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【解説】
実態調査に見るITエンジニアの“現実”と“仕事観”――3人に1人が転職願望
人材育成のカギは労働環境の改善と社外交流の推進にあり
(2008年06月10日)
一方、このような平均的なITエンジニアと比べて、天才プログラマー(調査した6人のうち5人は情報処理推進機構の未踏ソフトウェア創造事業で天才プログラマーに認定された技術者)に対するインタビュー調査では、以下のような特徴が見られた。特にオープンソース・コミュニティへの参加状況については両者に大きな隔たりがあった。
- オープンソース・コミュニティに積極的に参加している
- 大企業への就職にまったく魅力を感じていない
- プログラミングをはじめとして好きなことに没頭できる環境を望んでいる、また子供のころからそのような環境を与えられてきた
- 長時間のプログラミングは苦にならないが、時間を自分の自由に使えることへの要求が非常に高い
また、キャリア意識にも違いが感じられた。天才プログラマーたちは将来の仕事に関して、「このまま好きな仕事を続けたい」「自分が開発したプログラムを海外も含めてもっと多くの人に使ってもらいたい」「時間を自分の好きなように使える環境で仕事をしたい」という回答が多く、自らのキャリア・プランについてはさほど強い関心を持っていないようにみえた。6人とも大企業への就職活動を行った経験がないという事実は、これを裏付けるものだろう。
それに対し、平均的なITエンジニアはスキルの陳腐化に対する不安が大きく、キャリア・プランを強く意識する傾向が表れた。
経済産業省の「地域IT企業人材育成実態調査」(2006年3月)によれば、6割以上のIT企業が従業員のキャリア・パスを定めていないと回答している。こうした現実を反映しているのか、われわれのインターネット・アンケートの結果でも「キャリア・プランは会社でなく自分自身で決めるものだ」という回答が多く、会社任せにはできないという意識が強く表れている。
しかし、実際はどうかと言えば、「しっかりしたキャリア・プランを持っている」という回答は少なく、意識と現実との間に大きなギャップがあることが明らかになった。ここに、ITエンジニアが将来に対して抱く不安や悩みを読みとることができる。
ちなみに、前述の経済産業省の調査では、過去2年間で教育・研修費を「かなり増加させた」事業所は売上げも増加傾向にあり、教育・研修の充実が企業の業績にプラスに働くことを示している。
年功序列や終身雇用といった日本型経営の崩壊が進むなか、スキルやキャリアを会社ではなく従業員個人の自己責任とみなす傾向が高まっている。しかし、IT企業がエンジニアの職場定着率を高めたいと考えるのであれば、キャリア・プランを巡る意識と現実のギャップを解消していく対策についてもっと考慮する必要があるだろう。また、これは個別企業だけでなく、業界としての取り組みが求められる課題でもある。
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