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【解説】
実態調査に見るITエンジニアの“現実”と“仕事観”――3人に1人が転職願望
人材育成のカギは労働環境の改善と社外交流の推進にあり
(2008年06月10日)
キャリア意識と現実とのギャップ
では、実際にITエンジニアたちはどのような労働条件や環境で毎日仕事をしているのか。自分の仕事やキャリアについてどのような考えや意識を持っているのか。また、平均的な技術者と、伊藤氏が言うオリンピック選手のような一部の「天才プログラマー」とはいったいどこが違うのだろうか。
これらの疑問を明らかにするため、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(以下:GLOCOM)は、2007年1月から3月にかけて、ITエンジニアの仕事とキャリアに関する2つの調査を実施した。
1つは20代から40代の約1,000人のITエンジニアを対象としたインターネットによるアンケート調査で、もう1つは若くて優秀な「天才プログラマー」6人への個別インタビュー調査である(いずれもGLOCOMが主催する「CTO(最高技術責任者)ラウンドテーブル」プロジェクトの一環として実施)。
本稿では、最初にこれらの調査結果全体を概観し、ITエンジニアの労働環境とキャリア意識の実態を明らかにしながら、人材育成の課題や今後のあり方を探っていく。そして、後半の章で調査結果の詳細をあらためて報告することにする。
まず、インターネット・アンケートの調査結果を見ると、ITエンジニアの残業時間は週平均22時間(正社員)で管理職になると26時間に増えるなど、あらためて長時間労働の実態が裏付けられた。にもかかわらず、残業手当が全額支給されているのは半分を若干下回る47%で、逆に半数強の職場では手当がきちんと支給されていないのが実情である。
休暇の取得についても、「職場では自分の都合で柔軟に休暇が取れる」のは半数弱、逆に「自由に休暇が取れない」のが半数強を占め、ほぼ3人に1人が「慢性的な残業で疲れ切っている」と回答した。また、就労時間がフレキシブルではなく、出産・育児や介護といった家庭の事情に配慮した制度がない(もしくは制度があっても利用しにくい)という職場が多かった。
会社に対する満足度に関係した質問では、現在の報酬、スキル・アップのための機会や制度、会社の経営方針やビジョンに対して、ITエンジニアたちは総じて厳しい見方をしている。そのためか、「この会社にいれば自分は成長できると思う」と考えている人は2割にも満たない。また、「仕事よりもプライベートな時間を大切にする」技術者は半数を超えている。結果として、ITエンジニアの3人に1人が「今すぐにでも転職したい」と回答した。
その一方で、今後向上させたい能力としては「コミュニケーション能力(プレゼンテーション・技術文書・交渉力)」と並んで「開発対象となる業界の業務知識やスキル」という回答が多かった。
このことから、転職願望が高いとは言うものの、単に職場を変えたいのであって、ITエンジニアを辞めてまったく新しい職種に移りたいと考える技術者は少ないことがうかがえる。IT企業・ソフトウェア企業の経営者にとっては、従業員の職場定着率を高めるうえで、労働条件や職場環境の見直しが大きな課題であることが本調査からあらためて浮き彫りになったと言える。
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