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【解説】
事例から学ぶ、ユニファイド・コミュニケーション「自社構築のシナリオ」

ビジネスの俊敏性を高めるネットワーク・インフラ構築のポイントとは

(2008年08月05日)

UCの上位概念「CEBP」で、ビジネス・プロセスを最適化する

 ガートナーでは2006年より、UCの上位概念である「CEBP」(Communication-Enabled Business Process)の実装の必要性を提唱している。CEBPとは「コミュニケーション・システムおよびネットワークと直接統合できるビジネス・システム」と定義される。すなわち、一連のビジネス・プロセスの中で、ビジネス・アプリケーションとコミュニケーション・システム(通信アプリケーションなど)とを有機的に連携させ、より業務に即した形に最適化することを目指すものだ。前述のUCの3つの分類で言えば、主に企業UCにおいてこの概念が反映されることになる。また、UC事例として紹介した三越のケースも、原初的な形態ではあるものの、CEBPの一種と言える。

 従来、ビジネス・アプリケーションとコミュニケーション・システムの統合には困難な問題が多く、CEBPは限定的にしか実装されなかった。例えば、生の音声とビジネス・アプリケーションを統合するためには別途、CTI(Computer Telephony Integration)システムやACD(自動電話着信分配器)といった専用の機器が必要であった。また、個人の居場所などのステータスを認識するプレゼンス情報も機能的に限られたものであった。

 しかし、そうした障壁は徐々に取り除かれつつある。通信システムがIP化の方向に進むに従い、TCP/IPベースでの連携を図ることが容易になってきたからだ。また、通信アプリケーションのオープン・ソフトウェア・プラットフォームへの移行により、専用システムを実装することなくビジネス・アプリケーションと統合することも可能になってきた。さらに、ワイヤレス通信の普及によって、コミュニケーションの形態が時間と場所を選ばなくなってきたことも、CEBPの実装を後押しする要因の1つとなっている。

導入事例で見るCEBPのメリット

 ここで、CEBPの簡単な事例を見てみよう(図3)。CEBPを導入していない歯科クリニックでは、患者に予約の再確認をしてもらうために予約表を毎日チェックし、患者に電話をかけるか電子メールを手作業で送って注意を喚起しなければならない。このケースでは、通信システムはビジネス・システムから完全に切り離されている。


図3:歯科クリニックでのCEBP事例

 一方、CEBPを実装した歯科クリニックでは、カレンダー・アプリケーション上で患者の名前をクリックすると、自動的にその患者に電話がかかるか電子メールが自動送信される。つまり、カレンダー・システムと電話および電子メール・システムが統合されている。

 ただし、このケースはプロセスに人が介在するタイプのCEBPである。人が介在しない、つまりアプリケーションによって実行されるタイプのCEBPでは、例えば毎日定刻に自動的にカレンダーがスキャンされ、患者に注意を喚起するメールが自動送信される。より上位のCEBPでは、患者に予約を思い出させるのに最良のアプローチ方法を見極めるべく、患者が希望する連絡方法、過去に連絡なしにキャンセルした履歴の有無、患者個人のステータス確認といった要素までをアプリケーションで処理することが考えられる。

 ここで重要なことは、CEBPの実装によって単に業務が軽減されるだけでなく、ユーザーである患者自身にとっても、確実かつ適切な手段で予約確認ができるようになる点だ。有効なCEBPを実装した歯科クリニックは、顧客満足度の向上、来院率の増加、その結果として売上げ増加も期待できるであろう。


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