするため、「プロジェクト管理」「人材採用」などのテーマを設定したワークスペースのテンプレートを多数提供したい考えだ。また、サードパーティが開発した独自の「タイル」を販売できる市場システムも提供する予定だという。

 Genesisのワークスペースを共有し、リアルタイムのコラボレーションを行いたいユーザーは、Adobeに対し定額のサブスクリプションを支払う形になる。Zeller氏は「ほかにも(Genesisを通じて)利益を出す方法を考えている段階だ」と述べたが、詳細は明かさなかった。

 同社ブログに掲載された情報によると、AIR(Adobe Integrated Runtime)を利用して開発されたGenesisのテスター向けベータ版は今年後半にリリースされる予定だという。

 Adobeでは、標準的なGenesisユーザーから初期段階でのフィードバックを得るため、各地で説明会ツアーを開催する予定だ。ツアーは、米国テキサス州のダラス、オースティン、シアトル、オレゴン州ポートランド、シカゴなどが開催地となっている。「特に、企業内コラボレーションを担当するITプロフェッショナルとともに、販売マネジメントや販売運営、資金計画/分析に焦点を絞った財務マネジメントなどの担当者と話し合いたい」と、Zeller氏は述べている。

 米国国防情報局でCTOを務めていたボブ・グーリー(Bob Gourley)氏は、自他ともに認める熱心なAdobeユーザーの1人だ。現在はコンサルティング事業を携わっている同氏は、Adobeの「Connect」や「Actobat.com」といったコラボレーション・ツールを業務で利用しており、これらのツールとGenesisワークスペースのコンセプトとを組み合わせれば「真に破壊的な能力が発揮される」として期待を寄せている。

 ただし、その一方でGourley氏は、価格設定や企業が求めるガバナンスの必要性など、Genesisの疑問点をいくつか挙げた。「Genesisは、LDAPとActive Directoryのどちらを利用するのか。PKI(Public Key Infrastructure:公開鍵基盤)には対応するのか。どの会計監査方式を採用するのか。こうした点が現時点では不明だ」(同氏)

 調査会社ZapThinkのアナリスト、ロナルド・シュメルツァー(Ronald Schmelzer)氏も、Gourley氏と同様、Genesisへの期待と不安をこう語る。「エンタープライズ向けの軽量で信頼できるマッシュアップ・ツールを作れる企業があるとすれば、Adobeしかない。この構想を実現するうえでAdobeが直面する問題は、主にガバナンスとセキュリティだろう」

 Schmelzer氏が言うところのセキュリティ問題について、Zeller氏は「Genesisの初期バージョンはユーザー管理機能を備えたホステッド・サービスであり、ユーザーは自分で住所録を管理し、他のユーザーの使用権限をコントロールしながらワークスペースを共有することになる」と説明する。

 さらに、企業のLDAPや独自のカタログ、管理システムなどとの同期が可能なエンタープライズ・ホステッド・サービスをオプションで選ぶこともできるという。また、「顧客からのフィードバック次第では、将来的にはオンプレミス(自社運用型)のバージョンを開発する可能性もある」とZeller氏は述べている。

(Chris Kanaracus/IDG News Serviceボストン支局)




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