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【解説】
事例から学ぶ、ユニファイド・コミュニケーション「自社構築のシナリオ」

ビジネスの俊敏性を高めるネットワーク・インフラ構築のポイントとは

(2008年08月05日)

日本企業のUC導入率は低いが、2008年から普及段階に移行へ

 こうした事例を通して、UCへの新たな期待を膨らませる企業も少なくないが、日本企業におけるUCの導入率は低く、いまだ普及の初期段階にある。また、その普及のペースも緩やかである。その要因はいろいろと考えられる。例えば、ワーク・スタイルが多様化していること、積極的なIT投資の意識が低いこと、プレゼンス機能のような新しいテクノロジーが十分に理解されていないこと、などである。

 しかし、こうした障害も緩やかではあるが徐々に解消に向かっており、実装の必要性や可能性が認知されてきている。このことから、2008年以降、UCはグローバルで本格的な普及の段階へと移行し、国内においても導入機運が徐々に高まるだろうとガートナーでは分析している。

 UCが普及する下地が整いつつあることは、日本企業のすでに4分の1以上が何らかの形でIP電話を導入していることからもうかがえる。IP電話の導入予定はないが「興味あり」と回答した企業も全体の4割を占めていた。このことは、きっかけさえあればIP電話が急速に普及する可能性があることを示唆するものであろう。このように、内線電話のIP化が着実に進展することで、UCを実装しやすい環境が次第に整いつつある。

3つの領域に分けてUCの導入を検証する

 近年、WAN回線の広帯域化と低コスト化が進展し、帯域幅の問題はクリアされつつあるように見える。しかし、それだけでは業務のスピードアップにはつながらない。業務のスピードアップに特に重要となるのは、ビジネス・プロセスに人が介在することで発生する遅延をいかに解消するかである。この実現のために、UCの導入はきわめて有効と考えられる。

 では、実際にUCを社内に導入するにはどうすればよいのか。ガートナーでは、単一のUCシステムが、さまざまなビジネス・ケースに対応できるとは考えていない。ビジネス・ケースを明確にするために、またUCのメリットをよりわかりやすくするために「パーソナルUC」「ワークグループUC」「企業UC」の3領域に分けて導入の検証を行うべきである(図2)。以下、それぞれのUCについて説明しよう。


図2:UCの3分類

パーソナルUC

 パーソナルUCとは、個々の従業員の生産性を向上させるためのものである。例えば、先に紹介したユニファイド・メッセージングやプレゼンスの他、複数のコミュニケーション・ツールに対して統合的にアクセス管理を行うデスクトップ・コミュニケータなどがある。

 ただし、こうした機能の一部はグループ・アプリケーションや企業アプリケーションの利用時にも役立つ。例えば、プレゼンス機能は、個人の生産性を高めるとともに、コラボレーション業務や全社規模の業務においても活用することができる。

ワークグループUC

 ワークグループUCとは、チーム、プロジェクトといったワークグループにおける業務の効率を高めるものである。例えば、グループごとに分類されたプレゼンス情報を生かすことで仮想的に会議を開いたり、会議室を設定したりできるツールがこれに当たる。複数のコラボレーション・ツールを同時利用すれば、音声会議とWeb会議のコラボレーションなどが実現する。また、チームやプロジェクトごとに利用する特定のアプリケーションを、IM、音声通信、音声会議、Web会議に統合するという使い方もある。

企業UC

 企業UCとは、パーソナルUCやワークグループUCといった範囲を超えて、部署間や企業間での業務遂行能力を向上させるものである。例えば、銀行が小売店などから顧客のクレジットカード認証のリクエストを受信した際、すぐにその認証処理を行う一連の業務プロセスの中などで活用されている。企業UCでは、トランザクション処理の内容から不正使用の兆候を察知した際に、電話や電子メールを通じてクレジットカードの所有者、あるいは不正使用が行われた商店に直ちに通知するといったことも行われている。

 なお、UCを導入する際、企業はできるだけそのメリットを定量的に評価することが求められるが、それが難しい場合も多いだろう。最も効果的なアプローチは、既存システムの大規模なアップグレードを行う中でUC機能をあわせて導入することである。UC導入に必要な費用は、多くの場合、大規模なアップグレードの一部として予算を計上できるであろう。


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